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龍の中のラプソディ

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龍の中のラプソディ

13 - episode13-雨と銃声のキス-

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2025年09月08日

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夜の山奥に、遠くからエンジン音が響いた。その低い唸りは、静寂を裂く死神の足音のようだった。


 


🎼📢「……来やがったな」


いるまはカーテンを閉じ、机の下から拳銃を取り出す。

弾倉を確かめ、すぐさまスライドを引いた。

その表情は冷静に見えて、どこか焦りを帯びていた。


 


🎼🌸「……俺も手伝えることある?」


🎼📢「バカ言え。お前は後ろに隠れてろ」


🎼🌸「……隠れてるだけなんて、もう嫌なんだよ」


 


らんの声は小さく震えていた。

けれど、その目はまっすぐいるまを見ていた。


 


一瞬、いるまの胸に何かが突き刺さる。

――自分のために怯える少年を、これ以上無力な存在にしたくなかった。


 


🎼📢「……じゃあ、俺から離れんな。必ず隣にいろ」


🎼🌸「うん」


 


窓の外、黒い影が木々を抜け、家を取り囲んでいく。

銃声が炸裂した。


 


バンッ――!


 


ガラスが弾け飛び、冷たい雨が室内に流れ込む。

いるまは即座にらんを抱き寄せ、床に伏せさせた。


 


🎼📢「クソッ……! やっぱ裏切り者がいる!」


🎼🌸「いるま……っ!」


 


耳をつんざく銃声の中、いるまは壁際に身を滑らせながら応戦する。

弾丸が次々に木材を砕き、部屋に雨が降り注いだ。


 


だが、不思議なことに――らんの心は、もう恐怖だけじゃなかった。

背中を守るように立ついるまの存在が、胸に温かさを残していた。


 


🎼🌸(……俺、この人の隣にいたい。怖くても、逃げなくていいって思える)


 


銃声の合間、ふと二人の目が合った。

互いの呼吸が、荒く重なる。


 


🎼📢「……らん」


🎼🌸「……いるま」


 


その瞬間、何かが弾けた。

いるまは衝動のまま、らんの顎を掴み、唇を塞いだ。


 


銃声と雨音の中――それでもはっきりと感じる、柔らかい温もり。

唇が触れ合った瞬間、全ての音が遠ざかった。


 


🎼🌸「……っ、いるま……」


🎼📢「今さら後戻りできねぇ。……お前は、俺のもんだ」


 


頬に伝う雨粒が、涙と混じったのか分からなかった。

けれどらんは小さく頷き、震える声で答えた。


 


🎼🌸「……うん。俺も……もう、逃げない」


 


雨に濡れた部屋で、ふたりは初めて恋人としての口づけを交わした。

たとえ次の瞬間、銃弾が飛んできても――その心だけは奪われない。


 


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