佐野side
扉を開けると、教室の賑やかな声が聞こえた
まるであの時に戻ったみたいだった
「はい座ってー」
俺が声をかけると、生徒たちはみんな自分の席に座った
その時、見覚えのあるアホ毛が見えた
……あぁ
やっぱり似てる
彼、安倍明晴だ
彼はこの学校で初の人間生徒で、退魔の力を持っている生徒だ
だけど、俺にとってそれはどうでもよかった
それよりも、他に問題があった
ドンッ
「あ、すみません!」
「ッ…あぁ」
彼を見ると、やっぱりよぎる
俺らの、弐年参組の担任であった
安倍晴明の姿が
秋雨side
「佐野、大丈夫かな」
静かな職員室で、ポロッと出た独り言
本来は、別に心配することは無い
勉強も、運動も、歌以外ならなんでも出来る奴だ
むしろ、なんでできるんだよってなる時もある
それでも心配することがあった
それは、晴明の子孫である安倍明晴だ
別に子孫ってだけなら、まだ流せていたかもしれない
だけど、それだけでは無い
名前、性格、それに容姿まで彼にそっくりなのだ
いや、もう同一人物と言っていいほどだった
それに、佐野は晴明とすごく仲が良かった
本人たちは気づいていないのかもしれないけど、
周りから見たら、一番長い時間一緒にいた
そのくらいだ
正直、明晴に晴明の記憶があったらいちばん手っ取り早かった
晴明なら、佐野のことを救えるから
「って、何考えてんだ俺……」
そんな奇跡、起きるわけないのに
明晴side
僕は、色々と事情があって
今は妖怪学校の生徒だ
早速友達を作ってー、とはいかない
元々のヘタレが発動して、まともに人と喋れない
いやまぁ人じゃなくて妖怪なんだけどさ
だけど、友達を作らないと前の二の舞を踏んでしまうので
1人だけ、本当に1人だけ、友達を作ろうと思っている
今回はお兄にも言ったから、多分大丈夫
……本当に多分だけど
ドンッ
って、考え事してたら先生にぶつかっちゃった!
「あ、ごめんなさい!」
「ッ…あぁ」
……!
学園長side
「……今のところ大丈夫そうですね」
俺はそう呟いた
爆発してないかという確認もだが
明晴くんと佐野くんが上手くやっているかを確認した
まぁ、転校早々ばらすほど明晴くんも馬鹿では無いですけど……
だが、彼らはどちらも奥手
ばらすのは、もう少しあとになりそうですね
こちらからすると、爆発や物壊すなどしなければなんでもいいんで
彼らの関係がどう変化していくのかが楽しみですね
「なーにニマニマしてるのー?」
後ろから、煽り口調で蘭丸さんが話しかけてきた
「別にいいでしょう」
というか、勝手に入って来んなよ
「なんだよーケチ!」
「この島出禁にしますよ?」
「元は僕の島なんだけど!?」
コメント
2件
今回は色んな視点で書いてみました!
最高に良かったです。次のすごく楽しみ待ってます。(*^^*)