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下校中らしい小学生の女の子が二人、歩いていた。
「ねぇ、変なものが落ちてるよ?」
「なに?」
「たぶんカメラ、じゃないかなぁ」
それは確かにカメラだった。この子たちは存在を知らなかったが、「ポラロイドカメラ」などと呼ばれた、その場で写真が出来るインスタントカメラの一種である。
「誰かの落とし物かな?」
「なんじゃない?」
「じゃあ、お巡りさんに届けないとだね」
そういいながら一人がカメラを拾い、なんとなくカメラを写すようなポーズをとって、カメラ越しに友達を覗いてみた。拾いものなので、本当に写すつもりはなかったのだが――。
カシャ
「あっ」
「ちょっと、ダメだよ、他の人のもので遊んじゃあ……」
「う、うん、おかしいな、何にもさわらなかったつもりなんだけどな?」
「スイッチにあたっちゃったんじゃない?」
「そうなのかな……。あっ、写真が出てきた」
「ほんとだ、おもしろいね。……って、えっ!」
その写真は目の前の友人を撮ったもののはずだった。しかし、そこに写っていたのはまったく別物だった。いや、写っているのは確かに友人だったが、服はボロボロ、血だらけでどこかの山の中に倒れていた。死んでいるようにも見える。
「なにこれ……気持ち悪い」
「き、きっと誰かのいたずらだよ! もうこんなカメラほっといて、帰ろ」
そういうとカメラを投げ捨てた。
「う、うん。だけど……」
どうやって? 写っているのは確かに自分に見えた。AIなどを使ってそういう画像を作ることはできるだろう。けれど、あのカメラにそんな機能があるのだろうか? 納得はいかないが、考えても気味が悪いだけなので、もう忘れることにした。
数日後、その友人が死んだ。学校行事で山にハイキングに行ったとき、いつの間にかみんなからはぐれて姿を消した。先生たちが探したところ、崖下で発見された。足を滑らしたらしく、服はボロボロ、血だらけで、あの写真に写ったそっくりの姿だったという。