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阿部Side
舘様と話した次の日、俺たちは屋上での撮影を行っていた。
順調に撮影が進んでいき一度休憩に入った、その時だった。
🩷「ちょ、何あれ?!」
佐久間の叫び声で空を見上げると、遠くの方からたくさんの何かがこっちに向かってきているのが見えた。
よく目を凝らしてみると、
💜「一旦木綿、火の玉……?」
🖤「あれ、妖怪?」
💛「なんかの撮影?」
数えきれないほどの量の妖怪であることが分かった。
チラリと舘様の方を見ると、翔太や康二と真剣な顔で妖怪の軍を見上げていた。メンバーもあたふたする中、やけに落ち着いている3人を見てみんな異変を感じていた。
🤍「と、とりあえず中入ろう!」
ラウールがそう言って、スタッフさんたちに続いて慌てて中に向かうみんな。もちろん俺もそう。でも、
🤍「翔太くん?!」
💛「おい、康二!」
💜「だてさん?!」
3人だけは、みんなとは逆の方に……屋上の端に向かっていった。
🩷「何してんの?!危険だよ!」
3人はメンバーの静止の声も聞かず、ただ無言で妖怪を見上げている。
❤️「……みんな、今までありがとう」
舘様が言った。
❤️「俺たち、あの妖怪たち止めてくるね」
💜「え?いや、何言って……」
その瞬間、3人の姿が人間から妖怪へと変わる。
🖤「えっ……?!」
3人の姿に驚くみんな。俺も前に見たとはいえ一瞬だけなので、もちろんびっくりする。
……やっぱり、3人は本当に妖怪なんだね。
💛「何それ、」
🩷「なんで?!それ、いつから……」
💙「あいつらを止めれんのは、俺たちだけなんだよ」
鬼の姿になった翔太が、みんなの言葉を遮ってそう言う。
❤️「俺たちが力を使えば、もうみんなと一緒にいることはできないんだ」
キュウビの姿になった舘様が、そう続ける。
🧡「でも、みんなを守るためにも、俺たちで行ってくるわな」
天狗になった康二の目には、うっすらと涙が滲んでいる。
💜「嘘でしょ?一緒にいれないって、そんな……」
💚「妖怪として技を出せば、もう人間の姿には戻れないんだって」
戸惑うみんなに俺が軽く補足を入れると、みんな驚いて俺の顔をまじまじと見つめる。
💛「阿部、なんでそんなこと知ってんの……」
💚「……昨日、舘様から聞いたの。ごめん黙ってて」
💛「っ、まあでも、そう、だな……」
照は何か言おうとしたけど、自分の中で何かが腑に落ちたのか何も言わなかった。
戸惑う俺たちを見ていた3人は、互いに目を見合わせて俺たちに背を向けた。
💙「みんな、今までありがと。……じゃあ、またな」
チラリとこちらを振り向いて翔太の発した「またな」は、今まで聞いた中で1番重く俺の胸に突き刺さる。
この言葉を聞いた瞬間、俺の中で燻っていた気持ちが抑えられなくなって、気づけば、
💚「待って3人とも!行かないで……!!」
俺は叫んでいた。
こんなギリギリまで気づけなくて、打ち明けられた時も3人が決めたことならと何も言わなかった。つい溢れた本音も、舘様を説得するまでには至らなかった。
でも、やっぱり。3人がいなくなるなんて嫌だ。
他のメンバーより先に知っていたにも関わらず何も出来なかったことが、悔しかった。
今更言っても遅いのに、そう、分かっているのに。
💚「舘様!翔太!こーじ……!!」
3人の名前を叫んだ。それでも3人は一度もこちらを振り向くことなく宙へと舞い上がり、
❤️💙🧡「はぁぁーー!!!」
それぞれが妖術を出した。その瞬間、3人の姿は空気に薄れ、あっという間に見えなくなってしまった。
🤍「そんな、」
💛「ねえ、やだ……」
俺たち6人はその場に崩れ落ち、スタッフさんが戻ってきて声をかけてくれるまで動けなかった。
最後に少しだけ見えた赤い炎と黄色い電気球、大きな竜巻を、俺たちは一生忘れることはないだろう。
あれから数ヶ月が経った。
俺たちの中の喪失感が消えることはなかったけど、前を向いて俺たちは再び歩き始めていた。その最中、俺は一度だけ3人の声を聞いたことがある。
雑誌の取材が終わって、1人歩いて帰っていた時。
『なぁ〜だてぇ、しょっぴーお昼にしよーや〜』
『この任務終わってからだって言ったろ。我慢しろ!』
『って言ってるけど、さっき翔太お腹鳴ってたよね?』
『はあっ?!余計なこと言うなよ涼太!!』
風に乗って聞き覚えのある声がして、俺はハッと後ろを振り向いた。
💚「舘様……翔太……康二……?」
恐る恐る3人の名前を呼んでみる。でもやっぱり、俺の声が届くはずもなかった。
どうして声が聞こえたのかは分からないけれど、姿が見えなくても3人は確かにあっちの世界で生きていると感じることができた。
京都で買ったあの鈴を持っている限り、また3人に会えるって信じてるから……
あやかとしての使命を果たした3人に、またいつか会えますように。
鳴らない鈴をぎゅっと握りしめて、俺は祈った。
おわり
〜あとがき〜
どうも、ひいらぎです‼️
最後まで読んでいただきありがとうございました✨
今回は妖怪化パロの物語を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか……❓
前回作に続き悲しめのストーリーになってしまいましたが、 気に入っていただければ嬉しいです☺️
感想をぜひコメントで教えていただけると励みになります‼️
また、現在リクエストも受け付けております❗️
地雷等ありませんので、基本的にはどんな内容でもお答えします。
多少お時間いただきますが、ぜひお気軽にお寄せください😊
次回作は……青春もの⁉️
近々投稿致します🤭
お楽しみに〜✨
以上、ひいらぎでした❗️