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朋菜は今日も、いつもの如く畑仕事をこなす。
その時、どこからか人々の叫び声が聞こえてきた。
「何!?」
松前も友樹も駆けつけてきた。
「朋菜!」
「朋菜様!」
「何が起こってるの!?」
「どうやら、江戸市中の米屋が襲撃されたようです」
実際、江戸に行ってみると、そこは無残な程に荒れていた。飢饉で餓死した人たちの死体や、襲撃されて荒れ果てた米屋もあった。
「どうなってるの…?」
「囲米に使われていた、社倉とかも無くなってるな…」
その時、1人の農民らしき人が朋菜達の前に来た。その農民はガリガリに瘦せている。
「そこの…。私達に、何か食べるものを…」
朋菜は悩んだ。自分は今、食べ物を持っていない。持ってる食べ物といえば…飴しかない。
飴で腹は膨れるのだろうか。朋菜にはさっぱりわからなかったが、とりあえずその飴を農民に渡した。農民は飴を少し観察してから、その飴をがっつき始めた。
友樹が突然尋ねた。
「朋菜、大丈夫か」
「何が?」
「いや、朋菜の分が無くなるんじゃないかって」
「大丈夫。飴は何個でもあるから」
松前が口を開いた。
「朋菜様、どこでそれを…?」
「私、いつも飴を持ち歩いてるの」
それを偶然聞いていた農民は、「もっと飴をくれ!」と朋菜にせがんでくる。
「もう持ってません!やめてください!」
そして朋菜は農民から逃げ、家屋に戻った。