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鷹槻れん

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鷹槻れん

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宇津Q
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#甘々
猫塚ルイ

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※この物語はフィクションです。
作中の受験制度や日程、進路に関する描写は、実際のものとは異なる場合があります。
あくまで物語としてお楽しみください。
これから受験をされる方は、実際の制度をご確認ください。
『第二十一話 その先の選択』
──九月の連休が明けた。
朝の教室には、少しだけ秋の気配が漂っていた。
「進路希望調査票、集めるぞ」
担任が教壇から声をかけた。
千夏は机の上に置かれたプリントを見る。
第一志望の欄には、すでに大学名と「教育学部」と書いてある。
夏休みに結衣と見学した私立大学。
あの日から、自分が何をしたいのかを考えるようになった。
──教師になりたい。
その気持ちは、今も変わっていない。
「千夏、もう決まってるんだ」
隣から結衣が覗き込んだ。
「うわっ!」
千夏は慌てて隠そうとする。
結衣はイタズラっぽく笑う。
「もう見えちゃったよ」
「……変かな」
「教育学部?」
「うん。先生……になりたいから」
「そっか」
結衣は笑った。
「千夏っぽいね」
「……そうかな」
千夏も小さく笑った。
「結衣さんは?」
「千夏が受けるんなら……私も頑張っちゃおうかな」
「ほんと!?」
「一緒にキャンパスライフ送ろうぜ!」
──数日後。
三者面談の日。
千夏は母親と一緒に教室へ入った。
担任は調査票を机の上に置いた。
「第一志望は、西東京大学の教育学部ですね」
「はい」
「将来は教師になりたい、ということでいいですか?」
「……はい」
担任は成績資料に目を落とす。
「この大学なら、今の成績で十分合格を狙えます」
母親がほっとしたように頷いた。
千夏も少しだけ安心する。
けれど、担任は続けた。
「ただ、一つ提案があります」
千夏が顔を上げる。
「国立大学も考えてみませんか?」
「国立……?」
思わず聞き返した。
「教育学部のある国立で、今の成績なら十分射程圏内の大学があります」
「私が……国立を?」
「はい」
担任は資料を差し出した。
「もちろん、簡単ではありません。共通テストもありますし、二次試験の対策も必要です。今の第一志望より、勉強する量は増えるでしょう」
千夏は資料を見る。
聞いたことはある大学の名前。
入試科目。
試験日程。
今まで見たことのない数字や言葉が並んでいる。
「でも、挑戦する価値はあります」
担任はそう言った。
「今すぐ第一志望を変えなさい、という話ではありません。まずは選択肢の一つとして考えてみてください」
千夏は黙って頷いた。
「でも、もし進路変更するなら早めがいいですね。国立は甘くありませんよ」
面談が終わって教室を出る。
母と廊下を歩きながら、手元の資料を見る。
母は隣で色々話しかけてきていたが生返事しか返せない。
──国立大学。
その言葉が、頭から離れなかった。
──その日の夜。
千夏は悠真の部屋にいた。
普段は週末の昼間にしか訪れないが、『緊急案件です!』と連絡して特別に入れてもらった。
テーブルの上には、昼間もらった資料が広げられている。
「……国立?」
悠真が資料を見る。
「うん。先生に勧められました」
「今の第一志望より難しいってことか」
「そうみたいです」
千夏は資料の端を指で押さえた。
「今の成績なら、十分合格圏内なんだって」
「それなら、かなりいい成績なんじゃないか?」
「でも、国立は大変なんですよね?」
「まあ、簡単ではないな」
「共通テストとか、二次試験とか……」
千夏はため息をついた。
「私、大学に行ければいいと思ってた」
悠真は黙って聞いている。
「先生になりたいって決めて、教育学部に行く。それだけでいいと思ってた……」
「うん」
「でも今日、先生に国立って言われて……」
千夏は資料を見る。
「なんか急に、受験って大変なんだなって思った」
悠真は少し考えてから言った。
「でも、それって悪いことじゃないんじゃないか?」
「どういうこと?」
「前は『どんな目的で、どの大学に行くか』を考えてた。でも今は、『どの大学で学ぶか』まで選べるところに来たってことだろ」
千夏は黙る。
「国立を受けるかどうかは、じっくり考えればいい。先生が勧めてくれたってことは、少なくとも千夏ちゃんにはその可能性があるってことだ」
「可能性……」
「うん」
千夏は資料をもう一度見た。
「私、本当に受けられるのかな」
「それを調べるところからじゃないか?」
「……調べる」
「そう」
「どうやって?」
「自分で考えなさい」
千夏は不満そうに口を尖らせる。
「お兄様、時々不親切になりますよね」
悠真は目をそらしてコーヒーを飲む。
千夏もカップに口をつけ、最後の一口を飲み干す。
「でも、見学した私大受験をやめろってことじゃないですよね?」
「そっちは併願にする手もあるぞ」
悠真はカップで口元を隠して笑った。
「選択肢を増やすことと、今までの選択を捨てることは別だから」
千夏は少し考えてから頷いた。
「……そっか」
そして資料を手に取る。
「じゃあ、ちょっと調べてみますっ」
その声は、少しだけ弾んでいた。
──千夏の自室。
千夏は机に向かっていた。
目の前には、夏休みに見学した大学のパンフレット。
その隣には、今日もらった国立大学の資料。
「教育学部」という同じ文字が並んでいる。
以前の千夏なら、どちらも自分には遠い世界の話だった。
でも今は違う。
自分が選べる場所として、目の前にある。
でも、結衣の「一緒にキャンパスライフ送ろうぜ!」の言葉も頭の中で響いている。
千夏はペンを持った。
パンフレットを開きながら、ゆっくりと資料に目を通していく。
確認したい箇所にペンを引く。
明日、先生に相談してみよう。
できる事は『人の話を聞く』
そこからだ。
夢は、見つかった。
その先には、いくつもの道がある。
千夏はその中から、自分の進む道を探し始めていた。
──続く
コメント
3件
受験って、将来のことを考えないといけないので、いつも目を背けたくなります。 千夏さんは「教師」という夢を持っている時点でめっちゃすごい😆
いや~、今回もグッときたわ!千夏が「教師になりたい」って夢を見つけて、そこから「どこの大学で学ぶか」って選択肢が広がっていくの、めっちゃリアルで共感した。悠真の「選択肢を増やすことと、今までの選択を捨てることは別」って言葉、刺さるな。千夏の前向きな決意が可愛くて応援したくなる🔥 次も楽しみにしてる!