神々が古に封印した魔龍の復活が予言され、世界が不安に包まれた。そして、その不安を打ち消し世界に舞い降りたのが、祝福の神々と契約し、その神の力を使うことが許され、魔龍の封印を目的とし、動き出した9人の騎士達。
神騎士だ。
そして炎の神との契約騎士に選ばれたのが、中央の国の五大貴族、レディーアテイン家の一人息子シヴェル・レディーアテインだったのだ。
炎の神は正義の神でもあり、一度魔龍を封印したときも正義の神の力を使用したので、炎の神と契約したシヴェルが魔龍の封印を任されることになった。
魔龍を封印する日、神騎士は魔龍と戦ったが…
そんな簡単に封印できるものではなかった。
神騎士のうち七人が死んだのだ。魔龍は神々が力を使い果たしてやっと封印できたのだ。幾ら神々の力を使っていようと所詮はただの人間。神々は数十年経てば力を取り戻すが、人間はたった一つの命しかない。力を使い果たしたら死ぬだけだ。
シヴェルが最後の力を振り絞って魔龍に封印の剣を刺し、封印はできたが…それ以来か人との絆を大切にする性格のシヴェルはあまり人との接触を拒むようになった。
―シヴェルは…本当に、かわいそうな子だ…―
フェビリオは声を震わせて言った。
ーシヴェルは、あの戦いの後、他の神騎士達の親しかった人達に、謝りに行っていたんだー
―貴方の大切な人を守ってあげれなかった。そう言っていた。あの子は何も悪くないのに…―
―私はもう一緒にはいけない。だからこの笛を持っていけ。君を導いてくれるだろう―
フェビリオは深く息を吸い、吐いた。震える声を抑えて。それには少しお別れの寂しさもあった。この像はフェビリオの神だった時の力が少し残っている。そう、フェビリオは元々、ここで力を回復していたのだ。ただ神龍が暴れ出し、何らかの原因で眠りから目覚めてしまったのだ。
―…さぁ、お話はこれで終わりだ。君は戻ったほうが良いだろう。私はここでもう少し―
「まっ…待ってください。せめて…」
―…せめて?―
「ごめんなさい…出口まで送っていって欲しいなんて言って…」
―いや、いいんだよ。すまない、私も敵が居ることを忘れていて―
「いや謝らないでください!あっあと、」
―あと?―
「少しの間僕の事守ってくれて、ありがとうございました!」
そうノアは言い、走って元いた場所に戻っていった。
―ははっ面白い子だ。もう少しだけ…あのこの結末を見るまで、起きていようじゃないか―
一方シヴェルの方では、
「はぁ…ノアどこいったんだ」
(もしかして俺の見てない間に…)
「シヴェル!居た居た!見つかったよ〜!」
そう元気な声で話しかけてきたのは、
マリン・フリーナヴィアだ。南の海にある海底都市生まれの精霊族だ。
「というか…あの子聖笛持ってたんだけど?自分で使ったって言ってるし」
「魔龍だの聖笛だの…本当にあの子大丈夫なの?この国に残しておいて大丈夫?」
たしかにそうだ。だが、聖笛に関しては何も言えないが、魔龍との関係はまだ謎だ。絶対ノアと関係しているとは限らない。聖笛を使えば罪に問われるが…上の奴らには黙っておく。こんなことしたくないが濡れ衣を着せるそのぐらいは出来る。
だからまだ、魔龍の関係を調べなくてはならない。そしてノア自身にも魔龍という存在を知ってもらわないといけない。それまでは気長に待とう、そうシヴェルは考え、ノアの元へ歩いていった。
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