【音色視点】
はぁ、つまんね。
どうやら今、クラスでそれぞれの委員会とやらを決めているらしい。
なんか俺は図書委員らしい。
図書委員は放課後も活動があるから帰宅部のヤツが図書委員になるっぽい。
まぁ、クラスで帰宅部は俺しかいないらしく、B組では図書委員は俺1人らしい。
めんどくせ、まぁ、サボればいいか。
委員会決めが終わりみんなそれぞれ席を立つ。
「ねぇ!星澤くん!そろそろ連絡先教えてよー!」
「私も!音色くんと仲良くなりたい!!」
俺の席の周りは人…女で溢れかえる。
いつもそうだ。みんな俺に気に入られようと媚びを売る。
それが、大っ嫌いなんだよ。
兄、というか、3つ子だから歳は変わんないけど、玲音と望の所にはそんな人は寄らない。けど、周りが本当に騒がしい。
なんで俺にはこんな人が寄ると言うと、俺が1番一般に近いから。
あの2人は顔もずば抜けて良くて、勉強も出来て、部活だってそれぞれエースだ。1年生にも関わらず。
それに比べ、俺は顔はあの2人よりも良くなくて、勉強だってだいたい10位台。スポーツも部活は入ってない。
そういう所も狙ってくるって、本当に気持ち悪い。
「俺は下の名前で呼んでいいって許可も取ってないし、苗字は嫌いだから呼ぶんじゃねぇ。あと、普通に迷惑だから近づくな。殺すぞ。」
俺がそういうと、教室が一段と静かになり、俺の周りから人が去っていく。
「ねぇ、音色くんってさ、なんか、望様とかと違って、取っ付きにくいよね…」
「わかる。もう少し仲良くしてくれてもいいのに。」
「しかも、そんな成績も良くないし、玲音くんと望くんはツートップなのにね。」
「しかも、メガネしてさ、顔が見れない。たぶん、玲音様と望様とは違って顔が良くないとか…?」
はぁ、うざいうざいうざい。
顔顔顔、うるさい、
なんだよ、玲音と望とは違ってって、
みんな俺を、下に見やがって…
俺はこの空間が耐えきれず、教室を後にした。
中庭について空を見上げる。
雲ひとつない晴天。俺の心とは真逆だ。
……今日は、もう帰ろ。
どうせ親父にうるさく言われるから、どっか寄り道して帰ろ。
ガサッ
ん?人?
俺はゆっくりと音のした方へ近づく。
っ…あいつ、
この学校の生徒だったのか。
そう、そこに居たのは、あの日図書館で会った不思議なやつ。
寝てる…
風邪ひくだろ。
……てか、こいつ、結構肌綺麗だな。
って、まじまじ人の顔見るの失礼だよな。
「おい、起きろ。授業始まるぞ。」
真面目そうなのに、
「ん…?」
眠そうに瞼を上げた。
「えっ、もうそんなっ…」
「急げ。遅れるぞ」
「うっ、ありがとうございました…!」
まだ少し眠たそうにそう言ったそいつ。
ドキッ
心臓に大きな衝撃を受けた。
こんなに純粋な笑顔を見たのは、いつぶりだろう。
「それじゃ!」
あっ、
名前、聞けなかった…
まぁ、人間は深追いしすぎない方がいい。
どうせ裏切るんだから。
あ、本忘れてった。
はぁ、後で職員室届けるか。
ん…これ、知ってる作家の本だ、
でも、人のもの勝手に見るのはダメだよな、
会った時、いや、相手女だし。諦めるか…
俺はリュックに本を入れ学校を出た。
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