佐野side
疲れた……
「おい大丈夫かよ……」
「生きてはいる……」
「あ、そういう感じが……」
秋雨は何かを悟ったように俺を見た
「そんなに好かれてんのか?」
「まぁ、なんかずっと質問してくるし……」
「……やっぱちゃんと説明してくんね?」
どうやら、状況が気になるらしい
「えっと……」
「さ、佐野先生!」
「ん?」
「えっと、色々質問したくて…… 」
勉強についてか
1週間見ててわかったけど
こいつ晴明と違って、結構しっかりしてるよな
「えっと、ここがこうで……」
「ふむふむ……」
「ということは、これがこうなってこうってことですか?」
「そういうことだ」
飲み込み早っ
「ありがとうございます!」
と俺に向かって笑って見せた
【ありがとう佐野くん!】
「ッ……」
やっぱりよぎってしまう
「って訳なんだよ 」
「あーね?」
それは疲れる、と納得してくれた
「なぁ、やっぱり変えた方が良かったんじゃないか?」
「お前らがその場で誰も名乗り出ないからだろ」
「それはすまん」
「それに、あいつが悪いってわけじゃない」
そう、あいつは何も関係ない
ただ、俺が晴明の姿と重ねてしまう
だから、これは俺の問題なんだ
「まぁ、辛くなったら相談しろよ」
「あぁ」
と言い、仕事終わったからと帰って行った
「さて、俺も終わらすか」
さっきの話で少し時間が削られてしまったしな
そう思い、机に向かった時
ガタッ
職員室の扉の向こうから、何かしらの物音がした
少し気になり、扉を開け確認したが
誰もいなかった
……ただの空耳か?
いつも通り、HRを終わらせ職員室に戻った
だが、少し違和感があった
「あれ、早いな」
「あぁ、今日安倍からの質問がなかったからな」
「へぇー」
そう、今日はいつもある質問がパタリと無くなったのだ
「なんや、少し心配やな」
そう、いつもあることが無くなるのには、何かしらの理由がある
それが、悪い理由がいい理由か分からないが
「なにかしたっけな……」
明晴side
佐野先生には余り関わらないようにしよう
そう考えたのが、昨日の放課後だった
教室に忘れたプリントを取りに行った時に、職員室から聞こえた会話
あの時、佐野先生が辛いことがわかったから
やっぱり、先生には元気でいてもらわないと
自分のエゴで動かしちゃダメだし……
そう思い、僕はしばらく関わるのをやめようと思う
それで、佐野くんが元気になるなら……
コメント
1件
本当に最高に良かったです。次の話すごく楽しみ待ってます(*^^*)