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俺の手をとって、えとさんはぐんぐん進んでいく。
「ちょッ、どこいくん、!?」
そう話しかけてもえとさんは前だけを見て、ぐいぐいと進んでいく。
探しに行こう!!と叫ばれた後、えとさんは俺の手を少し強引に掴み、10分くらい歩いたんかな。それでもまだえとさんは止まる気配もなく進んでいく。
すると、えとさんがぴたりと止まった。見上げると、少し古びた家があった。「ついたよ」と呟いたえとさんは、「ただいま〜」と言い、その中へと入っていく。俺も困惑しながらだけど、後に続いた。
えとさんの家に入ると、お母さんとお兄さんがリビングにいた。最初は不思議な顔をしていたけど、すぐに「いらっしゃい」と微笑んでくれた。お兄さんもえとさんと同じように奇抜で格好の良い服を着ていた。でも、えとさんの服を見た時ほどの衝撃は受けなかった。えとさんの服を先に見ていたからだろうか。いや、ちがう。
ー彼女が、女性だからだ。
そう考えてしまう自分が嫌になる。
えとさんは「ちょっとまってて!」と言ってしばらくどこかへと消えた。しばらくすると、
えとさんは両手いっぱいに何かを抱えて持ってきた。
「こ、これはなんや、?」
「私がいつもつけてるアクセだよーっ!」
そう言ってえとさんはテキパキとアクセサリーを机に並べていく。
並べられていくアクセサリーはどれも男物で、雷の形をモチーフにしたイヤリング、黒の宝石が埋め込まれているネックレス。色々なものが一気に視界に入ってきて、頭がバグりそうだ。
「これ、どう?」
「ど、どうって、?」
「どう感じる?なんか上がる感じ?」
あ、あがる?テンションがってことか、?そんなの、何にもわからへんし、感じへん。どう答えるべきか。
「わ、分からへんけど、かっこええ、とは思う」
そう言うとえとさんは微笑んで、「じゃあ、これお気に入りになりそう、とかある?」
えッ、と間抜けな声を発してしまった。目の前には、期待を込めた目で顔を覗き込んでくる
えとさんがいる。
とにかくなにか答えなきゃと思い、一つ一つアクセサリーを眺めていく。
眺めて、眺めて、じっくり見てるはず。はずなのに、見れば見るほど同じモノに見えてくる。
見ることに集中しているはずなのに、耳が敏感になってしまい、窓の外の鳥の鳴き声、換気扇の音まで聞こえてきた。頭の中に音が響き渡り、ぐるぐるして、頭が真っ白になる。
何か答えなくちゃいけないのに、何も出てこない。どうも出来ずに固まっている自分に焦る。
どうすればええんや、ッ…
「ッふ笑 ははッw」