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そして彼が言った
「ほら!一度一緒に夫婦で飲んだ同僚がいたじゃないか、彼が毎週日曜日に参加してる集いがあるんだけど、君も一緒にいってみないか?」
「なにかの宗教なの?」
彼は笑って言った
「そんなんじゃないよ、リバティ・トラストという自己啓発の団体なんだ、主にスピリチュアルを専門としていて・・・・」
驚いたことに彼はずいぶん(リバティ・トラスト)を勉強していた。そしてその団体の教祖と言われている「一山大善」のユーチューブの法話を二人で見た
「俺が仕事に行ってる間、この本を読んで色々勉強していてくれ」
と次の日俊哉からまた新しい小冊子を渡された、そこには「妻の心得」と書かれた章があった
読んでは見たもののあまり内容が入ってこず、私はリバティ・トラストのHPを覗いてみた
リバティ・トラストには美しい公式サイトがあり、ウィキペディアの項目にもなっていた
主催者の一山大善は50代の肌の艶が良い男性で、結婚していて6人の子供がいた
妻の貞子夫人の顔写真も載っていた、真っ青なアイシャドーを塗った中年のおばさんが、こちらを見て微笑んでいた
ユーチューブの彼の法話の動画が何本が、掲載されていたので何本か視聴してみた
一山は言葉巧みに時にはユーモアを挟んだ、話で人生の苦しみを説いていた
私はぼんやりしながら父の言っていた言葉を思い出した
父は財産がある家特有の家訓であるように、私も例に漏れず宗教団体には、気を付けるように教育されていた
私の女学校時代の友人関係も、宗教がらみの友人を作らないように、父に厳しく監視されていたものだ
うちは先祖代々の日本神道で新年などは、必ず家族や会社行事で伊勢神宮へ、祈願旅行があるぐらいの日本神道への信仰が厚い、毎年伊勢神宮へ多額の寄付をしているし、祈祷もしてもらっている
櫻崎の財産目当てで寄付を要求してくる、団体は星の数ほどいるが、とくに新興宗教には父は厳しく距離を置いていた
彼らに寄付をするということは、神社にさい銭を投げるのと同じで、非課税になるのでビジネス的な側面で言うと寄付金はまるまる彼らの物になり、いったい何に使っているかは不明で調べる権利はないそうだ
これが父は大いに気に入らなかった
なので一山大善の感動的な法話をいくら聞いても、私の中ではどこか冷めた部分があった
しかしリバティ・トラストについて俊哉が、話すのを素直に聞いていると彼はとても機嫌がよかったので、私は熱心に聞いているフリをした