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俺は全国のキャンプ地を回るYouTuber
岡山のとあるキャンプ地に辿り着いのはもう日が暮れた後だった。
このキャンプ場は管理人なしの寂れた場所だ。使ってもいいけどゴミだけは持ち帰ってください。みたいな感じ。
雲行きも怪しく俺はタープとテントを素早く設営し、バトミングを始める。
他の利用者は見当たらず、薪を割る音が響きわたる。
季節は11月ということもあり、この標高だと一桁の、外気だ。
薪に火をつけ暖を取りはじめた、コーヒー豆をひき、お湯を注ぐ。
冷えた体が内部から熱が染みていくのが感じられる。
食事を済ませた頃に雨が降り出した。
YouTubeのライブ配信を開始する。視聴者とともに酒を飲みながら、語り合う。
30分ほど経過した頃視聴者のチャットにこんなコメントが。
「スタッフの人も同席ですか?」
「?」「?」「悪ふざけはやめようぜ」
など、視聴者同士の噛み合わないチャットが飛び交う。
「彼女ですか?」
「うらやましい」
どうやら俺が女性と暖をとっていると勘違いしてる人がいるようだ。
僕はソロキャンプだと伝え今夜のライブ配信は終了した。
雨も降っているし、ライト反射などのせいだろと自分の中で解決した。
雨がやみ椅子にすわりくつろいでいた。静かだ、焚き火の木がはじける音しか聞こえない。
そんな時ふと森の奥へ視線を向ける。30mくらい離れたところに白く縦長の物体がゆっくりゆっくり左右に揺れている。
なんだ?俺はライトを手に取りその何かに向かって歩き出した。
周りは漆黒の闇なのにそれはライトを当てていないのに白く揺らめいている。
10mくらい手前まで行った時だった。
「ひっひっ」
「人だぁ」
俺はすぐさま振り向きテントの方へと走った。走りながら残影がよぎる。黒い湿った髪、宙にぶら下がり揺れる体、生気のない真っ白な顔、女だ。
キャンプにもどり携帯で連絡を、、、電波がない。
さっきまでライブ配信していたのに電波がない。
片付けもせず、車に乗り込む。エンジンをかけキャンプ場をあとにした。
山道をくだり、携帯を見ながら電波を確認するが電波はない。
なんなんだ、あれは、死体だった。きっと死体だ。
俺は携帯を見ながらカーブを曲がろうとしたその時、ハンドルを握っていた手が滑った。ガードレールを突き破りそのまま、斜面を車が転がりおちていく。
「ドンっ」山中に鈍い音が響きわたる。
意識が朦朧となり、俺は意識を失った。
どれくらい眠っていただろ。目を閉じていてもわかる強い日差しで目を覚ました。
「ここは?」
「先生!お目覚めになりました」
「どこか痛みますか?」
「よくわかりません、ここは?」
「あなたは三日前に交通事故を起こしてこの病院に救急搬送されてきました。」
「〇〇キャンプ場にいて、死体、死体があったんです。」
「午後に警察の方がくるのでもう少しお休みになっててください。」
俺は鎮静剤をもらい眠りについた。
あれ、動かない、手足を見ると拘束されている。「誰かいませんか?」
大声で叫ぶが返答はない。
力いっぱい手足を引っ張るが拘束は解けない。
「あぁああっ」僕は苛立ちを隠せない。ふと左手の目を向けると女の子鼻から上の顔が見え両指でベットにしがみついている。僕はその女が、キャンプ場にぶら下がっていた女だと思った。
女の顔は真っ白でまるでモノクロ写真のような表情だ。
ゆっくりゆっくり顔の全貌が見え始める。鼻が見え始め、上唇が見え始め、そしてコメカミまで避けた口。
女の顔は徐々に溶け出すように爛れてきた。
「うわーーっ」
俺はまた気を失った。