お久しぶりの小説でござんす
ミステリー小説はモブがかけたらやるけどまだかけてないです。(n回目)
【過去特別編とは、特定の国若しくは都道府県の過去を掘り下げた内容やifルートにおける過去編などを書いた新シリーズのフィクション小説である。 尚、現代から見て昔の出来事を過去とする。】
あらすじの通り、自己解釈及び独自設定、1部史実と異なる要素が有ります。ご了承ください。
今回は何度か取り上げてきたあるモブと日帝さんのお話です。
何処の配属にするか決まらなかった為、別の島と島での事が組み合わさっている場合があります。
なるべく旧めの言葉になるようにしております。
※作中の「朝日」というのは偽名です。流石に大日本帝国とか名乗ったら大惨事ですから…。
※此の作品に戦争賛美の意図はありません。
────「おめでとうございます。」
考えたことなどなかった。
まさか来てしまうとは思いもしなかった。
長男だから…等と軽く見ていた。
後悔している。
もっと自分に勇気があれば。
もっと家族のことを想えていたならば──
──────逃げ出せただろうに。
今更遅いことはよくわかっている。もう全て投げ出して逃げることも叶わない。もう、銃後の家族を守る為に死ぬことしか出来ないのだ。
然し良い出会いはあった。不幸中の幸いというものなのだろう。
同じ招集された者である佐藤(仮)はかなり気さくな人であり、また、人懐っこい者でもあった。
俺とはまるで性格の違う人間であったが、驚くべきことに、俺達は直ぐに打ち解け仲良くなった。
未だ解らない。何故彼は俺と仲良くなってくれたのだろうか。然し俺には其の様な事を訊く勇気は持ち合わせていない──。
「何考え込んでんだ?」
気付くと彼_佐藤は隣で心配そうに此方を覗き込んでいる。
「大した事では無い。大丈夫だ。」
「嘘こけ。ぜってぇなんか考えてただろ。」
__顔に出ていたのか?
「変な顔でもしてたか?」
「そら勿論そうに決まってるだろう。」
決まってはいないだろうが。
「何も考えてないなら考えて欲しいことがあるんだが」
「?」
「今の戦況、どう思うよ。」
どうと云われても。
「…さぁな。だが、此方はもうそろそろ耐えられなくなって来て居るのではないだろうか。我が師団も食糧や物資が少なくなってきたと聞いている。」
「…っぱそうか~。」
…今のは矢張りで合ってるよな?
「しっかし、何でこうも無謀な事をしなすったかね」
俺も知りたい。何故こうなったのか。
知り合いの統制派(名前。派閥もヒューマンにしました。)に訊いてみても正直何を云っているのかよく解ら無かった。
助けを求めて皇道派にも一応訊いてみたが、「トウセイハメマタ…云々」とぶつぶつ云い続けていたので諦めたのだ。
「…知らん。」
俺としては亜米利加や英吉利と戦争なぞするべきでは無い、否、して欲しく無かった。
大きな理由は向こうの人々と関わりがあった事、そして我が祖国は特に物資という点に於いて大きく遅れを取っていた為。
之で勝てる訳がない、持久戦に持ち込まれたらどうするつもりか、俺の知り合いはどうなるのだ等と思っていたのだ。
何故…。
「なんでやったか東條サンにでも訊いてみるか?」
…うん?
「は?」
「だからさ、東條サンが決めたんだから東條サンに訊いてみればいいんじゃないか、って」
「無理だろ」
「ここは内地じゃねェんだぞ」
「知ってる」
「どんだけ離れてんのか知ってるか?」
「知ってる。でも隊長殿達は向こうへ行っていることがあるじゃないか」
「…。」
だからと云って直談判する訳にも行かんだろうが…。
「オレは如何しても知りたいんだよゥ…。」
「…無理だ阿呆…」
…。
……こんな奴でも頭はキレるし、実力も中々の優秀な人間だ。
彼のような人こそ上官だの参謀だのという地位に就くべきではないか。
コネで人の上に立った阿呆よりも…。
「…。」
「? 如何した朝日。」
「嗚呼…。いや、コネではない方法で優秀な人が俺らの上に居たらな、と思って。」
「…確かに、無能多いしな」
「はは…。って、聴かれてたらどうする…」
「え?………。あ。」
…おい。駄目じゃねぇか。
だが…
…矢張り、もっと優秀な人が上に立っていれば何か変わっていたのだろうか。この戦争も起きなかったのではなかろうか。
それとも、日独伊…いや、四カ国同盟を結んだ時点で…それとも、もっと前から───?
_あ、
「もうこんな時間か…」
「やべぇ殴られるかも…」
「急ぐしかないな。」
「走るぞ!」
噫、軍隊とは矢張り面倒くさい…
「危ねェ…」
「あと15分遅れてたら終わってた…」
「お前ら気を付けろよ…下手すりゃ__」
「いっっっってぇ…」
痛ぇ…
二〇分前であると云うのに何故殴ったんだ…。
駄目なのかよ…。
「うぐぅ…復讐してやりてェ…!」
何言ってだ
「落ち着け砂糖!」
「砂糖じゃねェよ!」
「にしてもやり過ぎだよな…」
彼等_同室、そして同班の兵_の云っている通りだ。我々の間では原則5分前の筈であるのだ。有り得た話ではない。
「こんなの鬼畜米英じゃなくて鬼畜上官じゃないか…」
微妙に上手いのは何なんだ。
「仕方ないだろう。彼の人はそういうのなんだから…」
とは言えども、正直俺も不満だ。理不尽にも程が有るだろう。
…権力を持つと誰もがこう成るのか?
いや、そんなことは無い筈だ。少なくとも明治の政治家たちはそんなことは無かった。
…ならば今は…?
解らない。
だが傲慢にならない人も居るのかもしれない。
「お前は大丈夫か?」
…噫、どうすれば…
「おい、起きろ」
何か知ることは出来無いのだろうか。
「起きろ!」
バンバン と背中を強く叩く音がする。
痛い。
驚いて振り返る。
……
何だ、山本(仮)か…。
「…なんだよ」
「お前は大丈夫かって聞いてんだよ」
「噫、すまない。少し痛い程度だ。」
「本当かぁ?」
「本当だ。」
正直、今は背中の方が痛い。
……等とは云うことが出来なかった。之でも仲良くさせて貰っているのだ。変なことは云えない。
お前は力が強いんだよ、力の調節くらいはしてくれ…。
──────気付けば、敵はもう既に此方に近付いてきている。
もし、此処で戦うこととなれば…此の穏やかな生活は無くなって仕舞うのだろうか。
__皆は…死んで仕舞うのだろうか。
そんな事ばかり考えて居る。
_「…。お前さ、ずっとヘンな顔してるぞ。如何したんだよ。」
「…。もし、敵が此方へ来て、お前らが死んでしまったら…。と。」
「…。そうか。」
変だ。とても。自分が変だ。
…でも、この生活が無くなるよりは…マシかも知れない。
皆の寿命が来るまで…呑気に過ごしていたい。ずっと。
「もしさ、オレが死んだら…ある人に手紙を届けて欲しい。」
「…オレの、妻に…。」
「…。」
「…解った。だが、特徴を教えてくれ。俺はお前の妻を知らん。」
「噫。見た目は…」
____遂に、来てしまったか。
この時が…。
天照大御神よ、どうか、どうか…。俺の仲間を、友達を…。お守りください。
俺は…もう、死んでもいい。どうか…彼奴らを生かしてください…。
神様。我が祖国におられるという、
八百万の神様────
続く。
注意事項の通り、南方所属以外の情報を決められなかった為、取り敢えずいい感じになるように書いています。
「この島だろう」「あの都市じゃないか」という考察コメントや、「○○ではこんなことは起こってなかった!」という風な指摘コメントは受け付けておりません。決まってなかったので。
「この役職の人はそんな事しない」みたいな指摘コメントならOKです。
感想・リクエストの方、お待ちしております。
ifルートの過去編リクエストの場合は、「もし(国若しくは県)が○○だった時の過去編」のように「もし〜ならば…。」を使ってくださるとわかり易いので成るべくこうしてくださると助かります。
コメント
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2話3話と書いてるけど続きは春ね