テラーノベル
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おかゆを食べ終わると、陽一さんは風邪薬を飲んでまたすぐに眠ってしまった。
規則正しい寝息が聞こえてくる。洗い物を終えた私は、ベッドサイドに戻り、帰り支度を整えた。今はゆっくり休ませてあげないと。
「……ん……」
眠りながら、彼が小さく身じろぎをする。
その無防備な顔を見ていると、愛おしさが込み上げてきた。さっきの欲情とは違う、もっと温かくて、深い感情だった。
私はそっと身をかがめた。彼の前髪を優しく払い、熱のある額に、自分の唇を寄せる。
——ちゅっ。
触れるだけの、おまじないのようなキスだった。
「早く元気になってね。……デート、いっぱいしたいから」
耳元で小さく囁いて、私は彼の部屋を後にした。
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