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〈kiriyan side〉
あれはやっと高校生活にも慣れてきて、蝉の声がうるさく鳴り響いた頃だった。
ジリジリと皮膚を焼くような太陽の光に、滴る汗は夏をうんざりさせる。
白くて細い手足が彼の鈍臭さをより目立たせるが、何よりも楽しそうに体育の授業を受ける姿はずっと見ていたかった
ピーッ
---なかむナイスゴール!
---スマイルのパスめっちゃよかったな
盛り上がるグラウンドの声を遠目に眺めていた。
、、、ん?スマイルの様子が
そう思った時にはもうすでに遅かった。
バタンッ
---スマイルっ!?
---おい!スマイル!!
---救急車よんで!
その情景は目がえぐれるくらい焼きついた。
熱中症で倒れた時の当たりどころが悪かったんだ。
俺がもっとそばにいて、俺がもっとはやく気づけてたら、、、
でもそもそも俺は教室の檻に閉じ込められていて、すぐに助けに行くなんてできない。
まるで神がお前には何もできない。定まった運命なのだと言われている気分だった。
カラカラッ
kr 「スマイル、、」
静かで殺風景な病室。
スマイルの両親は国外で仕事をしていて滅多に会いに来れない。
もう死んだものとみなしているのだろうか。
だから代わりに俺が彼のそばにい続ける。
いや、代わりなんかじゃないな。俺がそうしたいだけなんだよ多分
kr 「今日はみんなと少し揉めたんだ。スマイルが、、お前の魂が攫われちゃって」
kr 「ごめん。すぐ取り戻すから、、」
kr 「取り戻したら、目が覚めたら、また遊びに行こう」
kr 「今度は二人で」
…………………………………………………*
〈smile side〉
sm 「元に戻すって、どういう意味?」
長 「んー、わかりやすく言うと彼岸に戻ってきてもらうってことかな?」
sm 「他にも何か隠してるだろ」
長 「、、、驚いた。君、勘が鋭いな」
そう言って俺に顔をずいと近づけると、無邪気な子供がいたずらを企むようにニヤリと笑う。
長 「怪異を祓うのを手伝って欲しいんだ。」
sm 「どうやってやればいい?今ここで首を絞めるか?」
そう言いながらするりと青白い首に手を回す
長 「ちょちょちょっ、気が早いな笑」
奴は死を恐れている様子はなかった。彼にとって生きた死んだのことは関係ないんだろうか
sm 「お前も怪異だろ?意味がわからない。何でみんなを祓おうだなんてこと、、、」
長 「今、彼岸が混ざろうとしている。混ざるとどうなるか知ってるかい?」
重々しい雰囲気で話す彼の言葉に、俺は横に首を振る。
長 「空間に歪みが生じる。そうすると徐々に空間だけじゃないところまで歪み始める」
長 「時間の歪みから、自我の歪み、、、
これが結果どこに行き着くと思う?」
sm 「カオスな状態になって、、、、全部が混ざるとか?」
長 「おしい、! 」
sm 「じゃあ逆に全部が無になる、、のか」
長 「君は本当に頭が冴えてるね。狭間にいるのが勿体無いくらいだ」
sm 「、、、無くなるって言うのはもしかして、死を意味してる?」
長 「どうだろうね。
、、、死の概念は難しいから」
長 「例えるならみんなが黒い海を永遠に海月のように彷徨う感じかな」
sm 「それを止めたいの?よくわからない」
長 「僕にだって仲間はいる。ただみんなといたいだけなんだよ」
変な奴だ。
怪異のくせに、死人のくせに、未練たらたらで居座ってるだけじゃないか。
でも確かに、みんなと離れるのは嫌だという孤独への嫌悪感は同じだった。
sm 「、、、、何をすればいい」
長 「さすがだね。早速だけど怪異の暗殺を君に行って欲しい」
、、、暗殺。
一度死んだものを二度も死なせるなんて、なんとも気持ちの悪いことだ。
対象がすでに人ではないにしろ、俺に殺めろと突き放すあたり、こいつが人間じゃないことを再認識させられる
長 「何も怖がることじゃない。今君たちが噂を整理しているね?」
sm 「ああ、」
長 「助けられた怪異たちは力が弱くなっているはずだ。」
長 「そこで君にこの力を授ける。」
背中の中で蜘蛛が這うような、神経一つ一つを刺激されるような感覚がした。
吐き気がしてそのまま気を失いそうだった
ゲホッゲホッ
長 「慣れるまでの辛抱さ。それは君の感情と連動する。憎さでも恐れでも、または愛情でもいいかもしれないね。それを怪異に向けるんだ」
長 「初めのうちは七不思議が倒せなくても経験を積めば問題なく手にかけられるはずだよ」
そうしてニヤリと笑うお前の笑みを俺は憎く思った。気に入らないその容姿。
まるで鏡に映し出されているようで嫌気がさした。顔や髪が似ているのではない。オーラだ。
やつの纏うオーラが本能で刺激される。
長 「はは、憎さが溢れ出てるね。その調子。
改めてよろしくね!スマイルくん♪」
差し伸べてきた手を拒否る選択肢は俺にはなかった。怪異を全て消し、みんなを助ける。
最後はお前ごと消してやるから。