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第83話 〚守る側の違和感〛(海翔)
スマホを置いて、
海翔は天井を見上げた。
――なんか、おかしい。
はっきりした理由はない。
でも、胸の奥に引っかかるものがあった。
(最近……澪、予知の話しなくなったな)
前なら、
「ちょっと頭痛くて」
「さっき変な映像が流れて」
そんな言葉が、時々あった。
それが今は、ない。
元気そうで、
笑っていて、
何も問題ないように見える。
……だからこそ。
(来ないのは、いいことのはずだろ)
自分に言い聞かせる。
でも、違和感は消えない。
海翔は、ベッドから起き上がった。
夏休み。
時間はある。
なのに、落ち着かない。
(守れてる、よな……?)
頭に浮かぶ顔。
澪。
えま。
しおり。
みさと。
玲央。
そして――
一番、思い出したくない名前。
(……西園寺)
あの視線。
距離感。
妙に“知っている”感じ。
直接何かされたわけじゃない。
証拠もない。
でも。
(近づかせちゃダメなやつって、いる)
それは理屈じゃなく、
経験でもなく、
ただの直感。
海翔はスマホを手に取った。
【海翔:澪、今どこ?】
少し間があって、返信が来る。
【澪:家だよ】
それだけで、
少しだけ肩の力が抜ける。
【海翔:そっか】
【海翔:用事なくても、連絡していいから】
【澪:うん】
短いやり取り。
でも、そこに確かな温度があった。
海翔は、決める。
(“何かあってから”じゃ遅い)
守るって、
隣にいることだけじゃない。
見えない違和感を、
見過ごさないこと。
「……よし」
小さく息を吐く。
夏は、まだ続く。
でも――
海翔はもう、
“守られる側”ではなく、“守る側”として動き始めていた。
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