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蝶舞(かれん)@常にスランプ
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驚いた声を上げたレイブにアスタロトは説明を始めた。
自分達悪魔が空に旅立つ直前、コユキと善悪はその存在を消滅させたが、無謀とも見えたデイモスとの戦いに於いて、全ての悪魔が恐れる事無く勇猛果敢に戦いを続け、二人に誓いあった通り勝利を手にしたと語った。
その後、アスタロト始めとする魔神ですら、数千年の時を経なければ自我を取り戻せ無い程の激戦である。
戦いに赴いた悪魔たちの中には、魂魄の真髄とも言うべき魔核、真核すら破壊され尽くし、消滅した者も少なくは無かった筈である。
時に邪悪でともすれば自己中心的な行動が見られがちな悪魔や魔獣、彼等は一柱が欠ける事無く、魂からの忠誠、マラナ・タの言葉を捧げた主人との約束に殉じたのだ。
アスタロトは空を指差して言葉を続けた。
孤独を感じた時は月を見よ、と。
二つの月を囲む色鮮やかなオーロラの一つ一つ全てがレイブ達の先駆者、『抵抗者』の朋友であると。
空を見上げて感嘆の息を吐くレイブにアスタロトの言葉は続く。
『そして光影のオーロラ…… 魂魄の証はここ、岩窟の洞窟に残されていた』
「え? …………あっ、そう言う事かっ!」
アスタロトの表情は骨とは思えないほど晴れやかな笑顔に映った。
『そうだ、地上に残った多くの仲間達、ニンゲンや魔獣、竜だけでは無いぞ! タンバーキラーやアキザーキラー、ユーカーキラーを始めとする先人たちの遺物や技術…… 我等の同志達はそれぞれの専門技術を持ち、個々に独自のスキルを手に入れていた、お前がまだ知らぬ遺産が残されている可能性は非常に高い、どうだ?』
レイブは唖然としながらもはっきりとした口調で答える。
「彼等の技術や遺物、アーティファクトを探し集める事が出来れば、現状目前まで迫っている滅びを遠ざける事が出来るかもしれない、アスタさんそう言うんですよね?」
『違うぞレイブ、『抵抗者』の目的は滅びを遠ざけるのではない、この地球を解放するのだ、滅びと言う忌むべき束縛からな』
「っ! は、はいっ! 俺頑張りますっ! アーティファクトを集めて世界を滅びから解放しますよ! ……んで、具体的にはどうすれば良いんですかね、ハテナ?」
やる気にはなったようだがレイブは全てにおいてこんな調子だ。
アスタロトはこれからの旅、まずは東の森、獣の国クルン=ウラフとその北東、竜王の里を目指す中で、出会った生き物に聞いて回るべきキーワードを列挙していった。
『聖女と愉快な仲間たち』『六道の守護者』『オニギリ友の会』『抵抗者』『聖女』『聖戦士』『茶糖』『幸福寺』『オールスターズ』『コユキ』『善悪』『スプラタ・マンユ』『だんだんだいん』『辻井ちゃん』『天空海』etc
次々と告げられたキーワードであったが、案の定憶え切れないと泣き言を言い出したレイブの為に、アスタロトが書き残してくれる事となった。
レイブは読む方は兎も角、筆記が怪しい位の学力だった事がここで魔神様の手を煩わしてしまう事となる、勉強も大事なんだな、やっぱり。
アスタロトはレイブが背嚢から取り出した干し肉を入れる用のズタ袋にキーワードを記入しながら何気なく言う。
因みにインクはレイブの肩から流れ落ちる血液である。
『ああ、それとバストロな、あいつ多分まだ生きているぞ』
「ほーそうなんです? って、え、えっ、ええぇぇーっ!」
『おう、岩窟の周りにあいつらしい魔力の残滓が感じられたからな、割と最近の感じだったからチョイチョイ戻って来ているのかもしれないな、っと『四桐鯛男』と『ザン〇ット3』、後は……』
「し、師匠が…… い、生きている?」
『『狂乱の迷宮』、また手が空いたら探してみれば良いんじゃないか? レイブ? おいレイブっ! 大丈夫か?』
「はぁはぁ、き、急に目が回ってぇ…… うーんー」
どうやら流血が越えてはいけない量を過ぎたらしい。
遠のく意識の中でレイブの耳に届いたのはいつも通りのアスタロトの声であった。
『これ書き終えたら死ぬ前には治してやるから心配要らんぞ、いつか又な、わがレイブよ』
それを最後にレイブの自我は混濁の闇に包まれてしまうのであった。