第十章:究極の選択
翔太は数々の試練を乗り越え、ついに「蘇生の秘宝」が眠る場所にたどり着いた。それは神秘的な光を放つクリスタルで、周囲には静寂と荘厳さが漂っていた。
「これが…蘇生の秘宝…」翔太はその美しさに息を呑んだ。
しかし、秘宝に近づくと、彼の心に直接語りかけるような声が聞こえてきた。「この秘宝は、失われた命を一つだけ蘇らせることができる。選びなさい。」
翔太の心は揺れ動いた。カイルとリリア、どちらも大切な仲間であり、彼らとの思い出が次々と頭をよぎった。どちらか一人だけを選ぶなんて、考えただけで胸が痛んだ。
「どうして…どうして一人だけなんだ…」翔太は涙をこらえながら呟いた。
彼は二人のことを思い返した。カイルは勇敢でいつも前向きで、どんな時も仲間を励ましてくれた。一方、リリアは知識豊富で冷静沈着、彼を導いてくれた存在だった。
「どちらも僕にとってかけがえのない仲間だ…」
翔太は深く考え込んだ。もしカイルを蘇らせれば、その明るさと勇気で再び共に冒険できるだろう。リリアを蘇らせれば、その知恵と優しさで多くの人々を助け続けることができるかもしれない。
彼は地面に座り込み、目を閉じて心の中で二人に語りかけた。「君たちならどうする?僕はどうすればいい?」
その時、不思議な感覚が翔太を包み込んだ。まるでカイルとリリアが彼のそばにいるような気がした。そして、彼らの声が心に響いた。
「翔太、自分を信じて。君ならきっと正しい選択ができる。」
その言葉に背中を押され、翔太は静かに立ち上がった。「ありがとう、二人とも。」
彼は決意を固め、秘宝に手を伸ばした。どちらか一人だけしか蘇生できないという現実に向き合いながらも、自分の心に従って選択することにした。
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