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私とアメリカは付き合っている。アメリカが私と同じ気持ちを待っていると知った時、これまでの何より嬉しかった。
「単刀直入に言うが、先月告白してもらえたんだ。色々と協力してくれて、本当にありがとう」
「わあ、やっと付き合い始めたんだね。行けるぞ! って時も全然だからずっとやきもきしてたけど、君たちが恋人同士になれてボクも嬉しいよ」
その嬉しさを誰かに伝えたい。とはいえ、私達は男同士だし、何より敵国同士だ。言えるやつは限られている。
だからこそ、私の恋心をいち早く察してくれて、協力までしてくれたイタリアに恋がようやく実ったことを話した。
「ボクは応援するよ、日本達のこと。でもね、約束して欲しいことがあるんだ」
「約束? 無理のない範囲なら」
イタリアは急に重々しい雰囲気を醸し出し始めると、あまりにも言いにくそうな顔で伝え始めた。
「ナチスにはこのこと秘密にしておいて欲しいんだ。いや、言わない方がいい、って言う方が近いかな」
「そうなのか?」
尊敬している人だからこそ、イタリアの後は先輩に話そうと思っていたものの、どうやらその通りには行かなさそうだ。
「こういう話する機会ないもんね。ナチスはさ、男同士とか……そういうのが苦手なんだよ。その上で話しても、君が悲しい思いするだけだと思う」
当たり前な話ではある、同性の恋人なんて歓迎されるようなものじゃないし、付き合う前に何度も懸念したことだ。
「……そうか」
「ただ嫌いならなんとかできたんだろうけどね……彼のはトラウマから来るものが大きいから」
「それじゃあ、仕方ないな。話せないのは悲しいが」
トラウマというのがどんなものか気になるが、本人に確認もせず聞くのはいけない気がしたので、深く詮索することはなかった。
「うん。あと一応だけど、目の前でキスするのとかもやめといた方がいいからね」
「なっ! そんなことする訳無いだろう!」
悲しいことに、アメリカと会える日は少ない。先輩も同席してる時なんて、それよりももっと少ない。だから、ほんの少し気を付ければ目の前で睦み合うなんて事象起こらないだろう。
そう思っていられたのは、最初の数ヶ月だけだった。