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秘密恋愛

5 - 第5話*謎の女性*

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2025年07月04日

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「ねぇ、雪乃?」



窓の外を見ていた聖夜さんが、こちらに目を向けた。



私は名前を呼ばれて、聖夜さんの方を向く。



「ホントにお腹、空かないの?」



私は何も言わずに、コクンと頷いた。



胃の中は空っぽなのに、全くお腹が空かない。



「そっか……。僕はお腹がペコペコだよ」



聖夜さんは、そう言ってクスッと笑った。



人を殺めた人が、よく言うよ……。



この人はホントに犯罪者なのかな?



てか、あの女性はどうなったんだろう……。



その時、窓の外から何台ものパトカーや救急車のサイレンの音が聞こえてきた。



もしかして……。



「見つかったのかな?」



チラッと窓の外に目をやった彼が、再びこちらに向いてそう言った。



「僕は、絶対に捕まらないよ」



そう言って笑う聖夜さん。



その自信はどこから来るんだろう……。



日本の警察は優秀だって聞いたことある。



それなのに捕まらないって言い切る彼は……。



「目撃者は雪乃しかいないんだ。その唯一の目撃者であるキミは僕と一緒にいる。それにね、証拠は何も残してないしね」



そうだけど、それだけでホントに捕まらないの?



証拠は残してないって言っても……。



……って、目撃者は、もう1人いたはず。



公園で私とぶつかった男。



怯えたような目。



「雪乃?何考えてるの?」


「えっ?い、いや別に何も……」



聖夜さんは罪の意識があまりない感じに思える。



もし、目撃者が、もう1人いたことを言ったら……。



その人を探しだして殺めてしまうかもしれない。



もう、これ以上、人が殺されるのは嫌だ。



それに聖夜さんにも、これ以上……。



「そうそう、ご飯だったね」



聖夜さんはそう言って、カーテンを閉めた。



そして、パーカーのポケットからスマホを取り出して片手で器用に操作する。



しばらくして、スマホをポケットにしまった。



「これから、知り合いがここに来るからね」


「えっ?」


「余計なことをしゃべったらダメだよ?もし、しゃべったら……どうなるか、わかるよね?」



聖夜さんはそう言って、ニッコリ微笑んだ。



もし、しゃべったら……。



聖夜さんの言った意味すること、それは……。



――死。



私はコクンと頷いた。



「雪乃は物分かりのわかるいい子だね」



聖夜さんは、そう言って私の傍に来ると、頭をや優しく撫でた。



ビクンと跳ね上がる体。



「雪乃は、僕の言うことにだけ頷いてたらいいからね」



聖夜さんは、そう言って再び私の頭を撫でた。



私の胸の鼓動はトクトクと早くなっていった。



どれくらい時間が経ったんだろう……。



聖夜さんの知り合いが来ると聞いてから、1時間以上は経ってるような……。



聖夜さんは座って静かに本を読み、私は目を下に向け、一点を見つめていた。



2人の間に会話はない。



その時、来客が来たことを告げる玄関の呼び鈴が鳴った。



体がビクンと跳ねる。



「来たかな?」



聖夜さんはそう言って、パタンと本を閉じると、立ち上がり玄関に行った。





聖夜さんが玄関を開けた途端……。




「遅くなってゴメンね~」




そう言った若い女性の声が聞こえてきた。




「遅いよ」




元気のいい女性の声に対して、静かな聖夜さんの声。



「ゴメンって~」



ゲラゲラ笑う女性。



本当に知り合い?



もしかして知り合い以上の関係なのかも……。



彼女、とか……。



その時、私の胸がチクンと痛んだ。



それがズキズキとした痛みに変わる。



ズキズキとモヤモヤが交差していく……。



胸のモヤモヤは、さっき感じたものと違っていた。



言葉に表せないモヤモヤとズキズキと痛む胸。



耳に聞こえる元気な女性の声と笑い声。



それが凄くイライラさせて泣きそうになる。



私は膝をギュッと抱え、そこに顔を埋めた。



「雪乃?」



聖夜さんに名前を呼ばれて、顔を上げる。



私の前には聖夜さんが立っていて、笑顔で私を見下ろしている。



その隣にはストレートの長い黒髪で、目が大きくて色白な女性がいて……。



綺麗な人……。



これが女性を見た私の第一印象だった。



「この子が雪乃ちゃん?うわぁ!ちょー可愛い!」



女性は私を見て笑顔でそう言って、しゃがむと私に抱きついてきた。



キツすぎない香水のいい匂いが鼻を掠める。



「こらこら怖がってるでしょ?」



聖夜さんがそう言って、女性を私から離した。



離された後も、女性は目をキラキラさせながら私を見ている。



「怖がらなくても大丈夫だからね。このオバちゃんは人間は喰わないから……」



別に怖がってるわけじゃなく、いきなりの事にビックリしただけで……。



でも人間は喰わないからって……。



「ちょっと!アキ?それ、どういう意味よ!それにオバちゃんってねぇ!私は、まだ21歳ですけどぉ?」



女性はそう言って聖夜さんを見る。



「アキ……?」



そう、思わず口に出した言葉。



女性は聖夜さんのことをアキって呼んだ。



「コイツの名前」



女性は再び私の方を見ると、そう言った。



そして「本名は知らないけどね」と、付け加え、クスッと笑った。




「お互いの本名を知らないなんて、おかしな関係でしょ?」



レイナさんはそう言ってクスッと笑った。



「アキとは、カレカノの関係じゃないしね」



聖夜さんとレイナさんの関係……。



レイナさん自ら教えてくれた。



やっぱりカレカノの関係じゃないんだ……。



じゃあ、2人の関係って、何?



「ねぇ、雪乃ちゃん?」

「あ、はい!」


「私とアキの関係、知りたい?」



レイナさんはそう言ってクスクス笑う。



「えっ?」



私は驚いて、レイナさんを見た。



まるでレイナさんに心を見透かされたようだ。



「レイナ!」



聖夜さんが、レイナさんの名前を呼ぶ。



まるで、いらないこと言うなと警告しているかのように……。



レイナさんは、私を見て肩をすくめて笑うとペロッと舌を出した。




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