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彼奴を救うために

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彼奴を救うために

6 - 6、俺は…誰なんだろうか。

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2025年01月06日

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『……俺の、……せいなんか。』

分かってしまった。…分かりたくもないけれど……分かってしまったんだ。

『………記憶の無くなる前の俺は、…』

一体何を考えてたんだろうか…。…俺は、亡くなる前の鬱を知らない。

けれど、…今俺の傍にいる鬱なら知っている…、

記憶の無くなる前の俺は、亡くなってしまった鬱しか知らないんじゃないか…?

『……考えても…分からんか…、』

…、ネカフェから出て、近くの公園のベンチに座り込む。

『………、』

言葉が出てこない。

「……ロボロ。」

『……え?』

顔を上げると、そこにはトントンが居た。

『…なんや、…とんとんか。』

びっくりした…大先生が居るのかと思って…、……いや、…大先生が居てもええんやけどさ…なんか、…話しづらいやんか。

「……、どしたん?」

『…あの事故で死んだのは、…俺を庇って死んだんは…彼奴なんやろ?』

「……急に何言ってんねんw…ちゃうわ。…あれで死んだんは、……ちゃう人や。」

『………そんなん、…何が根拠に言えるんや』

「…お前にも言われた無いな…、それで死んだんは、…ちゃう人や。」

『…じゃあ、誰が死んだんや』

「……それは言いた無い…。」

『……そぉか、…ならええわ。』

「…なぁ、ロボロ…、」

『ん?』

「…そんな、…追い詰めんとって」

「…お前は、…何も悪ないねん」

『……、』

「…あの時から、俺は…、おれ、…は…、」

『…言いたくないんやろ?…ええって、』

「……一つだけ言わしてや。」

『…なんや?』

「………お前らはさ、…何時ものように笑いあってて欲しいんや。」

「…せめて、…1月ぐらいまで、…お前らはお前らのままで居てくれへんか」

『……そぉやな、…おん、…そうする。』

それが多分天野呂戊太の願いだと思ったから……いや、…俺が天野呂戊太なのか…?やって、…彼奴らの記憶に多く残っているのは、ロボロなんやろ?…わかんない…、

…記憶のなくなる前の俺は、…本当に…、




誰なんだろうか。




『……帰るわ』

tn「…そう、…あ、気ぃつけてな。」

『…おん。』

俺がそう返事をした瞬間

「…1月22日…、彼奴の誕生日やから、…祝ってやってな」

そう、耳元で誰かの声が聞こえた。

『…え?』

振り向くが、トントンすらそこにはいなかった。

『………』

今日は8月の終わり。…あと4ヶ月程で彼奴の誕生日なんか…、

『……、サプライズしたろ、』

…1月22日…あのカレンダーで記されとったのは…、彼奴の誕生日やったんや…、

『…5年前も、俺は彼奴の誕生日…祝ったんやな…』

ゆっくりと、…俺はそんな事を考えながら家へと足を進めた。

…もう、逃げることは…辞めたから。

……彼奴ともう少しだけ、”いつも通り”を過ごしたいから。

『……綺麗』

見上げた空はとても綺麗だった。

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