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きらめきピーチ
Hyt×Jnt
Hyt side
ゆらりと揺れる地面
それを陽炎と呼んだ人がいる
おしゃれに言い過ぎだろ
鼓膜を突き抜ける蝉の声
文字通り体を刺すような日差し
アスファルトは今にも溶けそうだ
コンビニの中でも一際冷たい場所
白の四角
びっしりと並べられたアイス
その一角
真剣に見つめる姿があった
「仁人、決まった?」
「んー、まだ悩んでる。勇斗は?」
「俺、これ」
「ふうん」
指さす先をチラッと見て、
また視線を戻す
多分2択で悩んでいるとかそんなところだろう
決まったようなので俺もつまんでレジに持ってく
真夏のオアシスを仕方なし出て
街路樹のある通りに差し掛かる
熱風は時折吹くが緑が日を適度に受け止めている
アイスの袋を開けてソーダにかじりつく
隣はもたもたした手元と格闘中
「溶けるぞ」
「わかってるよ、開かないんだよ」
「知ってるよ、貸してみ」
袋を難なく開け
「ほい」
と手渡すと
「どーも」
と軽く返ってくる
「そこはちゃんとありがとう勇斗くん、だろ」
「ありがとう勇斗くん」
「お前俳優なれないな」
あまりの棒読み具合に笑いながら言うと
「いやもう俳優やってんだわ」
とすぐに返ってくる
「ひとくちいる?」
「いらん」
「遠慮すんなよ」
「してない」
「…あ」
「あーあ」
ソーダは地面に落ちた
「俺まだちょっとしか食べてないのに」
「こういうのバチが当たるって言うんじゃないの」
「俺バチが当たるようなことなんもしてない」
「胸に手、当ててみな?」
「…ないなあ」
「じゃあもう日頃の行いだわ」
「もっとないわ」
落としたソーダを見ながらくだらないやり取りをしていると
「あ、蟻」
「うわ、仕事はや」
アイスに気付いた蟻たちがせっせとやってきた
「お前たちはよく働くねえ」
「てかこの蟻でかくない?この辺だけ時空歪んでる?」
思わずしゃがみこみ観察する
大の大人がしゃがみこんで落ちたアイスに蟻がたかる様子を見ている
さぞかしシュールだろう
「ひとくちいる?」
「いいの?」
「勇斗くんが可哀想だから」
「うわー、やっさしー」
俺も大概棒読みで俳優だなんて名乗れない
ニヤニヤとこちらを伺う仁人のアイスに思い切りかぶりついてやった
「まじで?そんないく?」
俺が笑うと仁人もつられるように笑った
蟻はまだあくせく働いている
「戻るかー」
「おう」
立ち上がり歩きだす
「あちーしかでねーわ」
「暑いからしゃーない」
暑いしか続かない会話
入道雲もこっちを見て笑ったようだった
fin.
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