テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#おんおら
ドズル社好き
1,226
#さんちゃんく!
あおい
1,964
6,529
#魔法パロ
薙刀 瑜菜🍃💌⚓️
104,062
おんりーが目を覚ましてから、数日が経った。
花締病の症状は、少しずつ落ち着いていた。
胸元に広がっていた蔓は、あの日を境にゆっくりと消えていった。
それでも、まだ完全に回復したわけではない。
しばらくは安静にする必要があるらしく、おんりーは病室で過ごしていた。
そして――
「おんりー!! 来たでー!!」
今日も、病室のドアが勢いよく開いた。
「……声でか」
ベッドの上のおんりーが、呆れたように笑う。
「えー!? 心配して来たのにぃ!?」
「心配してる人は、病室入るときもうちょっと静かにするんだよ」
「ひどない!?」
いつものやり取り。
いつもの声。
それを聞きながら、ドズルたちは顔を見合わせて笑った。
本当に、帰ってきてくれたんだ。
みんなの知っているおんりーが。
そして、おらふくんも。
「……おんりー」
「ん?」
「今日、ちょっとだけふたりで話せる?」
その言葉に、おんりーの表情が止まった。
「……うん」
おらふくんは、少し照れたように笑った。
「みんな、ちょっと外出ててくれへん?」
「はいはい、そういうことねぇ」
ぼんさんが、にやっと笑う。
「えっ、どういうこと!?」とMENがわざとらしく聞き、ドズルに肩を押されて廊下へ連れていかれた。
「じゃ、ゆっくりなー!」
ドアが閉まる。
病室には、ふたりだけが残った。
***
しばらく、どちらも話し出せなかった。
おんりーは窓の外を見つめていた。
おらふくんは、膝の上で手を握ったり開いたりしている。
「……手紙」
先に口を開いたのは、おんりーだった。
「読んだんだよね」
「……うん」
「そっか」
おんりーは、小さく息を吐いた。
「……ごめんね。あんな形で伝えることになって」
「謝らんでええよ」
おらふくんは、すぐに答えた。
「でも……もっと早く言えばよかったって、思ってる」
おんりーが、ゆっくりと顔を向ける。
「……うん」
「おんりーがしんどいとき、俺、気づけへんかった。隣におったのに、全然分からんかった」
「それは……俺が隠してたから」
「それでも!」
おらふくんは、ぎゅっと手を握った。
「もっと頼ってほしかった。嬉しいことも、しんどいことも、俺にも話してほしかったんよ」
おんりーは黙って聞いていた。
おらふくんは、深呼吸をした。
「……それでな。俺も、ずっと考えてたんよ」
「何を?」
「おんりーの手紙を読んでから、ずっと」
おらふくんは、少しだけ目を伏せた。
「俺が、おんりーのことをどう思ってるのか」
そして、まっすぐにおんりーを見た。
「一緒にゲームするのも好き。くだらんことで笑うのも好き。おんりーが隣におると、なんか安心する」
おんりーの目が、少しずつ大きくなる。
「……うん」
「でも、それだけやないんよ」
おらふくんの頬が、ほんのり赤くなった。
「もっと一緒におりたいって思う。これからも、ずっと隣にいてほしいって思う」
声が震えた。
それでも、今度は目をそらさなかった。
「……俺も、おんりーが好きや」
おんりーは、何も言わなかった。
ただ、目を見開いたまま、おらふくんを見つめていた。
「……え」
「友達としてだけやなくて。ちゃんと、好き」
おらふくんは、少し恥ずかしそうに笑った。
「手紙の返事、遅くなってごめんな」
おんりーの唇が、わずかに震えた。
「……ほんとに?」
「ほんまやで」
「……俺のこと?」
「おんりー以外に誰がおるんよ」
その瞬間。
おんりーの目から、涙がこぼれた。
「……っ、なんで……」
「えっ!? ちょ、なんで泣くん!?」
「だって……」
おんりーは、顔を覆った。
「……ずっと、言ってほしかったから」
その言葉を聞いて、おらふくんの表情がくしゃっと崩れた。
「……うん」
ベッドのそばへ寄り、そっとおんりーの手を握る。
「もっと早く言えばよかったな」
「……うん」
「これからは、ちゃんと言うから」
おんりーは涙を拭いながら、小さく笑った。
「……じゃあ、何回でも言って」
「えっ」
「……好きって」
おらふくんは、一瞬固まった。
そして――
「……っ、そんなん、何回でも言うわ!!」
耳まで赤くして叫んだ。
「好きやで、おんりー!」
「……うん」
「めっちゃ好き!」
「……うん」
「これからもずっと一緒におりたい!」
「……っ、分かったから……!」
おんりーは笑いながら、また少し泣いた。
もう、隠さなくていい。
もう、ひとりで抱え込まなくていい。
好きだと伝えても、隣にいていいのだと。
やっと、信じることができた。
***
数日後。
おんりーは、ようやく退院できることになった。
病院の外へ出ると、空はよく晴れていた。
「うわぁ、外やー!」
おらふくんが大きく伸びをする。
「……おらふくん、元気すぎ」
「だって、おんりーと一緒に帰れるんやもん!」
その言葉に、おんりーは少しだけ目をそらした。
「……そっか」
「ん? 照れてる?」
「照れてない」
「絶対照れてるやん!」
「照れてないって!」
ふたりの笑い声が、青空に響いた。
しばらく歩いたところで、おらふくんが立ち止まった。
「……なあ、おんりー」
「ん?」
「前に約束したこと、覚えとる?」
おんりーは、少し考えてから頷いた。
「……また一緒に出かけようってやつ?」
「そう!」
おらふくんは、嬉しそうに笑った。
「今度こそ、行こうや」
おんりーは、その笑顔を見つめた。
ずっと見たかった笑顔。
ずっと隣で守りたかった時間。
そして、もう二度と失いたくないもの。
「……うん」
おんりーは、今度こそ迷わず答えた。
「絶対ね」
おらふくんは、笑って頷いた。
「約束!」
ふたりは、並んで歩き始めた。
もう、言えない気持ちをひとりで抱えてはいない。
胸元にあった蔓は、すっかり消えていた。
その代わりに、ふたりの間には、確かな言葉が残っていた。
「……おらふくん」
「んー?」
「……好きだよ」
おらふくんは、ぴたりと立ち止まった。
「…………えっ!?」
おんりーは、くすっと笑った。
「何回でも言っていいんでしょ?」
「そ、それはそうやけど……!!」
「……俺も、何回でも言うよ」
おらふくんは顔を真っ赤にして、でも、すごく嬉しそうに笑った。
「……俺も好きやで、おんりー」
今度は、ちゃんと届いた。
ふたりの気持ちが。
ふたりの言葉が。
そして、ふたりの未来が。
「また一緒に行こうな」
「うん。絶対ね」
その約束は、もう悲しい言葉ではなかった。
これから何度だって、ふたりで叶えていく約束だった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 最終話、読み終わりました…。 おんりーとおらふくん、ちゃんと想いが通じ合って本当によかった…😢💕 「ほんまに?」「おんりー以外に誰がおるんよ」のやり取り、胸がぎゅっとなりました。 ずっと一人で抱え込んでたおんりーが、やっと「好き」を素直に出せるようになって… 蔓が消えた代わりに、ふたりの間に言葉が残ったって描写、すごく好きです。 最後の「絶対ね」が、もう悲しい約束じゃなくなってて、じんわり温かくなりました。 素敵な作品をありがとうございます🌙