※死ネタ、アイスバース、年齢操作、年齢変化
X(旧Twitter)で上げようと思っているやつです
他界隈のCPで書いたやつはXに上がっているのですがこのふたりで見たかったんです…。
このふたり初めて書くので暖かい目で見てください!口調違うかも…
少し長めなので時間がある時に見た方がいいかもです!
誤字注意
この先伏字無し
ーーー
🥂✨
「あ、アニキ!」
「ん?どうした」
前の席から甲斐田は座る位置を180°変えて俺と向き合う。話しかけてきた彼は無邪気で太陽の様な眩しい笑顔をこちらに向ける。
「3日後夏祭りあるんですけど良かったら一緒に行きません?」
「ははっ良いなぁ…そうするか。」
そう返答すると晴は「じゃあ約束!」そう言ってニコッと微笑んだ。その笑顔を見て自分の心臓が早鐘を打つかの様にドクドクと五月蝿い。俺は甲斐田のことが好きだ。ずっと前から、だから次の夏祭りが告白するチャンスかもしれないと顔を熱くさせる。教室の窓から流れてきた涼気が熱くなった俺の頬を撫でた。
ーーー
🌞
「っにしても相変わらず暑いなぁ…」
「そうですね、まさに真夏の炎天下!」
学校からの帰り道。駄菓子屋へ少々寄り道をしてラムネとアイスを一つずつ買って海岸沿いの道路を歩く。時々地面が陽炎によって揺らめいて夏の暑さを嫌にも感じさせる。
「あ、アニキ!アイス一口くれません?」
「いいけど…じゃあラムネ一口ちょうだい」
そう言ってお互いの持っていたものを交換する。僕は不破さんの事が前から好きだ。好きだからこそ食べ物の共有は嬉しい。わざと不破さんが食べた所をシャクッと食べればキーンと顳顬辺りが痛くなる。そして何度も経験した事のある痛みを味わう。それと同時にいつもとは違う甘い味がした。自分もよく食べるアイスなのに初めての感覚だ。そっと自分の唇を撫でる。そしてアニキの唇を想像する。頬を赤くさせ体が火照る。これが甘い恋の味…。慣れない痛みと甘い味に顳顬を抑えながらラムネの感想を貰おうと横を見る。そこには誰もいなかった。
何処に行ったのだろうと辺りを見渡せば少し離れた後ろの方にアニキは居た。声を掛けようとしたが声が出ない。海を見つめる彼の顔に見惚れてしまう。彼の綺麗な目は海を見つめていて、いつもの紫の瞳が空と海を写して水色に混ざった鮮やかな瞳に変わっていた。整った顔の上を汗が流れ顎から水滴が滴り落ちる。彼の長い髪は後ろで結ばれていて髪も汗で少し濡れている。結ばれた髪の下、白い首筋にも汗が伝う。髪を汗で濡らしてしまうほど暑いのに涼感な顔をして呆然と不破さんは海を見つめている。
「ッあ…ア…アニキ。何してんすか?」
「あ…ごめん。ちょっとぼーっとして」
「ぼーっとって何すか?恋の病でも罹ってるんですかw」
「ははっそうかも」
そう言って雑談をしながら互いの家に帰る。
そうして自分のベットにダイブして考える。
僕が不破さんを好きだと自覚したのはほんの数ヶ月前の話。前から他の人とは違う感覚がしていたがまさか恋だったとはと今では思い出話の様に懐かしい。そして自己中な妄想が始まる。
「あっちが僕のこと好きで夏祭りの時に告白してきたりして…なんちゃって」
「そんな都合のいい話ラブコメでしか見たことないし… 」
「あーもう。当たって砕けろ精神で告白して振られよ…」
そう言って疲れた体をベットに沈めて意識を手放した。
ーーー
夏祭り当日
ーーー
🥂✨️
今日は夏祭り当日。だが約束の時間まで寝てしまった。昨日は為服を着替えずそのまま寝てしまっていたようだ。パパッと準備を済ませて待ち合わせ場所まで猛ダッシュをする。
「はっ…はあっ…ッく…ハッ」
待ち合わせ場所が見えて来た時。向こう側から自分と同じ様に走って来る奴がいた。
「ッハ…アニキ!!!!」
「はぁっはあっ…甲斐田」
手を膝に乗せて休憩をしていると甲斐田は急に俺の手首を掴んで走り出した。
「不破さん!もう花火始まってますよ!」
「ああ…ごめん、」
微かに向こうのほうからドンっと音が聞こえる気がする。だがそれを走ったからなのか好きな人に手を取られたらか心臓の鼓動で上手く聞き取れない。自分よりも体力が無く足も遅い彼が俺の手を取って道を先導している。その光景と一生懸命走る彼の姿に見惚れて、「ふはっ」と自然に幸せな笑みが溢れた。
ーーー
🥂✨
しばらく走っていると急に森の方へと腕を引かれる。
「えっちょ…甲斐田?こっちじゃないけど…」
「こっちに花火が綺麗に見れる穴場があるからッハ…ハッ」
そう甲斐田に連れられて木々の隙間を縫う様に走れば急に視界が開ける。
「はあっ…綺麗…」
「でしょ?」
着いたのは街を一望出来る高台にある丘だった。住宅街の灯りと祭りの屋台の灯り達がギラギラと光っている。
その瞬間辺りにドカンと音が鳴り響いた。
斜め上を見上げると街の光に負けないほど輝く花火が上がった。
「ここ花火良く見えるからアニキと来たくて…」
その言葉を聞いて胸が高鳴り体温が高くなる。自分の感情を隠す様に言葉を紡ぐ。
「綺麗やな、と言うかこんな所よく知ってたなぁ。もしかして探してくれたん?」
「ふふ、秘密」
そう言って笑い合う。花火が数発音をたてながら夜空に咲いていく。その花火を見ながら自分の気持ちに整理を付け、隣の彼に話しかける。
「か、甲斐田」
そう話しかけると彼は「ん?どうしました?」といつもと変わらないトーンで話す。
「は、晴のことが…好き、です…」
そう言い放ち、顔を見る。甲斐田は口を半開きにして数秒フリーズした後急に顔を赤らめて視線を逸らす。見えなくなった顔から咳払いの声が聞こえて、彼もまたこちらを向いた。
こちらを振り向いた甲斐田の顔は、嬉しそうで、でもどこか悲しそうで。花火に照らされる顔の輪郭と瞳は彼の儚さをより一層引き立てた。その顔に見惚れていると。急に甲斐田が僕の頬にそっと片手を伸ばす。そうして、嬉しそうなでもどこ悲しそうな顔で
「僕も好きです…不破さん。」
そう言うとキスをしてくる。急に与えられたそれに自分も頑張って答えようと晴に近づく。そうしていると口を一瞬開けた瞬間。舌を捩じ込まれた。突然の事に驚いたが止める程の理性が残っていない。甲斐田を求める様に深いデープキスをした。互いが互いを求めるようにキスをしていると。突然手にドロっとした感覚が伝わった。なんだと思い目を開けると目の前には顔を赤くしてキスをしながらドロドロと溶け出している甲斐田がいた。突然の見たこともない状況に困惑して甲斐田の顔から口を離して
「は、晴?ど、どうし…?溶けて…」
そう言うと晴は悟った様な顔をして自分の顔を見つめてくる。
ーーー
🌞
この話をするかどうか少々抵抗があったが伝えなければいけないと自分の気持ちに整理をつけ勇気を出して口を開く。
「実は僕アイスって言って好きな人と両思いになったら溶けて死んでしまうんです…」
「じゃあ…晴は俺のせいで…」
「告白…しなきゃよかった…」
そう言うと彼は後悔に満ち溢れた顔をして目から大粒の涙を流していた。
そして全てを目の前の彼に伝えようと口を開いた。
ーーー
🥂✨️
俺が話を聞いて告白した事を後悔していると。隣にいた晴はこちらに近づいて口を開いた。
「でも、今日告白しようと思ってたから不破さんは悪くないですよ。溶けて死んでもいいって思ってってここまで来たんですから。しかも両思いって言う証明出来たから僕は嬉しかったですよ!告白してくれてありがとうございます。不破さん…!」
そう言うと晴は俺の肩に頭を擦り付けて幸せそうな顔をして音を立てながら夜空に咲く花火を見ていた。
その幸せそうな顔を見ていると自然と涙が止まってしまった。安堵感を覚えたのだ。あり得るはずもないこれからの未来の事を無意識的に想像してしまうのだ。この世にアイスなんてものが無ければ隣の彼と未来を歩めたかもしれない。でもアイスが無かったら甲斐田は生まれていないかもしれないと想像の中で少し悲しくなる。だが隣にいる晴の顔を見てこれはこれで良いかもしれないと自分の頭を晴の頭にくっつく様に首を傾け、夜空に煌めく花火を眺めた。
ーーー
🥂✨️
花火を見て少し経って隣が気になってしまった。隣を見るとそこには空を見上げながら半壊していく甲斐田がいた。その姿を見てもうこの幸せな時間が終わってしまうのだと名残惜しくなってしまう。少し悲しんでいると晴が口を開いた
ーーー
🌞
「不破さん。」
「何?」
アニキは悲しくなってしまったからか声が上擦っていた。
「最期はアニキの腕の中で死にたいからぎゅってしてくません?」
「…も、ちろん。好きな人からのお願いは断れんからな。」
そう言ってアニキは僕に向けて腕を広げて腕の中へと誘い込んできた。その待ち望んでいた光景を目に焼き付けてからゆっくりと近づく。そしてアニキの温もりを感じながら不破さんの足の上に乗り向き合う様にしているとアニキが僕の腰に手を回す。その行為を嬉しく思いながら自分もアニキの首に腕を回した。
ーーー
🥂✨️
甲斐田の温もりを感じていると。不意に涙が溢れてきた。
「どうしました?ふふ、やっぱり悲しいですか?」
「いや、ち、違うけど、その、悲しいのもあるけど、嬉しくて…」
そういうと晴は「ふはっ」と笑った。晴は俺の頬に両手を添えて上を向かせ、晴と強制的に目が合わされた。そうすると
「せめて最後くらい不破さんには笑顔でいて欲しいな」
そう言うと晴は俺の涙を原型の留めていない指で掬い上げた。そんな事を言われたらとさらに込み上げてくる涙を懸命に堪えてニコッと笑った。甲斐田から見た俺の笑顔は下手だったかもしれない。だが今は一番いい笑顔で彼の最後を迎えたかった。
その瞬間ドロッと一層晴が溶け出した。あぁ、これが最後なんだなと思いせめてもと晴の顔を見つめる。そうすると晴も悟ったのかこちらを見つめ返した。
「ねぇ、不破さん。」
「どうした?」
「不破さんのこと好きです!…」
「ははっ、俺も晴のこと好き…!」
そう言うと晴はニコッとして顔を近づけてくる。その行動の意図に気がつき目を閉じる。すると口に柔らかい感触がした。そしてリップ音をたてながら長くキスをする。すると腕にドロっとした嫌な感触が伝わる。恐る恐る目を開けると晴が溶けた顔で幸せそうにこちらを見つめていた。その姿を見て自分も嬉しくなってもう一度目を瞑り甲斐田に身を任せた。そうしていると顔にドロッとしたものが落ちる。それに連鎖して肩から腕へ腕から足へとドロドロとした大量の泥の様な液体が身体中へ落ちる感覚がした。腕の中にあった温かい人の温もりは消え失せていた。
目を開けると視界にはドロドロに溶けた甲斐田だったものがあった。自分の体に甲斐田だったものが付いていたり地面に落ちていたりした。
ーーー
数分後。気持ちを落ち着かせて、立とうとした時。自分の着ていた服のポケットに一輪の花が入っていた。いつの間に入っていたのだろうか。その花は白い彼岸花だった。そう言えば甲斐田は彼岸花が好きだと言っていたような気がした。もしかして、晴が入れたのだろうか?その花を見ていると不思議と晴と重ねてしまう。幸せなあたたかい気持ちが溢れてきて笑みが溢れる。
「にゃはっ、晴は粋なことを。」
そう言うとその声は風に乗った。急に視界が歪み始める。泣き疲れたのだろうか?俺はその場で意識を手放した。
ーーー
それからはあまり記憶が無いが、甲斐田だったものは遺族に引き渡されたらしい。
後日。学校では担任が甲斐田の死を伝えた様だった。
それからはまたなんて事のない日常が幕を開けた。
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数年後。
🥂✨️
「えーっと、今何時だ?」
「うぉっ!ヤバい!遅刻する!」
とある日の朝。今日は出勤の日。遅刻ギリギリの時間に急いで店に行く準備をして、玄関へ向かう。靴を履いて、玄関にある靴箱の上を見つめる。
「行ってくるな、晴」
花瓶に生けられた白い彼岸花にそう言って家を後にした。
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白い彼岸花の花言葉は
「また会う日を楽しみに」
「想うはあなたひとり」
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