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咲乃ルイ
#バトル
中二の僕には嫌いなクラスメイトがいる。玉藻暗夢だ。僕も所属する生徒会で副会長をしているあさひちゃんと、廊下で打ち合わせをしようとするとついて来る、いや憑いてくるのが暗夢だ。生徒会の話なんて、誰にも流しちゃいけないのに、何度忠告をしても、
「いや、私ただあさひちゃんと一緒にいたいだけだよ。」
と言う。気味が悪い。この間なんか僕とあさひちゃんでクラスメイトへのサプライズムービーを作成していた時に、あさひちゃんがふと後ろを向くと「わ!」と叫んだ。何事かと僕も後ろを向くと暗夢が立っていた。僕もつい叫んでしまった。相手は笑っている。本当に不気味だ。
僕の怒りは頂点を通り越していた。一応暗夢にはあさひちゃん以外の友達もいるので、この事を暗夢に近い女子にチクる事にした。でも反応は
「まあ、この時期の女は群れたい生き物だからしゃーなし。」
「白夜くんがカチカチしすぎ。」
「白夜くんキモいよ。」
凄く虚しい。まあよく考えたら鼻くそ食ってる男子の話をJC界隈が素直に受け取るはずもない。せめて同じ男子に愚痴をぶちまけようとしても、
「そんな暗夢ちゃんが可愛い。」
「白夜、こういうのはレディー・ファーストなんだよ。」
「いちいち男女で戦争を起こそうとするお前がおかしい。小学生じゃねんだからよ。」
そうだった…。アイツは宿泊体験の恋バナで話が出るくらい、男子からの評価も高いんだった…。全く性格を見てみろ性格を!独占欲の塊だよ!と思いつつ、自分ももっと肌の手入れとかしておくべきだったと反省はした。
まあ僕もADHD様子見と診断されてるぐらいには心が幼いので、せめてもの反撃はしたかった。またあさひちゃんと話してる時暗夢が来たので、僕は咄嗟に
「あれあさひちゃん、何かに取り憑かれてるよ」
なんて程度の低い悪口だろうか、と僕は内心悲しかった。女子を妖怪呼ばわりするなんて小学生じゃあるまいし…。
でもあさひちゃんが大笑いした後、暗夢は
「白夜くんマジ嫌い。」
と言った。この時点で僕の勝ち。嫌いなヤツの機嫌を少しでも損なわせることが出来たんだから。
それ以来しばらくは妖怪イジりをすることで、僕は少し心を安らかにすることが出来た。
ある日の昼休み、「妖怪」と話している時に調子にのって
「ところで悪夢さんさ、」
クラスの雰囲気が急に重くなった。流石に名前イジりは良くなかったかな…なんて考えていたら、暗夢が怒ったような、逆に冷淡でいるような…、そんな目線でこちらを見つめる。
「白夜くん、ちょっとついてきて。」
いつもの声ではあるが、怖い声に感じた。晴れていた空も薄暗くなってきた。クラスの皆も恐怖を感じているだろうか。
僕は暗夢についていくと、教室から離れた空き教室に連れられた。そして、僕の肩を叩いた。その瞬間意識を失うような感覚に陥る。
意識が戻るとそこは薄暗く、生臭い香りがする空間だった。そして暗夢が現れた。黒いレインコートのようなものを身につけ、禍々しいオーラを放っていた。
暗夢が指を指す。そして指を上に上げた。そしたらその指に吊られるかのように僕の体が浮いていた。そして僕に問いかけた。
「私の正体、知ってるの?」
「え?」
「白夜くん、私が妖怪ってもしかして本当に気づいてるの?」
「偶然だよ。だってなんかあさひちゃんにつきまとってる様子が妖怪みたいで気持ち悪かっただけ…。え?本当に妖怪だったの?」
「へえ、たまたまなの。じゃあ白夜くん、殺すね。」
体内から衝撃と恐怖の波が走る。普通、同級生どうしで「殺す。」なんて言っても冗談になるが、今僕は明らかに自分とは違う生命体を相手してるように感じる。死んでしまう。
「だって同族だとしたら使う価値はあったけど、白夜くんがただの人間なら、ただ自分の能力を晒しただけだし…。それこそ君口軽そうじゃん。ここで仕留めなきゃダメでしょ。」
「どうやって僕を殺すの?」
「ここは夢の中。私が支配している空間だよ。そしてここにいる白夜くんは本体じゃなくてただの魂。だけどここで私が白夜くんの魂を喰ってしまえば、もう現実世界で死んだも同然。」
僕は震えている。死ぬことより、嫌いな人間にいとも簡単に殺されることに。
「いい顔してるね。純粋な恐怖と悲しみ。味が引き締まって美味しいんだよ。」
「ねえ暗夢さん、僕、本当は生徒会の人しか持ってないあさひちゃんの写真、いっぱい持ってるんだけど、それあげるから、命だけは見逃してくれない?」
「…。じゃ、いいよ!」
不気味の笑顔からいつもの(気持ち悪さは変わらないが)笑顔に戻った。チョロいなコイツ。全く…女子の写真で喜ぶなんて、思春期男子じゃねえんだから。とは言いつつ、せっかくだしもうちょいこの妖怪の話を聞いてみることにした。あさひちゃんの写真で調子も良いみたいだし、最低限の自己紹介はしてくれると思った。
「あ、じゃあ夢覚めてからね。五時間目始まるし。」
と暗夢が言うと現実世界に戻った。暗夢はいつもの学校のジャージ姿に戻った。
「良かったー!人として帰ってこれた!」
「え?もう白夜くんは人間じゃないよ。」
「え?」
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