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第一話:今日も隣にいてくれるだけで
「先輩、ただいま〜っ」
「うるさい。ドア開けてすぐ叫ぶなって言ってるだろ」
蓮はキッチンに立ちながらも、ちゃんと陽翔の帰宅を迎えてくれる。
料理をする手は止めない。けど、エプロンの下の耳が、ほんのり赤い。
「ねぇ、今日なに作ってくれてんの? 先輩のご飯、まじで世界一うまいから楽しみすぎる!」
「……お前、褒めれば出てくると思ってるだろ」
「だって実際そうじゃん? 好きだもん、先輩のことも、ご飯も」
「……っ!///」
蓮は明らかに動揺しながら、味噌汁の味見に逃げた。
(好き、って言っただけであんなに反応するんだもんな…かわいすぎかよ)
⸻
風呂上がり、リビングでテレビを見ながら並んで座るふたり。
陽翔は自然に蓮の肩に頭をもたれかけた。
「……おい、近い」
「んー、だって先輩あったかいもん」
「重いっての」
そう言いながらも、蓮はそのままにしてくれる。
陽翔は、その小さな優しさが胸をくすぐる。
「こうしてるとさ、ほんとに俺、先輩と一緒に住んでるんだなって思う」
「なに、今さら…」
「夢みたいだなってこと。先輩の隣で、こうやって時間過ごせるのが」
蓮は少しだけ、陽翔に体を預け返す。
「……バカ。夢だったら、殴って起こしてやるよ」