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『よく来たね。』
少女が話し始めた。
『魂の欠片は、記憶のカケラは全部思い出した?』
『まだ?』
「これから。」
こう答える。
ゆっくりと母と父が常に笑顔だった幼少期から思い出す。
自分は弱くいじめられていたのを思い出す。
そっと涙を拭ってくれた不器用で優しい手の兄の存在を思い出す。
どんどん幸せな頃の記憶が溢れてきた。
思い出すにつれて少女の姿が最初は幼い姿、小学生くらいの姿、中学生くらいの姿へと変わっていく。
全てを思い出す。
これが答えだと分かる。
ポロポロと涙が溢れてくる。
頭を撫でられた。
抱きしめられた。
涙を不器用な手で拭われた。
母だった。
父だった。
兄だった。
「ゴメン…。」
言葉が溢れる。
『ありがとうって言って』と言ってる気がした。
「今までありがとう。」
皆は笑った。
あの子もとびっきりの笑顔で笑ってた。
そっと存在を確かめるようにあの子を抱きしめる。
溶け込むように一言残して消えていった。
『もう、会わないからな。』
深い夢から覚める。
もう僕は僕じゃなかった。
「おはよう。」
新しい朝が始まる。
読んでいただきありがとうございます。
真実は分かりましたか?
次回は真相を書く予定です。
感想、考察をコメントしてくれると嬉しいです。