『……俺の、……せいなんか。』
分かってしまった。…分かりたくもないけれど……分かってしまったんだ。
『………記憶の無くなる前の俺は、…』
一体何を考えてたんだろうか…。…俺は、亡くなる前の鬱を知らない。
けれど、…今俺の傍にいる鬱なら知っている…、
記憶の無くなる前の俺は、亡くなってしまった鬱しか知らないんじゃないか…?
『……考えても…分からんか…、』
…、ネカフェから出て、近くの公園のベンチに座り込む。
『………、』
言葉が出てこない。
「……ロボロ。」
『……え?』
顔を上げると、そこにはトントンが居た。
『…なんや、…とんとんか。』
びっくりした…大先生が居るのかと思って…、……いや、…大先生が居てもええんやけどさ…なんか、…話しづらいやんか。
「……、どしたん?」
『…あの事故で死んだのは、…俺を庇って死んだんは…彼奴なんやろ?』
「……急に何言ってんねんw…ちゃうわ。…あれで死んだんは、……ちゃう人や。」
『………そんなん、…何が根拠に言えるんや』
「…お前にも言われた無いな…、それで死んだんは、…ちゃう人や。」
『…じゃあ、誰が死んだんや』
「……それは言いた無い…。」
『……そぉか、…ならええわ。』
「…なぁ、ロボロ…、」
『ん?』
「…そんな、…追い詰めんとって」
「…お前は、…何も悪ないねん」
『……、』
「…あの時から、俺は…、おれ、…は…、」
『…言いたくないんやろ?…ええって、』
「……一つだけ言わしてや。」
『…なんや?』
「………お前らはさ、…何時ものように笑いあってて欲しいんや。」
「…せめて、…1月ぐらいまで、…お前らはお前らのままで居てくれへんか」
『……そぉやな、…おん、…そうする。』
それが多分天野呂戊太の願いだと思ったから……いや、…俺が天野呂戊太なのか…?やって、…彼奴らの記憶に多く残っているのは、ロボロなんやろ?…わかんない…、
…記憶のなくなる前の俺は、…本当に…、
誰なんだろうか。
『……帰るわ』
tn「…そう、…あ、気ぃつけてな。」
『…おん。』
俺がそう返事をした瞬間
「…1月22日…、彼奴の誕生日やから、…祝ってやってな」
そう、耳元で誰かの声が聞こえた。
『…え?』
振り向くが、トントンすらそこにはいなかった。
『………』
今日は8月の終わり。…あと4ヶ月程で彼奴の誕生日なんか…、
『……、サプライズしたろ、』
…1月22日…あのカレンダーで記されとったのは…、彼奴の誕生日やったんや…、
『…5年前も、俺は彼奴の誕生日…祝ったんやな…』
ゆっくりと、…俺はそんな事を考えながら家へと足を進めた。
…もう、逃げることは…辞めたから。
……彼奴ともう少しだけ、”いつも通り”を過ごしたいから。
『……綺麗』
見上げた空はとても綺麗だった。
コメント
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tnが大分重要人物なんやな、やっぱ。