テラーノベル
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フェイは、笑わなくなった。
当たり前といえば、当たり前か。
吹雪の中で遭難して、必死の思いで見つけた建物に逃げ込めたと思ったら、人を喰う人狼が潜んでいるのだから。
ジェシカ「フェイ……」
フェイ「……?」
私はそっと、フェイの頭を撫でた。
いつもは、私が撫でてもらっていたのに。
フェイはいつもニコニコしていた。
その笑顔を知っているからこそ、今のフェイを見るのは苦しい。
私が「山に登ってみたい」なんてわがままを言わなければ。
私がフェイを振り回さなければ。
今も、あのまま明るく笑ってくれていたのかもしれないのに。
ジェシカ「今夜も気をつけてね。フェイがいなくなったら、私……」
また、弱音を吐いてしまった。
フェイ「そんな不安そうな顔しないで」
今度は、フェイに頭を撫でられる。
優しくて、あたたかい。
まだ、生きている。
ジェシカ「また明日。明日ね」
フェイ「うん」
フェイは、ほんの少しだけ口角を上げた。
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