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-雪斗side-
深夜4時。自分の部屋から出てひんやりとしたフローリングを歩く。
蒼は寝てるだろう。なるべく静かに浴槽へと向かう。
明日が休みで良かった。
こんな時間に起きるなんて絶対遅刻やし。
僕は汗が染み込んでしまった服を脱ぎ、そのまま浴槽の扉を開ける。
そして蛇口を捻ってお湯が出てくるのを待つ。
「…やな夢、見てもーた」
数秒後、自分の体にお湯が当たる。
軽く汗を流したらもう一度寝よう。
シャワーの蛇口を閉め、タオルで体を拭く。
自分のネックレスが脱衣所の電球の反射で光る。
あれからずっと離さずにつけているネックレス。
学校のときは制服に隠れて見えないから誰にも気づかれることはない。
琴…。
僕は新しい服に着替え、再び冷たいフローリングを歩いて自分の部屋に戻った。
樋口楓。
琴を自殺に追いやった張本人。
写真も添付されていたから、あの樋口楓で間違いないだろう。
この桜道中央高等学校を受験するのは琴の手紙で知っていた。
クラスが同じだったのは、たまたま。
ラッキーかアンラッキーかはわからない。
昨日蒼は言っていた。
樋口楓と学級委員で同じになった。
絶対に証拠を掴む。
それまでは雪は動くな。いつも通りの学校生活を送れ、と。
僕はわかった、というしかなかった。
そして蒼に気をつけるんやで、と声をかけたのだった。
自分のベッドに横になり、布団をかぶる。
…もう一度、寝よう。
今度は悪夢、見ませんように。