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―突然だけど君には力を貸して貰うよ、あの龍を制御してもらう―
「力を…貸す?制御?」
何を言ってるのかさっぱりわからない
―あの神龍は私の龍なんだ―
シヴェル曰く神龍は、神の力を授かった龍。フェビリオさんの龍、という事は。
「フェビリオさんは神様なんですか?」
―理解の早い子は助かるね。その通り私は神だ、いや…正しくは元神かな―
簡単に言うと、あの龍は今フェビリオさんの神の力のほとんどを持っている。制御する力を手に入れる為には、今は使われてない教会にある像の近くにある笛を使わないといけないらしい。
―教会はそこまで遠くない。私もできるだけサポートするから、あいつを制御するのを協力をしてくれないかな?―
わかったとノアが頷くと、急いで教会に向かった。
―教会はあそこだよ―
「なんか…変なのいますね」
―静かに、あいつ等は敵だ。倒して良いよ―
(あんなに数いるし…それに僕戦えるのかな)
―ごめん、君戦えないんだったね―
―じゃあ、少し身体を借りるよ―
「え…」
そうフェビリオ言うと、ノアの身体全体の力が抜けて、意識が遠のいた。
『さぁ、私が相手だ掛かってきなさい』
周辺にいた魔物はその声に気づき、フェビリオを襲った。が 敵はそこまで多くはない、それに多かったとしても、光輝の神の敵ではない。
『子供の身体とは良いものだね。戦いやすい』
『いっその事このまま像の所まで行ってしまおうか』
『ただ、シヴェルくん曰くこの子魔龍と何か関わってるらしいけど、この気配…そうだなあいつとそっくりだ』
フェビリオは歩きながら考える。
フェビリオは生物の身体を借りている時、五感や意識 記憶を共有する事ができる。勿論、普段はそんな事はしない。だがノアの記憶を見ようとすると、何か黒いモヤが覆いかぶさったように、普通見れるはずの身体本人の記憶が見れない。それにノアの怨念の気が強すぎる。
そしてノアには何かに操られているような、何かの気配。少しだけだが、それが魔龍にそっくりなのだ。ただ他にも謎がある。魔龍のような気配以外にも気配が感じ取れるのだ。操られている気配よりも、護られている気配のほうが強いのだ。 まるで、この世界を創った創造神様のような気配が。
『この子の身に何があったんだ…』
気づけば像の近くに居た。像はフェビリオそっくりだ。
『流石にそろそろ返してあげるか…』
―ごめんね、少し待たせてしまったかな?―
「いや…なんか不思議な感じが…」
―長く使いすぎてしまったかな?その像の首にかかっている笛だ。それを取ってくれ―
「分かりました」
そう言うとノアは像の首にかかっている笛を取った。
―すまない。また身体を借りるよ―
「団長!このままじゃ都市に被害が…」
「これ以上は無理です!」
シヴェルはそんなこと前からわかっている。シヴェルは周りを見れていない訳ではない。でもどうしても守らなければいけない、ここで諦めたら中央の民の命が危ない。でもここで戦いを続けても騎士団の奴らの命も危ない。騎士団の奴らも同じ、中央の民だ。ここで、皆死んでしまったら。中央の民の命もなくなってしまう。考えれば考えるほど胸がきつく締まり、息が荒くなる。天候も悪くなるばかり。
『それ以上、中央の民を傷つけさせないよ、神龍』
聞き覚えのある優しい声と笛の高い音色が聞こえてきた。その音の正体は、聖笛だ。中央の国では祝福の神が去った現在はあの笛を使うのは禁止されていた。それに、魔力の一定をある程度超えないと使用できない。
笛の音を聞いていると、急に神龍の鱗が白色に輝き、暴れ出した。
「神龍を制御していようとしてるのか…?」
白く輝いている神龍は呻き、魔法陣を作り出しどこかへ消えてしまった。
「よかった…」
シヴェルは安堵の息を漏らした。でも誰がどうやってやったのだろうか。助けてはもらったが、禁止されている以上、騎士団の団長として彼も黙っているわけには行かない。
そういえばノアはどうしたのだろうか。
魔龍と関係がある。少しでも目を離した隙に何かあったら面倒な事になるのはわかっていたから、連れてきたシヴェルだが、戦ってる間何をしていたのだろうか。
だが他にも謎がある。聖笛は光輝の神しか使えない。それに笛の音が聞こえる前、光輝の神の声がした。『それ以上、中央の民を傷つけさせないよ、神龍』たしかにあの声は祝福の神の声だ。だが魔龍との戦いで力を使い果たし、もうこの国を離れたはずだ。考えても仕方ない。まずはノアを探すところからだ。
「はぁ…また上に報告することが増えたな…」
―ノア、成功したよ。君が協力してくれたおかげだありがとう―
「いえいえ、それなら良かったです」
フェビリオはこう続けて言った。完全に制御したわけではない、制御は一時的なものでまた力を貸してもらう時が来るかもしれない。それでもいいかと。
「人の役に立つのは好きなので。自分のできる限りなら」
―ふふっ役に立つのが好きだなんていい子だね。古の私の契約者と一緒だ―
―そうだ!私も君の記憶を戻すのに協力したい。なんでも良いよ、何か聞きたいことはないか?―
聞きたいこと。そう言われると困る。
「聞きたいこと…あっ、だったら」
シヴェルが魔龍の話しをしていた時のあの表情。魔龍に恨んでいるような、あの怒りと悲しみ混じりのあの表情。その原因。自分が魔龍かもしれないのなら、何か思い出せるかもしれない。
「シヴェルさんと魔龍って何かあったんですか?」
―あぁ…シヴェルのことか。そこに座って、話そうか―