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風邪をこじらせてしまった涼ちゃんは、いつも以上に体が動かず、
呼吸をするたび喉が焼けるように熱い。
咳も止まらず、胸を締め付けるような重さに耐えていた。
熱はどんどん上がっていき、
頭がぼうっとする。
視界もにじんで、
少し動こうとしただけで、世界がぐらりと揺れる。
うっ、と込み上げる吐き気に口元を押さえながら、
意識がだんだん遠ざかっていくのを感じる。
「涼ちゃん!大丈夫?しっかりして!」
𓏸𓏸が駆け寄ってきた。
額に手を当てて熱を確認し、心配そうな顔で覗き込む。
「くらくらしない?目の前、真っ白になってない?」
「ちゃんと息できてる?吐きそう?
水、飲めそう……?タオル、冷たくしようか?」
𓏸𓏸はドタバタと部屋を走り回り、
氷枕や冷たい飲み物、
タオルや体温計を次々に持ってくる。
でも、涼ちゃんの意識はどんどん遠のいていく。
ぼやける視界の中で、
𓏸𓏸の声だけが必死に、懸命に、
自分を呼び続けていた。
(……ごめんね……また心配ばかりかけてる……)
本当は「大丈夫」って言いたいのに、
声がうまく出せない。
𓏸𓏸の手のぬくもりだけが、
遠ざかる意識の中で、微かに残った。
𓏸𓏸は涼ちゃんを気遣いながら、
冷たいタオルで額を拭き、
枕元に必死に寄り添い続けた。
「大丈夫、大丈夫だから……」
そんな𓏸𓏸の声も、
涼ちゃんには遠く、淡く響いていった。