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ふぁああああ…溶けた…すき
体育祭、午後のプログラムもいよいよ終盤。
「次、借り物競走でーす!出場する人は準備してねー!」
「おっしゃ来た!光、いくぞ!」
「…あー、うん。なんで俺も出るって知ってんの」
「だってお前エントリーしてたやん、昨日“断りきれず”って顔で」
「やっぱそういう顔してたんだな…」
そして、いざスタート。先に走り出したマサが、引いた紙を見てピタッと止まる。
「……ん?」
「なに引いたの?」
「…『好きな人を連れてこい』って書いてるんだけど…これガチ?」
「なにそのラブコメみたいな」
「うわ~~マジかぁ~~~これやべぇな~~~っ!!」
マサがぐるりと校庭を見回しながら頭を抱える。
「お前、誰連れてこようとしてんだよ…」
「いや、いやいやいや、これ俺にとって死ぬほど高難易度なんだけど!?だって…」
「だって?」
「……もう、ひかるしかいないじゃん」
「……は?」
光の目が一瞬見開かれる。言葉の意味を理解するのにワンテンポ遅れた。
「え?何、今のはその、ジョーク?」
「ジョークなら走りながら言うし、!俺、ガチで言ってるから!」
「………………」
「あーもう、いいから来て!借り物なんだから!合法合法!」
「合法ってなんだよ…っ!」
そのまま腕を引かれ、光は走る黒井の後ろをついていく。
ゴールで待つ先生が、にやにや顔で出迎えた。
「お、黒井!好きな人ってそっちかー!」
「ひかるしか勝たんなんで!!」
光は顔を逸らしながら、ぼそりと呟いた。
「…バカ正直に言うやつが一番恥ずかしいからな、こういうのは…」
でも、心臓の音だけは、どうにも止めようがなかった。