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『空中要塞 デスカウント』の中……。


「ロストちゃん、どこかなー」


「リアちゃん、どこー?」


白髪ツインテールと金色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『リア』&黒髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ロスト』はお互いを見つけるために、その中を動き回っていた。

しかし、同じ方向でほぼ一定の速度で移動しているため、二人の距離はいっこうに縮まらない。


「おっかしいなー。ロストちゃんが居そうな部屋は全部、壊したはずなのに全然見つからないよー」


「リアちゃんを傷つけそうな警備の人たちは全員倒したのに、なんで見つからないんだろう……」


その時、二人はここで待っていれば、いずれ会えるのではないかと考えた。

しかし、どちらも同じことを考えているとしたら、それは逆効果だと思った。


「うーん、どうしたらロストちゃんに会えるのかなー?」


「リアちゃんに会うにはどうしたらいいのかな?」


二人は考えた。歩きながら考えた。警報が鳴り響く中、考えた。

その結果、二人はお互いの固有武装を使って、壁に名前を書くことにした。


「仮名の固有武装『|血を欲し続ける魔剣《ダインスレイブ》』!」


リアは真紅の魔剣を片手に持つと、壁に自分の名前を刻んだ。


「仮名の固有武装『|九世界を滅ぼした炎剣《レーヴァテイン》』!」


ロストは真っ赤に燃え上がる炎の剣を片手に持つと壁に自分の名前を刻んだ。


『これでよし!』


二人はそう言うとリアはロストの名前を、ロストはリアの名前を見つけるために走り始めた。


「あっ! ロストちゃんの名前だ!」


「あっ! リアちゃんの名前だ! 良かった、無事だったんだね」


この要塞の中は円になっている。

故にこんなことができる。


「よーし! それじゃあ、あとは……!」


「ここを目印に……!」


『壁を壊していくだけ!!』


二人は固有武装を使って壁を壊していった。

円の中心とは円周上のどの点からも距離が等しいところにある。

そのことを知っていた二人は円の中心に向かえば、お互いを見つけることができると考えたのである。


「それー!」


「やー!」


円の中心(白い部屋)にたどり着いた二人は、お互いの名前を呼びながら、抱きしめ合った。


「ロストちゃあああああああああん!」


「リアちゃああああああああああん!」


白いワンピースを纏《まと》った二人の幼女は、ギュッと抱きしめ合った。


「ロストちゃん、もう大丈夫だよ」


「リアちゃん……私……私……」


「よーし、よし。もう大丈夫だよー」


「うう……寂しかったよー」


リア(白髪ツインテール)はロスト(黒髪ロング)がこれ以上、辛い思いをしないように優しく頭を撫でた。

その時、緑色の長髪と灰色の瞳が特徴的な男性が二人にこう言った。


「き、貴様ら! ここで何をしている! 早く部屋に戻れ!」


白い手袋と白いタキシードと白い革靴を身に纏《まと》っている彼の姿を見た二人は、こう思った。

この人は、これから結婚式に行くんだな……と。

故に二人は、彼に満面の笑みをプレゼントした。

しかし、それは逆効果だった。

彼には、二人のそれが自分を嘲笑《あざわら》っているように見えたからである。


「き、貴様ら……この俺が『|漆黒の裏組織《アポカリプス》』の幹部の一人であることを知った上で、ここに来たのか!」


「ううん、違うよ」


「というか、お兄さん、誰?」


「な、何? 貴様らは『グリーン・コンペア』という名を聞いたことがないのか?」


「うん、ないよー」


「今日、初めて聞いたよー」


「で、では、この部屋が俺のものだということも知らないのか?」


「そんなの知ってるわけないでしょ?」


「私たちが知ってるのは薄暗い部屋と怖い人たちだけだよー」


「な、なんということだ……! もし、このことが兄上にバレたら……。あー! こ、こうなったら、ここで貴様らを殺すしか……」


その直後、二人は瞬時に彼の両腕が切れる長さになるまで固有武装を伸ばすと、そのまま彼の両腕を決断した。


「あ……あ……うわああああああああああああ!! 俺の腕があああああああああああああああああ!!」


リアは金色の瞳を輝かせながら、彼に切っ先を向けた。

ロストは赤い瞳を輝かせながら、彼に切っ先を向けた。


『お兄さんが私たちの敵になるのなら、私たちは容赦なんてしないよ?』


「き、貴様らあああああああああああああああ!!」


彼はそう言うと、白いテーブルに置いてあった小さな赤い果実を食べた。

すると、彼は目から血を流しながら、巨大化した。

その際、両腕は決断面から生えてきた。

その姿はもはや人ではなかった。

吸血鬼が本能を曝《さら》け出したかのような姿だった。


「この俺を怒らせてしまったことを後悔させてやる! 覚悟しろよ! 化け物ども!!」


『化け物って、私たちのこと?』


「ああ、そうだ。貴様らは幼女の皮を被った化け物だ!!」


注:幼○戦記の主人公ではありません。


『私たちはね、好きでこうなったわけじゃないんだよ。私たちの中には、親に捨てられた後、地下にあるモンスターチルドレン育成所という名の地獄に運び込まれて、こうなった子もいる……。だから、私たちのことを化け物呼ばわりするのは、やめて』


「だとしても、貴様らが人でないことは確かだ! さあ! 俺と戦え!!」


「どうする? ロストちゃん。お兄さん、あんなこと言ってるけど」


「うーん、まあ、ここで倒しておかないと後で困るかもしれないから、一応、倒しておきたいなー」


「よし、分かった。じゃあ、戦おう!」


「うん! そうしよう!」


二人はそう言うと、ほんの少しだけ力を解放した。


「よい……しょっと……」


「こら……しょっと……」


リアは背中から白い翼を六枚生やすと、宙に浮いた。

ロストは背中からコウモリ型の黒い翼を二枚生やし、先端が矢印になっている黒いシッポを尾骨から生やすと、宙に浮いた。


「それじゃあ、行くよ! ロストちゃん!」


「うん! お互い頑張ろうね! リアちゃん!」


二人は横目でお互いを見て、コクンと頷《うなず》くと、彼に向かって前進した。


『はぁああああああああああああああああああ!!』


「貴様らのような不完全な存在がこの俺に勝てると思うなよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


その後、彼は彼女らの動きについていけず、あっさり敗北した……。


「やったね! ロストちゃん!」


「うん! そうだね! 久しぶりに楽しかったよ!」


二人はニコニコ笑いながら、ハイタッチをした。

肉片になった彼が近くにいるというのに……。


「き……貴様らなんて……兄上の前では……無力だ。覚悟しろよ」


「あれ? まだ生きてたの? まあ、いいや。行こう、ロストちゃん」


「うん、そうだね。早くここから出よう」


二人はそう言うと、仲良く手を繋いだまま、その部屋から出ていった。


「……兄上……後のことは……頼みましたよ……」


彼はそう言うと、意識を失った。

それと同時に、彼の体は自己修復を始めた。



「レッドだけでなく、グリーンもやられたか。まちの様子を見に行くと言ったきり、グレーとも連絡が取れないし……かなりまずいよな……」


『空中要塞 デスカウント』の制御ユニットがある白い部屋で、そんなことを言ったのは『ブラック・ダイヤモンド』。

彼は『|漆黒の裏組織《アポカリプス》』の幹部の中で最強だが、実はものすごく気弱である。

手作りの黒い軍服と白い手袋と左目にある獣の爪痕と赤い瞳と黒い長髪が特徴的な彼はコーヒーを飲みながら、これからどうしようか考えていた。


「レッドとグリーンを倒したあの二人は、本当にモンスターチルドレンなのか? 俺たちが知っている『大罪持ち』より強そうなのだが……。でも、俺の力なら倒せるかな? あー、でも打撃が通用しなかったら、いくら強化しても無駄だよな……。けど、できることは全部やらないと、やられた二人に顔向けできないよな」


彼がブツブツとそんなことを言っていると、例の二人がその部屋にやってきた。

彼は壁が壊されたことより、例の二人がこの部屋に来たことに驚き、失神してしまった。


「あれー? ここどこー?」


「うーん、少なくとも出口じゃないみたいだね」


「そっかー。じゃあ、次に行こうー!」


「うん、そうだね」


リアとロストはそう言うと、彼に気づかないまま、その部屋から出ていった。

数秒後、意識を取り戻した彼は、壁が壊されていること以外、何も異変がないことに気づくと、心を落ち着かせるために、制御ユニットの周りをグルグルと歩き始めた。

部屋の中央部に位置する柱の中にある『赤い球体』こそが制御ユニット。

しかし、それを破壊するには二つの遺伝子が必要である。

一つはモンスターチルドレンの遺伝子。

そして、もう一つは人の遺伝子である。

つまり、人とモンスターチルドレンが融合した存在でなければ、破壊することができないのである……。


「大丈夫、大丈夫。制御ユニットは破壊されない。安心しろ、俺……」


彼は自分の心が落ち着くまで、ブツブツと独り言を言いながら、その部屋の中を歩き回っていた……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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