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『あなたにすきってつたえたい』
第3話 「言えなかった」
翌朝。
目覚ましが鳴る。
tt「……ん」
眠い目をこすりながら、スマホを手に取る。
昨日の夜。
jpが言った。
jp『明日、絶対言うから』
何を言うのか。
そればかり考えていたせいで、あまり眠れなかった。
tt「……ほんま、何言うつもりなんや」
スマホを見る。
メッセージは来ていない。
……まだ寝てるんかな。
そう思ってスマホを置こうとした、そのとき。
通知が鳴った。
jp『おはよう』
tt『おはよ』
jp『もう起きた?』
tt『今起きた』
jp『よかった』
tt『今日、昨日言ってたこと聞かせてな』
既読。
……。
……既読がついたまま、返信が来ない。
tt「……?」
数分後。
jp『うん』
たった一言。
なんとなく。
嫌な予感がした。
家を出る。
いつもの場所。
いつもの時間。
けれど。
今日はjpがいない。
tt「……遅いな」
いつもなら、俺より先に来ている。
五分。
十分。
十五分。
tt「……jp?」
スマホを見る。
電話をかけようとした、そのとき。
後ろから声がした。
??「tt!」
振り返る。
jp「……ごめん!」
tt「……遅いやん」
jp「ほんとごめん!」
tt「何してたん?」
jp「ちょっと……」
jpが言葉を濁す。
tt「?」
jp「……なんでもない!」
tt「またそれ?」
jp「いいから、行こ!」
jpが俺の腕を軽く引っ張る。
tt「ちょ、待ってや」
jp「遅刻するよ!」
tt「分かったって」
並んで歩き始める。
いつもなら、何気ない話をする。
でも。
今日は違った。
jpがずっと黙っている。
tt「……」
jp「……」
tt「なぁ」
jp「なに?」
tt「昨日の話」
jp「……!」
jpが一瞬、足を止める。
tt「今日、言うんやろ?」
jp「……うん」
tt「何?」
jp「学校で」
tt「また学校?」
jp「……だって」
jpは俯く。
jp「二人きりじゃないと、無理だから」
tt「……」
胸が高鳴る。
tt「分かった」
jp「……うん」
昼休み。
教室。
俺が弁当を食べていると。
jpが隣に座った。
jp「tt」
tt「ん?」
jp「今日、放課後……」
tt「うん」
jp「昨日の話、するから」
tt「分かった」
jp「絶対来てね」
tt「行くって」
jp「……約束」
tt「約束」
jpが小指を差し出す。
俺も小指を絡める。
いつもの約束。
でも。
今日は。
なぜか、その小指がいつもより熱く感じた。
jp「……」
tt「どうしたん?」
jp「……なんでもない」
tt「顔赤いで」
jp「暑いだけ!」
tt「今日、そんな暑ないけど」
jp「……もう!」
jpが顔を逸らす。
そのとき。
mb「jpくん」
jp「……!」
昨日のαがやってきた。
mb「ちょっといい?」
jp「え?」
mb「放課後、話したいことがあるんだけど」
jp「……」
jpが俺を見る。
tt「……」
jp「……うん。分かった」
tt「……」
その返事を聞いた瞬間。
胸の奥がざわついた。
放課後。
約束の時間。
俺は校舎裏でjpを待っていた。
五分。
十分。
十五分。
来ない。
tt「……」
スマホを見る。
メッセージはない。
二十分。
俺は立ち上がる。
tt「……帰ったんかな」
そう思った、そのとき。
遠くから声が聞こえた。
jp「……だから!」
俺は振り返る。
そこには。
jpとmbがいた。
mb「でも、俺は――」
jp「ごめん!」
mb「……」
jp「ほんとに、ごめん」
mb「……そっか」
mbは寂しそうに笑って、その場を去っていく。
jpはしばらくその背中を見つめていた。
そして。
俺に気づく。
jp「……tt?」
tt「……」
jp「いたの?」
tt「うん」
jp「ごめん!」
jpが慌てて駆け寄ってくる。
tt「……何してたん?」
jp「……」
tt「mbと何話してたん?」
jp「……」
jpが俯く。
tt「……」
jp「告白された」
tt「……」
心臓が。
止まったような気がした。
tt「……そうなん」
jp「うん」
tt「……返事は?」
jp「断った」
tt「……」
jp「だから、ちゃんと断った」
tt「……なんで?」
jp「……」
jpが俺を見る。
jp「好きな人がいるから」
tt「……!」
胸が大きく鳴る。
tt「……誰?」
jp「……」
tt「jp」
jp「……言えない」
tt「なんで?」
jp「言ったら……」
jpが小さく笑う。
jp「負けだから」
tt「……」
そうだった。
俺たちは。
ずっと、この約束に縛られている。
好きになった方が負け。
だから。
どれだけ好きでも。
言えない。
jp「……でも」
tt「?」
jp「その人に、ちゃんと伝えたい」
tt「……」
jp「いつか絶対」
jpが俺を見る。
真っ直ぐ。
逃げずに。
jp「『好き』って言いたい」
tt「……そっか」
声が震えないようにする。
tt「頑張れよ」
jp「……うん」
tt「応援する」
jp「……ほんと?」
tt「ほんま」
jp「……」
jpは少し寂しそうに笑った。
jp「……ありがと」
帰り道。
二人の間には、いつもより少し距離があった。
tt「……」
jp「……」
何も話さない。
俺は考えていた。
jpには好きな人がいる。
そして。
その人に告白するつもりらしい。
……俺じゃなかったら。
どうしよう。
そんなことを考えている自分が嫌になる。
でも。
もし。
もし俺だったら。
……俺は。
どうするんやろ。
tt「……jp」
jp「ん?」
tt「その好きな人って」
jp「……」
tt「どんな人?」
jp「え?」
tt「いや、気になって」
jp「……」
jpは少し考える。
そして。
jp「優しい人」
tt「……」
jp「一緒にいると安心する」
tt「……」
jp「昔からずっとそばにいてくれて」
tt「……」
jp「俺のことをちゃんと見てくれて」
tt「……」
jp「たまに意地悪で」
tt「……」
jp「でも、すごく大切な人」
俺は黙る。
……それ。
全部。
俺やん。
そう思ってしまった。
tt「……へぇ」
jp「何?」
tt「いや」
jp「変なの」
tt「……そうやな」
それ以上、聞けなかった。
その夜。
俺はベッドに寝転がりながら、スマホを見る。
jpとのトーク画面。
最後のメッセージ。
jp『おやすみ』
それだけ。
tt「……」
俺は文字を打つ。
tt『好きな人って、俺?』
……。
送れない。
消す。
もう一度打つ。
tt『俺、jpのこと好きやで』
……。
消す。
また打つ。
tt『今日、言いたかったことって何?』
……。
これなら。
送れる。
指が送信ボタンの上で止まる。
そして。
送信。
数秒後。
既読。
jp『……俺も聞きたいことある』
tt『何?』
jp『明日、絶対答えてね』
tt『分かった』
jp『逃げないでね』
tt『逃げへんよ』
jp『約束?』
tt『約束』
jp『……じゃあ』
少し間が空いて。
jp『明日、好きな人に告白する』
tt「……」
スマホを握る手に力が入る。
tt『そっか』
jp『うん』
tt『応援してる』
jp『……ありがと』
そして。
最後に。
jp『ttも、ちゃんと自分の気持ち考えてね』
tt「……え?」
そのメッセージを最後に。
jpからの返信は来なかった。
俺はスマホを見つめる。
tt「……俺の気持ち?」
分かってる。
そんなの。
ずっと前から。
俺は――
jpのことが好きだ。
でも。
それを認めた瞬間。
俺は。
この勝負に負ける。
……それでも。
もし。
明日。
jpが誰かに告白して。
その誰かが俺じゃなかったら。
俺はきっと。
後悔する。
tt「……」
スマホを握りしめる。
tt「……明日」
小さく呟く。
tt「俺も、言おうかな」
ずっと言えなかった言葉。
ずっと隠していた気持ち。
tt『好き』
その二文字を。
明日こそ。
伝える。
――そう決めた。
けれど。
翌朝。
俺が学校へ向かう途中。
jpから届いた一通のメッセージを見て。
その決意は。
大きく揺らぐことになる。
jp『ごめん、tt』
jp『今日、学校行けない』
そして。
もう一通。
jp『昨日言ってたこと、全部忘れて』
tt「……え?」
――第3話 END
♯たつじゃぱ 人気ランキング第3位になりました!!
いつも本当にありがとうございます!
これからも応援して欲しいです🥺
50♡なんて嬉しすぎます!ありがとうございます😭
Next♡→55
欲張っちゃいます🥺
#ゆあんくん愛され
ゆら★
47,366
コメント
1件
読み終えました……もう、胸がぎゅっとなりますね。 「好きになった方が負け」っていう約束、分かってるのにどっちも相手のこと想ってて、でも伝えられなくて。 特にttが「それ、全部俺やん」って気づくところ、読んでるこっちまでドキドキしました。 最後のjpからの「全部忘れて」がすごく気になる……何があったんだろう。続きが早く読みたいです。