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高熱、咳、吐き気――何度も呼びかける𓏸𓏸の声も、
涼ちゃんにはもう遠い波音のようにしか聞こえなかった。
(……𓏸𓏸……)
その名を心の中で呼んだ瞬間、
視界は真っ白になり、
全ての音も消えた。
「涼ちゃん!? ねえ、涼ちゃん――!」
𓏸𓏸は必死に呼びかける。
肩を揺さぶっても、反応がない。
恐怖と焦りが喉を締め付ける。
「お願い、目を開けて……涼ちゃん!」
すぐに𓏸𓏸は携帯を手に取り、
慌てて119番に電話をかけた。
サイレンの音が近づく。
救急隊員が部屋に駆け込んでくると、
涼ちゃんを慎重にストレッチャーへと移した。
𓏸𓏸は涙ぐみながら、その手を離さない。
「この子、もともと体が弱くて……熱が下がらなくて、今……」
救急救命士や看護師たちの短い会話が、
車内に響く。
「熱は?――41度近い……」
「呼吸、浅くなってます!」
「点滴準備して。脈も遅い、呼びかけ反応無し。救急救命センター連絡を。」
無機質なライトの下、
涼ちゃんの顔は真っ青で、小さく震えている。
𓏸𓏸はストレッチャーの傍らで、
涼ちゃんの手をぎゅっと握りしめ続けた。
その手の温度だけが、天音にとってこの世界の全てだった高熱、咳、吐き気――
何度も呼びかける天音の声も、
涼ちゃんにはもう遠い波音のようにしか聞こえなかった。
(……天音……)
その名を心の中で呼んだ瞬間、
視界は真っ白になり、
全ての音も消えた。
「涼ちゃん!? ねえ、涼ちゃん――!」
天音は必死に呼びかける。
肩を揺さぶっても、反応がない。
恐怖と焦りが喉を締め付ける。
「お願い、目を開けて……涼ちゃん!」
すぐに天音は携帯を手に取り、
慌てて119番に電話をかけた。
サイレンの音が近づく。
救急隊員が部屋に駆け込んでくると、
涼ちゃんを慎重にストレッチャーへと移した。
天音は涙ぐみながら、その手を離さない。
「この子、もともと体が弱くて……熱が下がらなくて、今……」
救急救命士や看護師たちの短い会話が、
車内に響く。
「熱は?――41度近い……」
「呼吸、浅くなってます!」
「点滴準備して。脈も遅い、呼びかけ反応無し。救急救命センター連絡を。」
無機質なライトの下、
涼ちゃんの顔は真っ青で、小さく震えている。
𓏸𓏸はストレッチャーの傍らで、
涼ちゃんの手をぎゅっと握りしめ続けた。
その手の温度だけが、𓏸𓏸にとってこの世界の全てだった。
「涼ちゃん……お願いだから、目を開けて……私の声、聞こえてるよね……?」
涙声で、何度も、何度も、
震える声をかけ続ける。
救急車はサイレンを響かせ、
夜の街を駆け抜けていった。