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サイド キノ
「出てけよ!ルネなんてもう仲間じゃねぇ!!」
ギョッとした表情でタエが、マオが、俺を見る。
「待って…………!!」
止めに入ったのはキリだった。
「目が覚めたのか」
「うん。キノ。さっきはごめん。あれがキノのせいじゃないことも分かってる。……本当は誰も悪くないの。だから、まだ、みんなと離れたくない」
……誰も悪くない?違う。全員が少しずつ悪いんだ。俺も、キリも、ルネも、兄ちゃんも、みんな。
「キリちゃんには悪いけど、団長が出てけって言うしね〜。……それに、俺がこの団にいる理由も、もうなくなったから」
冗談を言うように、それでもハッキリとルネは言った。
もうこの団に用は無い。そう言いたいのか?……ずっと一緒にいたはずなのに、ルネの心の中が分からない。
「ま、今度は上手く立ち回るよ。今までありがとねー!」
ルネは机の上に夕日と同じオレンジ色の帽子を置いて、家に帰るときのように出て行った。直ぐに「冗談冗談!」と戻ってきそうないつものノリで。
けれど、ドアが閉まる直前に見えたルネの寂しそうに笑う表情が、それが有り得ないことを示していた。
「ッ……おい、待てルネ!」
バタン、とユメ達が出て行ったときよりも大きな音が響いて我に帰る。マオの姿が見えない。ルネを追いかけたのか?
「キリ。あんたはルネみたいにこの団抜けないわよね?」
「うん。もちろんだよ。……でも、また、間に合わなかった……」
アミの問いに間髪入れずキリは答える。
少し、いや、かなりホッとした。後半の意味は俺には分からなかったけど、キリにはキリの後悔があったのだと思うしかねぇ。
ふと、考えたくないことを考えてしまった。
俺は、俺は……。
本当に、モンダイジ団の団長でいいのだろうか?