テラーノベル
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⚠️注意⚠️・knkz、fwkz
『気づかなければ良かったのに』
何気ない一言。
のはずなのに。
それなのに、何かがやけに引っかかる。
「…は?」
一人で呟いて、ようやく気づく。
───なんで、今さらこんなに反応してんだよ。
「…なえ…」
「か…え…!」
「叶!」
名前を呼ばれてはっとする。
「大丈夫か?」
「…ぇ、あ、ごめんごめん。」
「ちょっとぼーっとしてたわ!」
「ならいいけど…」
目の前の相手──葛葉は、僕の言動に少し小首を傾げる。
…可愛い。
そう思った瞬間、視線を逸らす。
…なに考えてんだ、僕。
疲れてるのか?
───いや、違う気がする。
「?叶今日なんか変だぞ。」
「今日はもう帰って休め。」
そう言って葛葉は背を向け、手を振る。
呼び止める暇もなく、足音が遠ざかっていった。
───心臓がうるさい。
やけに響く鼓動が収まらない。
顔が熱い。
違う。
これはそういうんじゃない。
そんな訳ない。
相手は葛葉だ。
こんなこと思ったらだめだ。
そう思ってるのに、
そんなんじゃないって、思いたいのに、、
──否定できない。
「ねえふわっち。」
「ん〜?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ。」
「珍し、なに?」
「いや、なんかさ… 」
言いかけて、少し止まる。
どう言えばいいのか分からなくて、言葉が続かない。
「…今日、なんか変な感じして。」
「変な感じ?」
「その、よくわかんないんだけど、」
上手く、言葉が出てこない。
「誰かと、話しててさ」
「うん」
「なんか…引っかかるっていうか。」
「ふーん」
少しだけ、間があった。
「……それがさ、葛葉なんだけど、」
「…ぇ。」
ふわっちの動きが一瞬止まった。
ほんのわずかだけ、空気が変わる。
「…ふわっち?」
「…ああ、ごめん。なんもない」
「……なんか、あいつと居たら、僕、変で、、」
自分でも、何を言っているのか分からない。
「…そっか 」
少しだけ、声が低くなった気がした。
「…僕、どうしたらいいかな」
「…考えすぎじゃない?」
「そうだといいんだけど…」
「けど、なんか、、」
上手く言えない違和感が、喉に引っかかる。
どう伝えればいいんだろう。
分からなくて、言葉が詰まる。
少しの沈黙の後、
「…あんまり、深入りしない方がいいよ。」
その言葉に、やけに引っかかった。
いつもなら、背中を押してくれる言葉をかけてくれるのに。
「…そう、だね」
納得した訳じゃないのに、そう答えていた。
「はぁ……」
一人になって、ようやく息を吐く。
──「葛葉なんだけど。」
その言葉が頭から離れない。
分かってた。
いつかはこうなるって。
それでも、見ないふりをしてたのに。
「…あーあ」
誰に聞かせるでもなく、ただ零れる。
…今更だ。
───気づかなければ良かったのに。
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