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僕らはまだ死にたくない!!
第19話.過去3.
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⚯˶目線
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僕の姉さんは優しかった。
僕は泣き虫だったから、いつも泣いてた。
そんな時姉さんは優しく笑いながら
『大丈夫』
と、背中をさすってくれた。
姉さんとは年齢が少し離れていたけど、
とっても優しくしてくれて、あの時の笑顔を
今でも覚えている。
姉さんは小学校からの幼なじみが居た。
僕が産まれたと同時に引っ越したから
離れたけれど、中学で再会し、卒業と同時に
その幼なじみと付き合い始めた。
とても優しい人だった。
会ったことの少ない僕を見て、
『こんにちは、僕はs…西。君は?』
なんて微笑みかけながら言ってきた。
⚯˶「…■■……■■…です。」
少し警戒しながらも名前を言う。
??「もぉ〜!そんな警戒しなくていいのに〜笑」
笑っている姉さん。
??「てか、自分の苗字噛むなよ笑」
なんて笑いながら西さんをペシペシと
叩いている。
『…だって〜……』
と、少し拗ねながら話す西さんは幼い子供の
ようだった。
⚯˶(あぁ。姉さんに似てる……。)
きっと姉さんは気づいてないだろう。
西さんは姉さんととても似てて、
子供っぽいのに何処か大人っぽい
そんな雰囲気をまとっていることを。
姉さんの彼氏の西さんは色々あって、西さんは
僕のお兄ちゃんのような存在になった。
色々というのはよく分からないが、急に
会う頻度が高くなったり、3人の時間が一気に
増えたりしたことだ。
僕も『西さん』と呼んでいたのが、
『お兄ちゃん』だとか、『西』だとか、
時と場合によったけど、一気に距離が
縮まった。
そんな時。
姉さんは事故にあった。
それは西とのデート中だった。
車の運転手は居眠り運転だったか、無免許運転
だったのか、そんな事覚えていない。
その時は姉さんが事故にあったということで
頭がいっぱいだった。
一刻も早く病院に行きたかった。
すぐに走った。
病院では西が泣きじゃくっていた。
初めて見た。西が泣く所を。いつも笑っている
西があんなにも、ところ構わず泣いている
部分を。
僕は姉さんを見た。
目を閉じて、横たわっている姉さんは今にでも
起きて、
『あっれれ〜?どうしたの?何処か痛い?』
って、心配したような、少し楽しんでいるよう
な目で少し微笑んで見てきそうだった。
そんなことを考えると、さっきまで我慢できて
いた涙が溢れ、止まらなかった。
⚯˶「…起きてよ姉さん……ッ。朝だよッ…?」
なんて、起きるはずのない姉さんに向かって
話しかけた。
⚯˶「ッ…いつもみたいに笑ってよ…。『どうし
たの?』ってッ!!ギュッてしてさぁッ…。」
泣きながら、返事が帰ってこないのに話しかけ続ける僕を西が抱きしめてくれた。
西は僕に
『ごめんねっ…ごめんねっ…』
って何回も言った。
西は悪くないのに。泣きながら。最愛の人が
目の前で轢かれ、病院で死を告げられ、
『出来るなら変わってあげたい』
そんな非現実的なことを望んで。
『なんでこんな事にっ!!』
って自己嫌悪にかられ、それでも他人の事を
考え、行動して。
西はなんでそんなに優しく出来るの?
僕は何も出来ないよ?
姉さんを生き返らせることも、時間を巻き戻す
ことも、姉さんの死を他の人に移すことも…。
神様はなんでこんなことをするんだろう。
姉さんが何をしたんだ。
姉さんを連れていくならそれなりの理由がある
んだろう?そうじゃなきゃ納得がいかない。
姉さんは悪いことなんてしない。
いつも他の人のために頑張っているんだ。
連れていかれるようなことはした事がないんだ。
そっちの世界に連れて行って何をする。
人手不足なんてことで姉さんを連れていったな
ら僕でも良かっただろう。
僕じゃなくて姉さんじゃないといけない理由。
優しさか。周りを見て動けることか。それとも
性別か。前々から決まっていた事か。
姉さんが事故にあった時、被害にあった人は
もう1人居た。もう1人は男の人らしい。僕は
姉さんの死を受け入れにくかった。でもその
男の人の近くに女の子が居た。
僕よりも小さい子だろう。その子はきっと
男の人の家族だろう。その子はずっと男の人の
手を握っていて、離そうとはしなかった。
涙を流しながらずっと。手を繋いでいた。
その子はその後精神状態が悪いだとかで
入院することになったらしい。
なんでも、その子は両親が逮捕され、施設に
入っており、お兄ちゃんが引き取り人だった
らしい。引き取られた当日にお兄ちゃんが事故
にあった。このまま施設に返す訳にも行かない
のでしばらく入院して精神状態を治す。状態が
安定したらまた施設に入るとのことだ。西は
精神状態が早く回復したため、早く帰れた。
何かの手続きをしていたが、僕は何の手続きを
していたのか聞いても、
『…秘密かな……。』
と言って教えてはくれなかった。