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湊

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コメント
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うわぁ…もう😭😭😭😭 どっちの気持ちも分かるからこそ切ない泣いちゃいます😭😭 ほんまに話の流れが上手すぎです😭 みんな幸せになれーーっ‼️😭💕
えいきさの辛いけど男前ですき︎💕︎はやくくっついてほしいな〜!りゅうきはたっくんに溺愛される未来がもう見えてます👀✋

セイちゃんの愛でナオちゃん救済してくれますように🫶🏻✨サノさんにも幸せになって欲しいヨーー!!
(🐰視点)
「……え、?……ほ、ほんまに、、?」
“俺さ、昔、ナオと付き合っとったんよね”
いきなり発されたエイキの言葉に混乱していると、なんだか申し訳なさそうにエイキが続ける。
「……うん。なんか、混乱させたらごめんな、?」
「……あ、いやぁ、、ごめん、ちょ、びっくりしてもうて、、」
「そうやんな…、今まで、セイトとこういう話してこんやったもんな、?」
今まで、エイキには仕事の相談とか、落ち込んだ時に励ましてくれるとか、そういう面では支えてもらっていたものの、そういえば恋愛の話をした事ってなかったななんてことに気付く。
エイキは、とにかくビジュアルが良い。
社内でもその容姿は目立つ存在で、新入社員が入ると必ずキャーキャー言われるし、他の部署にまで密かにファンがいたりもする。
そんな奴やから、きっとモテモテやろうし、恋愛の悩みなんてあらへんのやろなぁなんて勝手に考えていた。
でも、ナオの名前を出した時のエイキの顔はなんとなく暗くて、俺が想像していた恋愛ではなかったような、その表情に少し驚く。
「……なんで、別れてもうたかとか、聞いてもええん…?」
「……さっきも言ったけど、……ナオは、本気で人を好きにならんから。」
「……それって、どういう意味やねん、?」
「………俺とは、違ったんよ。…それでまぁ、俺が耐えられんくなってさ。」
「……そう、なんや…、」
深くは話さないエイキに、あんまり触れたくないという気持ちがあるんかなと察して、気になりつつも聞き返せなかった。
「……セイト、ナオと結構仲良いんやね、」
「…え、……あぁ、…まぁ、せやな…、俺が担当になった時からわりとすぐ仲良くなって、たまに遊んだりとかしててんけど…」
言いながら、もしかしてエイキってまだ、なんてことをふと思って、そうやったら俺のこんな話聞きたないよなと急に焦り始める。
「……あの、さ、…エイキって、その、」
「ん、?」
「……いや…、…もしかして、まだナオのこと…、」
“好きやったりする?”
そう言おうとした瞬間、エイキが察したように俺の声を遮った。
「あ、ううん。違うよ、…まぁ、言ったら俺から振ったしな…?そうやないけど、セイトがなんか心配で。」
「え、?俺…、?」
「……ううん、やっぱなんでもない。ごめん、そろそろ仕事戻るね。」
「あ、うん…、」
歯切れの悪いエイキの事が気になりつつも、それ以上深く聞けずに、仕事に戻っていく背中を眺めていた。
***
(🦅視点)
ナオヤが海の家に戻ってきた、次の日。
あの日、カイリュウの事を抱きしめて、本音を漏らして、…キスを、しそうになった、あの時の事にはお互いに触れないまま、何も無かったみたいに、俺とカイリュウは仕事を続けている。
自分でも、あの時の感情はまだよく分かっていない。
……カイリュウは、きっと今、セイトさんの気持ちに気付いていて。
ナオヤの気持ちもあって、なにを優先したらいいのか分からなくなってしまっている。
少しでも、カイリュウの気持ちが軽くなってくれたら。
今、俺にできるのは、それくらいだ。
「カイリュウ、」
「ん、?」
「……最近さ、歌のオーディションどう?」
開店して、まだ海に人が少ないこの時間を持て余したように、カイリュウに夢の話題を持ちかけた。
気晴らしにでもなればいいかな、なんて思いながら。
「…ん〜、まぁ、ちょこちょこ進んではおるんやけどな…」
「そっか…なかなかムズいよね、オーディションも。」
「お前も、ダンサーの方はどうなん?」
「俺もまぁ、それなりかなぁ」
「……ランって、どんなダンスすんの?」
「え?どんな…?」
じっ、と俺を見つめるカイリュウ。
……え?これ、踊れってこと?嘘やろ?
そう思いつつも、見つめてくるカイリュウの期待になんだか応えたくなって、軽く胸でヒットを打ちながら説明をしてみる。
「こういう…ジャンルで言うとポッピンってやつなんやけど、」
「っ、え!なんやねん今の!ちょ、もっかいやって!」
そう言いながら、いきなり俺の胸に手を当ててくるカイリュウ。
なぜか触れられたことに少し動揺しながらも、目を丸くさせてなんだか楽しそうなカイリュウが可愛くて、何度か打ってみせる。
「はははっ!すげー!なんじゃお前!どうなっとんねん!笑」
「もうちょい小刻みにできるよ。笑」
「え?!ほんまに?ちょ、やってやって!」
「ふふっ。ええよ?笑」
俺がそう言うと、胸から手を離して、ワクワクした顔で見つめてくる。
……あれ?なんで手離したんやろ。触れた方が分かりやすいのに。
そう思って、何気なくカイリュウの手を掴むとびっくりしたような顔で握った手を見た。
「っ、え…っ!な、なにっ?」
「え?あ、いや、さっきみたいに、胸に当てた方が分かりやすいかなって」
「……あ〜!あ〜、そういうことな!あぁ…っ、うん、せやな…っ、」
さっきは自分から触れてきたくせに、手を掴むと途端に照れたように視線を逸らすカイリュウになんだかドギマギしてしまう。
……あの時、顔を近づけようとした事を、少しは意識してくれているんだろうかなんて、考え始めると握った手を変に意識してしまい、ぎこちなくなる。
「っ…あ、ごめん、なんか急に、…手、握っちゃって…っ、」
「えっ、?いやいや、ええねん…っ、そんな、気にすることちゃうやろ…っ、」
そう言いながらも全然目が合わなくて、しどろもどろな姿を見て、内心、カイリュウが動揺している事が可愛く感じて、嬉しくなっていた。
“忘れてや”、なんて言っていたくせに、絶対忘れてないやん。
「っ、…お前、何わろてんねん、?」
「…っ、え、?いや?別にっ、?」
思わず口角が上がっていたのを指摘されて、適当に誤魔化しているとお客さんが入ってくる姿が視界に入った。
「あ、カイリュウ、お客さん。」
「え?あ、おん…っ、」
俺達が近寄ろうとすると、なんだか見覚えのある顔のお客さんが手を振ってくる。
「……ん?あ、!」
「あれっ、?おいなんや!リュウキやんけ!」
「へへ〜っ、お久しぶり〜!」
ニコニコと笑顔を振り撒き、店に入ってきたのは、前に来店した時に仲良くなった、大学生のリュウキだった。
「あれ〜?お客さん〜?いらっしゃーい!」
「あ、こんちわっす。」
パタパタと奥で作業をしていたナオヤが声に反応したのか店先に出てきて、リュウキと挨拶を交わす。
「おいなんやお前!元気しとったか〜?」
「めっちゃ元気!てか覚えててくれとってよかったー!」
「覚えとうよ、たっくんの事好きな子やろ。笑」
「ねぇそれ言わんでよ!笑」
カイリュウと俺がリュウキに絡み、会話をしているとナオヤがキョトンとした顔で俺たちを見つめた。
「なんや仲良しやねぇ、カイリュウとランちゃんのお知り合い〜?」
「あ、せやねん、リュウキっていうねんけど、こないだ初めて来てくれて、…まぁ、ちょっと仲良くなってん。…な?ラン?」
「……あぁ、うん。笑」
ナオヤがいない間にサボって一緒に飲んでいた事を言える訳もなく、サラッと流すようにそう誤魔化したカイリュウが面白くて、笑いながら返事をした。
「へぇ〜?…あ〜、そういえば、ちょっとだけナオも見かけたかも?…リュウキくん、?ナオヤで〜す♡よろしくねっ?」
「あ、はい…ナオヤさん。リュウキです。おなしゃーす…!」
「何やねんお前、なんでナオヤには人見知っとんねん。笑」
「いや初対面は緊張するやろ!」
「おいどの口が言うてんねん?」
「まぁまぁ。とりあえずリュウキ、座りなよ。」
「あ、うん。」
リュウキをカウンターの席に座らせると、ナオヤもいる手前、一緒には座らずカイリュウとカウンターの中へ入る。
「リュウキくん、朝からありがとうね〜?♡何か飲む〜?」
「あ、じゃあジュースで…」
「まぁ朝やしな。単価低いけど勘弁したるわ。」
「まじで金でしか俺の事見んやん!笑」
「そらそやろ。客やねんから。笑」
すっかり仲の良い様子のカイリュウとリュウキを眺めながら、リュウキが来たことで元気になったカイリュウと、仕事モードになっているナオヤに少し安堵する。
「リュウキ、ここに来るってことは、たっくんと進展あったん?」
「え?なになに?恋バナ〜?♡」
「え!お前、あの金髪の兄ちゃんとなんかあったん?もしかしてそれ言いに来たんか?」
俺が何気なく聞いた言葉に、乗っかるナオヤとカイリュウ。
「……あ〜、そう。ちょっと話したくて来たんよね」
「なんや声暗いやん、どないしてん」
「うん……ちょっと、ラン兄に話したくて。」
「え、俺、?」
「……あ、俺そういや、やらなあかんことあったねん。ちょっとあっち見てくるなー」
「ナオ、伝票書いてるから気にせんでな〜?」
俺を名指しされ、空気を読むようにカイリュウはそっとその場を離れ、ナオヤは伝票に目を向けた。
2人の優しさに少しクスッとしながらも、リュウキに向き直ると申し訳なさそうな顔で俺を見る。
「…あ、なんかごめんね、仕事中に…」
「ううん……まぁ、2人がせっかく気遣ってくれてるから。…話してみ、?」
「……うん、」
遠慮がちに返事をしながらも、リュウキが口を開いた。
「…ラン兄、たっくんと知り合いなんやろ、?……あのさ、……たっくんが前付き合っとった人のこと、知っとう、?」
「……え、…うん、知っとうけど…、」
突然たっくんの事を聞かれて、何処まで言っていいのか悩んでいると、リュウキが続けた。
「……俺さ、こないだたっくんから聞いたんよ。ラン兄と出会うちょっと前に、恋人ができて、……色々あって別れたけど、今も好きって。」
「っ、……、そう、なんや…、」
やっぱり、あの時たっくんと話していて、全然過去の話をしている顔をしていなかったのは、そういうことやったんやと1人で合点がいく。
「……で、さ。…俺、最初はショックでどうしようって思ったんやけど、……たっくんに言った。諦めんって。」
「っ、え…っ?やるやん…っ、」
「だって悔しいやん。…たっくん、話聞いとったら、相当辛い思いしとうはずなんよ。でも、それでもその人が好きとかさ。俺は絶対そんな思いさせんのに。…そう考えたらなんか、俺がどうしても忘れさせたいって思ったけん、」
たっくんの詳しい事は分からないけど、リュウキの話から、あの人とは辛い何ががあったんだということは察した。
たっくんの事が好きなら、まだあの人のことが好きだと、それを聞かされたリュウキだって相当に辛いはずなのに、たっくんの事を想って、諦めん、忘れさせたいと言い放つ強いリュウキが、無性にカッコよく感じた。
……好きな人が、別の人の事を好き。
リュウキの話を聞いていると、ふと浮かぶ、同じ状況の人物。
「……ナオヤ、今の、聞いてた、?」
「………え、?」
すぐ近くで作業をしていたナオヤに声を掛けると、少し間を置いて、小さく返事が返ってきた。
「……リュウキ、かっこええんよ。好きな人に好きな人がおっても、諦めんのやって。」
「っ…、うん、……かっこええね、?」
ナオヤに、聞かせたかった。
だってナオヤも、諦める必要なんてないから。
もしかしたらリュウキは、背中を押せる存在かもしれない。
ナオヤは複雑そうな顔をしながらも、俺の隣に来て、かっこええね、とリュウキに声を掛けた。
「いや…っ、別に、そんなことないっすよ、、正直、好きな人いるって分かった時しんどかったし。」
「……なんで諦めないでいられるの、?」
「え、?」
リュウキの言葉に、神妙な面持ちでそう聞くナオヤ。
うーん、と少し考えた後、リュウキが言葉を放つ。
「俺も正直不安っすよ。……でも、俺が1番好きな自信あるけん。」
「………かっこよ。」
「え、ありがと。笑」
真っ直ぐとナオヤにそう言い放ったリュウキの男らしさに、思わずかっこいいと声を漏らすと、照れたのか恥ずかしそうに笑った。
ちら、とナオヤを見ると、少し目を丸くして、食らったような顔をしていた。
「……ナオヤ、?」
「っ…あ、…ごめん。……なんか、ちょっとナオ、感動しちゃった。」
「え、まじすか、?笑」
「うん。…リュウキくんに愛されるその人は、幸せやね?」
「そうすかね、、だといいんすけど。笑」
「ナオ、応援してるから!頑張ってね♡」
「あざっす…!」
自分の事は話さなかったけど、少しでも、何か感じ取ってくれていたらいいな、なんて思いながらナオヤを眺めた。
「……で、リュウキ、その話をしに来たん?」
「あ、うん…いや、なんか、ラン兄に聞いてほしかったっていうか。俺も、言ったらもう進むしかないやろ?…やけん、決意表明的な?笑」
「…なるほどね?まじでかっこええやん。俺も応援しとるけん、いつでも話しにおいでな。」
「うん、まじでありがとう。……んでさ、俺、今日初めてご飯誘おうと思ってて。まじパワーちょうだい…!!」
「おう、ええよ。笑」
そう言って俺に背中を差し出してくるリュウキ。バシッ!とエールを送るように力強く叩くと満足したようにニコニコと笑った。
「っしゃ〜!気合い入った!まじ頑張るわ。…うあ〜!緊張する〜!笑」
「え〜、なんか可愛い子やなぁ?リュウキくん。笑」
「そう、可愛いんよリュウキ。笑」
「うるさい、可愛いって嫌やねん!あっ、もう行くけん、…また来てもいいっ?」
「うん。報告待っとうよ。笑」
「ありがと!…あ、カイリュウにもよろしくね!」
バタバタと帰っていくリュウキを、ナオヤと2人でニコニコと眺めていると、カイリュウが様子を伺うように向こうから戻ってきた。
「リュウキもう帰ったん?」
「うん、なんかバタバタ帰ってったよ。カイリュウによろしくって。」
「ほーん?……で、あいつ上手くいきそうなん?」
「今日飯誘うんやって。」
「ひゅ〜!ええやんええやん!笑」
「カイリュウ楽しそうやな?」
「あいつ可愛いから応援したなんねん。」
「分かるけどさ?笑」
「……上手くいったらええねぇ、」
俺とカイリュウが盛り上がっていると、外を眺めながらナオヤがそう小さく呟いて、少し切なそうなその表情に、またお節介やったかなぁなんて内心考えたりしていた。
***
(💖視点)
“俺も正直不安っすよ。……でも、俺が1番好きな自信あるけん。”
リュウキくんの、真っ直ぐで、純情で、一途なその一言が、なんだか胸に突き刺さった。
あぁ、これが、本気ってやつなんや。
これが、恋愛かぁ。
リュウキくんの一言一言が、ナオには眩しかった。
だってナオは、セイちゃんがカイリュウの事が好きって言った瞬間、逃げて、避けて、みんなとも向き合わずに、それどころか適当な男と遊びまくって。
……これのどこが、本気やねん。
本気って言うんは、ああいうことを言うねん。
ナオは、やっぱり、本気やない。
こんなの、本気なんて、認めていいわけない。
リュウキくんを見て、そう思った。
「……上手くいったらええねぇ、」
あの子なら、きっと、振り向いてもらえる。
幸せに、なったらええなぁ。
そう思いながらぼんやりと外を眺めていると、向こうから歩いてくるセイちゃんの姿に気付いて、途端に動揺する。
……やっぱり、あかん。
ナオなんかが、セイちゃんに好きになってもらうなんて、最初から無理やねん。
ナオには、無理なんや。
こんな、どうでもいい男ともヤっちゃうような奴が、ちゃんとした恋愛なんて、できるわけないやん。
ランちゃんには、向き合って欲しいって言われたけど、…ナオは、元から、本気で向き合うなんて、できへん奴やねん。
……リュウキくんとは、違うねん。
「……っ、あ、…ナオ、ちょっと奥行ってくるな…っ、?」
「え、?あ、おん…、」
まだ2人がセイちゃんに気付かないうちに、そっと逃げるように店の奥へ向かった。
***
(🐰視点)
エイキの話をまだ頭の中で考えながら、重い足取りで海の家に向かう。
海の家は今まで、俺にとって癒しの場所だった。
ナオという、甘えてくれる人がおって。
カイリュウという、好きな人がおって。
2人は、ほんまに大切な存在で。
それが、
初めて、甘えてくれなくなって。
俺じゃない、誰かを見ている気がして。
心に、ぽっかりと穴が空いたみたいに寂しくて。
ナオに冷たくされてから、
カイリュウの事を、よっしゃ振り向かせたるわ、なんて気持ちにもなぜかなれなくて。
あんなに、ランに嫉妬していたくせに。
自分の気持ちが、どんどんぐちゃぐちゃになっていく。
そんな時に、ナオとエイキが昔付き合っていたと知った。
俺の時みたいに、当時担当者だったエイキにも、甘えてたんやろな。
そんな姿が浮かんで、なぜか少しだけ悔しいという感情もあった。
……エイキには、絶対言えへんけど。
ナオに、エイキの事、…聞いてみようかな。
いや、…そもそも、また話してくれへんかも。
うだうだと色んな感情を張り巡らせていると、海の家に着いてしまった。
少し緊張しながら入っていくと、カイリュウとランの姿がカウンターに見えた。
「…あ、セイト、おはようさん。」
「おはようございます」
「おはよ、」
そこにナオはいなくて、途端に不安になる。
「……ナオは、?」
「あぁ、…さっき、奥行ってもうてん。」
カイリュウの返事から、やっぱり俺の事を避けている気がして、胸がザワザワし始める。
「……ごめん。ラン、荷物、運んでくれへん、?」
「え?あ、はい…、」
ランに荷物を頼むと、素直に調理場へと運び始めてくれた。
その場にカイリュウと2人になり、この間のランとの事を聞こうとも思ったけど、頭の中ではずっと、ナオは今日話してくれるかな、という事ばかりを考えていて、自分でも混乱していた。
「……あ、ナオヤ来たで、」
「えっ?」
結局カイリュウに何も言えないままでいると、奥からナオが戻ってきて、俺を見た瞬間に、ふいっ、と隣にいるカイリュウへ視線を逸らした。
その態度に、胸がぎゅっと締め付けられて、俺の知っているナオがいなくなったみたいで苦しくなった。
「っ……ナオ、」
「……セイちゃん、おはよ。」
口はニコッと笑っているけど、目線はずっとカイリュウに向いていて、一度も俺を見ないナオに、寂しさで心がどんどん重くなる。
ナオの視線を浴びるカイリュウに目をやると、目が合って、俺達の様子を見かねたようにカイリュウが口を開いた。
「…っ、ナオヤ、…お前、セイトと話し…
「カイリュウ、…ナオ、ちょっと、買い出し行ってくるな?」
「えっ、?ちょっ、おま…っ、ナオヤ…っ、!」
結局俺と話すことなく、ナオはそう言ってそそくさと店を出て行ってしまった。
……あかん。
全然、話してくれへんくなってもうた。
なんで、こんなことになったねん。
柄にもなく泣きそうになっていると、カイリュウが静かに口を開いた。
「……セイト、」
「っ……ん、?」
「……俺が、…言うのは、違うかもしらへんけど。……あいつは、いつもお前の話しかせえへんやったで。」
「……え…、?」
「それだけはわかったってや。」
そう言って、トン、と俺の肩を叩くと、カイリュウは仕事に戻っていった。
“俺が言うのは違うかもしらへんけど”
言葉を選ぶように、そう言ったカイリュウは、俺の気持ちに気付いているような気がした。
それと同時に、俺が、ナオへ寂しさを覚えていることも、俺の気持ちを全てを包んだような、カイリュウの優しさを、なんとなく、感じていた。
“あいつは、いつもお前の話しかせえへんやったで”
カイリュウの言葉に、”ナオはセイちゃんしか見てへんよ”というナオの言葉を思い出す。
……もし、ナオが、俺の事を好きなんだとしたら。
俺は、カイリュウが好きで、今までずっと、カイリュウの事しか見てこなかった。
もし、ずっと、俺の事を想ってくれてたんやとしたら。
ずっと傍で、ナオは何も言わず俺とカイリュウを見てた。
ずっと、何も変わらず、セイちゃんセイちゃんって、ニコニコ笑って甘えてくれていた。
……もし、ナオが、俺のことが好きだと告白していたら、?
きっと、俺は悩んだだろう。
もしかしたら、俺がナオを、避けるような事があったかもしれない。
俺がずっと、真っ直ぐにカイリュウだけを見れていたのは、
……もしかしたら、ナオが俺に気持ちをぶつけてこなかったからかもしれへん。
俺は、ランが来た瞬間、対抗心を燃やして近づいたのに。
ナオは、ずっと、俺のことをただただ見てくれていた。
ずっと、傍にいて、ただただ俺を、想ってくれていた。
……そんな事、普通できへん。
そんな、深い愛情、
本気で好きやなかったら、持たれへん。
「っ……、なお、…っ、」
俺がここへ来ると、いつもナオが”セイちゃーん♡”と笑顔で引っ付いてくる姿を思い出して、ナオの愛情に今更気付いて、目頭が熱くなる。
「……セイトさん、荷物、運び終えましたよ、」
「っ…、え、…あぁっ、…ありがとうな、っ、」
ランが戻ってきて、呼びかけられた声に我に返る。
少し焦りながら返事をすると、俺が涙目になっているのがバレたのか、顔をじっと見つめられる。
「……っ、なんやねん、ラン…、」
「……ナオヤ、どこ行ったんですか、?」
「…あぁ…、買い出し行くって、出てってもうてん…」
「……買い出し、?…行く必要ないんやけどな。」
「…え、?」
「あ、セイトさん、時間大丈夫ですか?」
「…あっ、…おん、戻るわ。…じゃあ、またな、」
ランの言葉が少し気になりながらも、時計を見ると戻らないとやばい時間になっていて、慌てて店を出た。
急ぎ足で砂浜を歩いていると、人が増えてきた海岸に、ナオの姿があった。
買い出しから戻ってきたんかな。
……声、掛けても、話してくれへんやろな。
そう思いながらも、足は近づいていく。
ナオを目で追いながら歩いていると、急に手を振り始め、同じく手を振る男がナオと距離を縮めていく。
……誰やねん、あいつ。
そのまま2人で歩いていく方向へついていくと、ふいに男がナオの手を引っ張り、物陰に隠れていった。
なんだか妙な胸騒ぎがして、そっと遠くから物陰を覗くと、
男が、ナオの身体に触れ、そのまま、キスをしていた。
「っ、……、え……っ、」
心臓がドクドクと嫌な鳴り方をして、汗がだらりと背中を伝った。
唇が離れ、ナオの顔が見えそうになった瞬間に立ち去って、足早に車へと向かった。
車に乗りこみ、しばらく何も考えられずにいた。
ずっと、心臓がバクバクと音を立てている。
“ナオはセイちゃんしか見てへんよ”
“ナオにして”
そう言って、俺に、キスしたくせに。
……あれは、ほんまに、なんやったねん。
“咄嗟にっていうか。なんでもないから、あんなの”
“雰囲気で言ってもうてん”
……あの言葉は、誤魔化したわけとちゃうん?
なぁ、ナオ。
なんで、なんも言うてくれへんの。
なんで、俺から逃げんねん。
“ナオは、本気で人を好きにならんから”
よく理解できていなかったエイキのあの言葉が、頭の中で、さっき見た光景と合わさっていた。
***
「……っ、セイト…?!…ちょっ、話そう、?な、?」
会社に戻るも、多分放心状態だった俺を見たエイキが、慌てて俺を引っ張り外へと連れ出した。
引っ張られるままに外のベンチへ座らされると、何があったん、教えて、と質問を投げかけられる。
「……エイキ、」
「ん…?」
「……あの言葉の意味、わかったで。」
「…あの言葉、?」
「………ナオは、本気にならへんってやつ。」
「……なんかあったん、」
何かを察するように、そう静かに聞いてくるエイキ。
「……さっき、見てもうてん。…男と、キスしとるとこ。」
そう告げると、エイキは眉間に皺を寄せながら、一点を見つめていた。
「……あいつ、まだやってるんやな。」
「……え、」
「……ううん。こっちの話。」
ずっと眉間に皺を寄せたまま、1人考え込むエイキ。自分の感情が未だに追いついてこないまま、ただ放心していると、心配したように顔を覗き込まれる。
「……セイト、大丈夫、?」
「……大丈夫、……なんかも、もう、ようわからへんねん…、」
「…そう、やんな……、」
「……ナオにとって、俺って、なんなんやろな…っ、」
ふと漏れた本音と共に、涙が出そうになって、自分の感情に脳が追いつかないままでいると、エイキが俺をじっと見つめた後、ふいに立ち上がった。
「………セイト、俺、ちょっと取引先行ってくるな。」
「……え、?」
このタイミングで、?
なんて思ったけど、仕事中やしそれはしゃあない。
「……わかった、気いつけてや、」
「うん、……後でまた話そ。」
そう言い残して、エイキが車に乗り込むのをぼんやりと眺めていた。
エイキが乗った車が会社を出ていくのを、目で追いながら、ふと違和感を覚える。
……あれ。
取引先って、あっちやったっけ。
小さく首を傾げたけど、
すぐに考えるのをやめた。
今は、それどころやなかったから。