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「、、、っ、ん?太宰?」

隣には太宰が居なかった。ついでに、男性に話しかけていた。

「、、、この人は、、、被害者、かな」

「ばっ゙”!!」

速攻で劇場から抜け出した。太宰を俵担ぎでもちながら。

出てすぐとなりのソファに強引に押し付ける。

周りに人は居ないため良かったが、、、

外套がはだけており、血まみれのカッターシャツや、痛々しい傷が見えている。

「まぁいい、今回の脅迫について気付いたことは______、、、」

するときょとん、とした顔で太宰が問いをかけた。

「脅迫?今回は予告だよ?」

福沢は目を見開いた。予告?脅迫ではないのか。

「〇〇しなきゃ〇〇するぞーってのが脅迫。でも今回は殺します、って云う予告だけ。」

「何なら宣言だね、僕はそんな事、めんどくさくてやりたくもないけれど。」

福沢はただ気になった。何故ポートマフィアの捨て狗に、此処までの頭脳があるのかに。

「、、、其の事にいつ気付いた。」

「手紙の内容を聞いたときだよ、まさか皆が皆脅迫と思っているだなんて、、、」

グシャグシャになった髪の毛を分けて、じろ、と睨んだ後。

「思わなかったけれどもね。」

、、、この少年はレベルが違う。大人よりも頭脳がよく出来ていて、恐ろしい。

まるで、博識の人間を相手に話しているようだった。

「、、、俺のことを云ってみろ。」

「へぇ?、、、後悔しても、僕は知らないよ。」

背筋が凍った。しかし、この子どもはどれだけの情報をもっているのか、

知っておかなくてはいけないと思った。

「福沢諭吉。」

「!!」

太宰に自分の名は教えていない。

「暗殺のために生まれてきた、元剣術の使い手。違う?」

 笑顔のない顔で、普通のように聞いてくる太宰は、まるで感情のない堕天使だった。

「それ以外は見ようともしない。僕は人には興味がないのだよ。」

「、、、そうか。」

そんな会話をしていると、場内から悲鳴が聞こえてきた。

「キャァァァァァァァァァッッッ!!!!!!」

バッ

「何事だ?!」

そう福沢が云うと、太宰が急に手すりの上に乗り、壁を蹴って裏の方へ走っていった。

そして一言。

「おじさんは誰も出ていかないよう見ていて。」

静かな冷たい声でそう云い、瞬きしたときには足音さえもなくなっていた。

「、、、っ我儘だな、、、やはり腐っても子供か、っ!!」

ばんっ、と大きな音を鳴らし、福沢はドアを蹴り倒した。

舞台にあったのは、死体。そして太宰が向かったのは裏方。

諸君らならわかるだろう。太宰は、、。


      犯人と被害者を探しに行ったのだ_______。


黒の乱歩と、白の太宰

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