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・1話参照

ワンクッション






























─────────────

コツコツ。

ダクトからの隠し通路を通って階段をおりる。

地下室に着くと、1番手前にある牢屋の中でソイツはこちらを見ていた。

パチパチ、と何度か瞬きをしたあと、小さな笑いを零した。

…ほう、流石は幹部だ。

俺だと気づいたって訳か。

牢屋に入り鉄バットを手に持つ。

ソイツは、平然としたようにこちらの動きを見ていた。

仲間から拷問される気分はどうだい?

ー悪かないさ。

そう、答えたような気がした。

キラキラと光っていた橙色の瞳はくすんでいた。

嘘が下手になったようだな、詐欺師もこれまでか。


ああ。

ソイツをここまで落とすのは簡単だった。

俺が全ての犯人だ。

ciの通信機器をハッキングし、zmへ第三裏倉庫に来るよう連絡をした。

勿論、ハッキングで送ったのでciは気づいていない。

それからノコノコとやってきたzmを捕まえるのには凄く体力を使った。

隠れていたつもりなのに、気づかれたんだ。

流石だなと思ったよ。

ナイフを突き刺したら少し動きが鈍ったから、そのスキをついて椅子に縛り付けた。

落とした通信機器から、今度はciへ連絡を入れた。

ciは隠れている俺に気づかなかった。

これが幹部内の差、であるのだ。

コイツは幹部にいるべきでは無い。


俺の目的を知りたいだろう。

俺はW国一般兵、ci部隊の隊員だ。

スパイでもなんでもない。

俺とciは、同期だったんだ。

戦闘力は俺の方が高いのに、ciはtnと絡みがあったからか幹部へ昇格した。

それから、W国は落ちたと思ったんだ。

コイツがいるからだ。

コイツが居なければ、W国は理想のままでいる。

コイツが来てから、W国は変わった。

輝いていたgr総統も変わった。

何もかもが変わった。

そのために、zmという男を傷つけるのは少し怖かったが、全てciに責任がある。

俺は関係ないんだ。

そう、このままW国は生まれ変われば良い。

まずは俺を幹部にすること。

つぎにgr総統を元に戻すこと。

欲を言えば、俺が総統になりたい。


ーげほッ、がッ。

辛いだろう?

苦しいだろう?

仲間に裏切られるのは、本当に平気なのか?

俯いたソイツと顔を合わせるためにしゃがんでやる。

ソイツは確かに涙が滲んでいた。

じんわ、と出てきた涙が橙色を包み込んで崩れて壊れる。

ぽたぽたと垂れる涙。

ああ、最高だよ。

分かるか?俺の方がここに相応しいんだ。

お前が幹部追放されれば、きっと選ばれるのは俺なんだ。

これが運命だ。

思い知るが良い。

ー分からないな。何も分からない。

ciがカサカサに枯れた声で言う。

分からない?

分かっているだろう?

ほら、ほらッ!!

もっと泣けよ。

辛かったなあ。

ふふ、ヒヒヒッ!!!!!

ああそうだよ、そうだ!そうだよ!!

もっともっと苦しめ!

地獄の果てにまで突き落とされるんだ!

ー俺は馬鹿なんだ、優しくしてくれよ。

ふふ、余裕ぶってるってことね。

それも、もうすぐ終わるだろう。

…ああ、zmをどうするか決めないとだな。

ー殺すなら俺を、

黙ってろ。

俺はciの口に手を突っ込む。

zmが起きてしまう時間によっては、俺に危険が及ぶ。

それは困るな。

ーむご、ごほッ!!

ciがむせるので、手を退けてやった。

俺の言う通りにできたら、zmは生かしてやろう。

ーなんだ。

話が分かる男で嬉しいさ。

俺はciの頬を片手でグム、と掴む。


grを殺してやる、とtnに言うんだ。


お前は殺さなくていい。

俺がやるんだよ。

ciは目を見開いて震えたあと、だらしなく鼻水を零して頷いた。

右足が可哀想に震えていた。

もう、震えることも無くなるだろうに。

俺はその右足を撫でたあと、ダクトをよじ登って一般兵棟へと帰ったのだった。






























─────────────

「…はぁ〜、ッ。」

tnは書類をクシャリ、と丸めて俯いた。

目の下に重なったクマが日に日に濃くなっているのは気のせいではないだろう。

「tnさん、時間や。」

emが入ってきて、鍵を手に持つ。

ああ、もうそんな時間か。

「今日は誰がおるんや。」

「俺とsnさんや。」

「了解、grさん行ってくるわ。書類するんやで。」

「分かったぞ。」

tnは立ち上がって、emに着いて行った。

grはtnが丸めた書類を手の平で元に戻した。

「…ほう。」

幹部昇格希望書であった。

xx氏。ciの隊員の中で1番強いと呼ばれる男。

ciと同期であるとか。

ciが幹部でなくなって、1つ席が空いたから、そこに尻拭いとやらで幹部になりたいのだろう。

grはケッ、と嫌な顔をして書類を丸めた。

そのまま遠くのゴミ箱に投げ捨てた。


























────────────

「今日の態度によって、例の件を決めるよ。」

「ああ…了解した。」

snが腕を組んで階段を降りる。

emは一足先に降りていった。

tnはメガネを外し、目を擦ったあと静かに地下室へ入った。

牢屋の中でciがゆっくりとこちらを見た。

tnと目が合うと、震えて俯いた。

それがイラついてドカンッ!と傍にあった椅子を蹴り飛ばす。

「じゃあ、始めますか。ci、君がzmさんに投与した薬は…。」

「tn。xxを幹部にするん??」

emの質問を無視して、ciはtnに喋った。

「なんや急に。xxは何も関係ない。」

「俺の部下やん。幹部にするの?」

「…ッ、」

イライラ、としているのが空気で分かる。

snがtnの前に出た。

「幹部にしてくださいって、直々に言ってたよ。キミが、隊長の尻拭いだってさ。」

「…、そっか。絶対幹部にせんといて。」

「はぁ??キミね、今自分がどんな立場か分かってるの??」

「…分かっとるよ、でも。ほんまにアイツは気をつけといて。」

「罪を擦り付ける気か。ふん、いい度胸だな。」

tnがメガネの位置をかちゃ、と治す。

emが苛立つように口を開いた。

「なんでzmさんを狙ったんや!!zmさんは、キミが成長してるのを喜んでた!!1番稽古に付けてもらってたはずやんか!!」

「…別に、狙ってんのはzmちゃう。」

はあ!?とemが拳を振り上げたので、snは止めた。

ciが口角を上げたのだ。

それも、震えていた。

何かを、企むように。


「狙いは…やっぱり、デカいもんや。

俺が、grを殺してやる。」


tnはその言葉を聞いて血相を変えた。

牢屋の鉄格子を足で蹴ってねじ曲げて、中に入った。

「…!!ッ、がはッ!!」

ciはサアッと顔を青くし、何かを言うために口を開くが椅子ごと突き飛ばされて咳き込んだ。

tnはナイフを取り出し、喉に突きつけた。

「なんやと。」

「ふーッ…、ふ、ふーッ、」

ぷつ、とciの喉が切れ、血が少量垂れる。

少しでも動けば、ナイフが喉を突き破る。

「総統を…なんやって。」

ジリジリ、と圧力がかかる。

snはごく、と息を飲んだあと牢屋の中に入りtnの肩に触れた。

「あ"??」

tnはciを睨んだまま、イラついた返事を返した。

「tn選んで。ciの言葉を無視していつも通り愚問をするか、今すぐこの足を切り落…」

「切り落とせ。いや…俺にやらせろ。」

「…書記長命令ってわけね。いいよ。」

「まッ…!」

ciは抵抗しようとするが、snに口を布で閉ざされ、何も言うことが出来なくなった。

それから、全身麻酔を入れられて、ぷつり、と意識を切った。


「ほんまは、痛がってこそやねんけど。今のtnがやると完全に殺ってまうからな。」

ciの右足を縛る。

tnは、自慢の剣を構えた。

emがこちらに寄ってきて、タオルをいくつか置いた。

「血液はこれで。あと、止血剤もな。」

「ああ、ありがとう。」

「…。」

tnは剣を真上に上げた。

「…もう、ええか。」

「うん。いいよ。好きなタイミングで。」

「…そうか。」

tnはふー、と深呼吸をした。


tnの赤いマフラーには、似合わない赤色が飛び散るのは、誰もが想像のつかない光景だっただろう。


























──────────────

「…うむ、美味くない。」

ケーキを頬張っていたgrは、手を止めた。

ciがスパイだと分かってから、何故か好物の甘味が美味しく感じない。

そりゃ、仲間が居なくなればそうなるか。

このケーキも、ciがおすすめしてくれたケーキ屋で買ったものだ。

なんだか、変な気分だな。

grはケーキを置いて、ぐぐ、と身体を伸ばした。

「…はぁ、tn氏いないし、サボれるのになんだか…なぁ。」

夕焼けの空を眺めていると、扉が勢いよく開かれた。

tnが顔を赤く染めてこちらに駆け寄ってきた。

「へっ、へ!?なんだ!?お、俺はサボってないぞ!?」

「grさん、ここは危ないかもしらん。」

「はぇ。」

tnは真っ赤な手のままgrを掴んだ。

黒いコートに赤色が滲む。

そのまま、総統室を出た。

「ど、どうしたんだ!!まさか襲撃か!!だったらなぜそんなに焦っているんだ!!」

「…grさんの首が狙われているからや。」

そのまま、隠し部屋へと連れて行かれた。

隠し部屋は幹部しかしらない部屋だ。

思わぬ襲撃のために作られている。

「ま、待ってくれ!!暇なんだ!!せめて地下室…」

「grさん、ほんまに危険な状況になるかもしれないんや。1人が嫌なら誰か呼ぶわ。」

tnがインカムを手に持つ。

「…ふむ、では外資系とサボり魔にしよう。」

「サボり魔て…utとshpな。了解。」

インカムで伝えると、2人は直ぐに来てくれた。


grと共に隠し部屋に入って、鍵を閉める。

ライトが着き、隠し部屋が明るくなった。

「…なぜ急にこんなこと。あッ、ケーキ持ってくればよかった!!」

grは出してくれー!と扉を叩く。

utは部屋からパンを取り出した。

非常食として、置いてあるのだ。

「…じゃむ、」

「ワガママ言わない。」

「おおん!?我総統ぞ!?」

おぎゃるgrを無視して、utはソファに座るshpの隣に座った。

「shpくん、クマあるね。ちゃんと寝とる??」

「…静かなの、慣れなくて。」

「ケーキをくれ!!tn氏!!」

「多分今日はうるさすぎるなぁ。」

utとshpはくすり、と笑った。




























─────────────

「grを避難させたわ。utとshpも一緒や。」

「了解。こっちも終わったとこ。」

地下室に戻ると、ciは牢屋の中に戻されていた。

tnの剣はemが綺麗に拭いてくれたようだ。

「…なんでciは急にxxの名を出したんだろうね、そこが引っかかるんだけど。」

「擦り付けようとしたんちゃうか。」

「擦り付けって…。」

emが呆れていると、tnは剣を振った。

「それが上手くいかんかったから、grさんのこと言ったんやろ。T国の動きを見とけ。もしかしたら、攻めてくるかもしらんぞ。」

「そうだね、rbに伝えとくわ。」

snはインカムを持って階段を上った。

「…はぁ、T国の名をまた聞くことになるとはな。」

「tnさんにとって、トラウマやもんな。でも、大丈夫やで!!だって、tnさんには仲間が沢山おるんやから。」

「…はは、emさんってたまにええ事言うよな。」

「ふふん、そうでしょ??…うん??たまに??」

emのぽかん、とした顔を見て、tnは笑い始めた。

それから、拗ねたように唇をつん、と出しているemの頭を叩き、階段を登った。

「…ありがとな。emさん。」

「………いえ。当たり前のことやから。」



























─────────────

階段をのぼり、書記長室へ戻ってくると、またxxから幹部昇格希望書が届いていた。

机の中に入れて、ドスンと椅子に座る。

書類を進めるか、と思いペンを握るとインカムが鳴った。

「…なんや。」

『あ、こちらut!!grちゃんがトイレに出ていったんやが、廊下が爆発した!!』

「なんやと!?どこや、grさんは!?」

『1階幹部棟、倉庫に繋がる渡り廊下!!grちゃんは、たまたま違うトイレに向かってたから無事や!!!今、shpくんが迎えに行っとる。』

tnは立ち上がって、走り出した。

書記長室は2階だ。

降りるには。


tnは廊下の窓を開け、そこから飛び降りた。

パシッと、渡り廊下の端を掴み体を持上げる。

渡り廊下は半分の所で爆発し、渡れなくなっていた。

1階、だが地面とは離れていて、正しくは2階である。

ここから落ちれば、軽くて捻挫、だろうか。

tnは渡り廊下の扉を閉じて、完全封鎖する。

廊下の足音を聞いて、少し進むとutがいた。

「tn!!shpがgrちゃんと合流したらしいわ!!もうすぐそこにおるよ!!」

「…了解。この隠し部屋の位置がバレてるのかもしれない。いや、ciだったら知っとるか。」

「でも、ciは地下室におるんやろ?」

「仲間に話していたら別。変えるぞ。」

tnは遠くに見えたshpとgrに駆け寄り、誘導した。

どこから見られているか分からないので、ダクト移動に変えることにした。


「うぐぐ、キツイぞ。ut、絶対に屁をこくなよ。」

「こんな状況でええのが出るかっ。」

「出さんでええねん。」

おかしな会話をtnが止めて、ダクトを移動する。

書記長室の上までやってきて、降りた。

「ここって、書記長室…??」

「ああ。こっちやで。」

本棚をなにやら触っていると、ガチャン!と音がして、本棚が裏返った。

すると、隠し扉が出てきたのだ。

「ここにしばらく隠れてくれ。食料の確保はする、トイレは書記長室内にあるトイレ。風呂は温泉を解放しよう、皆で移動すること。単独行動は危険や。」

gr達が部屋に入ったのを確認して、扉をゆっくりと閉める。

「空気は安心せい、そこからも外へ逃げられるようになっとる。外から中への侵入は不可能や。空気も、そこから入っとるよ。暑かったら、エアコンなんとかするんや。」

「tn氏。落ち着くんだぞ。誰が敵なのか、味方なのか。分かるものは本人しかいない。」

「ああ、知っとる。」

ガチャン、と本棚が元に戻る。

ふー、と息をついて椅子に座った。

机の中の紙一つ、無視したまま。


































終わりです!!

いやいや視聴数が増えていってて凄く嬉しいです!!!!!!!!!

さて。

まずはxxについてですね。

名前がxxなのは特に理由は無いです。


xx と ci は同期です。

xx→戦闘力平均より上。頭脳も良い。

ci→会話術高。tnと同郷。

そのため、ciが幹部に昇格します。

そして、xxはci部隊の隊員と、なります。

xxはそんな現実に怒りが湧いていました。

自分の方が才能があると思っているからですね。

そんなciが、tnが、そしてgrが、憎く感じたのです。


xxはW国が大好きです。

ただ、憎いものは要らない。

そう、彼は望むは理想のW国。

grを消し、自分が総統になろうと企んでいます。

…ここからは文章通りです。

語彙力によって伝わりずらかったらすみません😭


T国は本当に関係ないです。

犯人はxxですからね。


ちなみに、tnさん達の状況文章が多いことにも、きちんと理由がありますよ。

主役はci、またはzm。

この2人の状況があんまり書かれていないんですよね実は。

まあ、それは後程。。。。


































────────────

目が覚めた。

眩しくて何度も瞬きをする。

ここはどこだ。

白いカーテンでなんとなく察する。

…にしては静かだ。

体を起こすことはできないので、きょろ、と瞳を動かす。

カーテンで仕切られていて、それ以外は何も無い。

カーテンの向こうはどうなっている?

ciは?

アイツはどうなった。


きっと、生きている。

んん、と寝返りを打って目を閉じる。

カーテン越しのciに、起きたことを伝えれただろうか。

声が思うように出ないんだ、許してくれよ。


ci。

お前は俺の自慢の後輩だ。

俺が完全に元気になったら、お前を褒めてやろう。

両手でいっぱい撫でてやろう。

それから、お前がずっと駄々を捏ねていたこと。


一緒に旅行に行ってやろう。











背中はさわさわ、と冷えて震えた。

後は野となれ山となれ

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コメント

15

ユーザー

見るの遅くなった,,, てか今回も神作すぎる‼︎ciさんマジで可哀想,,(こういう系めっちゃ好き) 最後のzmニキの視点神すぎないか⁇マジで好き。 てかxx一生恨む。 次回もとてつもなく楽しみです!!!!!!!!!!!!

ユーザー

このお話まじで好きです!!😭続き楽しみにしてます...!

ユーザー

最後のzm視点神過ぎないか…!✨

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