テラーノベル
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「穂乃果の家庭のことには口を出さない。穂乃果がそれで良いんなら、それで良いと思うし。辛かったら本人と話し合うべきだ」
その通り。
急にフラれて、卒業してから玲央とは会わなくなって、もちろん連絡を取ることもやめた。
こんなに普通に話せるものなんだね。
時間が経てば、失恋の傷も癒えるのかな。
「それにね。玲央くん、穂乃果ったら……」
有栖は最近の私の生活について勝手に話し出した。
うん?
それ、今、玲央に伝える必要ある?
「穂乃果ね、さっきも飲みすぎて。大人になってもまだ子どもっていうか。ちょっとは学習しろって感じだよね」
たしかに飲みすぎてフラフラになった私が悪い。
だけど<たまには良いじゃん>って気持ち良く勧めてくれたのは有栖じゃん。
なんか有栖にまでバカにされている気がする。
「さっきも飲み屋で絡んできた男の人たち、私に声かけたつもりだったんだけど。穂乃果が答えてくれて。穂乃果が目当てじゃないって拒否されて。それで怒っちゃったんだ」
有栖は、ハハッと声を出して笑っている。
私はしつこいお兄さんに困るって思って、有栖を守らなきゃって思っての行動だったんだけど。
そんな風に有栖は捉えていたの?
あの人たちが、私じゃなく、有栖が目的だったから嫉妬したとか思っている?
「それは違うよっ!」
私は思わず声を出してしまった。
「私がモテたかったからじゃない。有栖が絡まれて危ないって思って追い払っただけだよ。自分が目当てじゃなかったからムカついたとか、そんなの違う」
「有栖の方が可愛いって誰だって思うじゃん。私だってわかってるよ」
有栖しか絡まれなくて、それを根に持っているって、そんなこと全く思っていない。
ああ、ちょっと言いすぎちゃったかな。
お酒も入っているし、最近ストレスフルだから。ダメだ。
あとでシラフになったら、有栖にも謝ろう。
「ごめん。私もそんなつもりなくて。ちょっとお手洗い行ってくるね」
ハンカチを持ち、目頭を押さえながら有栖は席を外した。
もしかして、泣かせちゃった?
どうしよう?
追いかけた方が?
ううん。お酒が抜けてからしっかり謝ろう。
「ごめん。玲央。私、有栖が戻ってきたらもう帰る。なんか今日はダメだ。有栖にも強く当たっちゃった。お金、玲央に渡すから、玲央が奢ってくれたってことにしてくれる?」
私はお財布を取り出そうとした。
「いいよ。あの子のこと気にしなくていいから。穂乃果ともっと話していたい」
「えっ?」
「男だからよくわからないけど。あれたぶんウソ泣き。あの子、高校生の時、俺と穂乃果が付き合ってることを知っているくせに、告白してきたことがあるから苦手」
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そうだったの?
美里からも玲央からもそんなこと聞いたことがなかった。
「穂乃果が傷つくかもって黙ってた。穂乃果が俺と別れたいって言ってるとか、違う男と二股かけているとか。俺は信じなかったけど」
「はっ?私、玲央と付き合っていた時、そんなことしていない。たまに愚痴とか言ったかもだけど。二股なんてかけるわけないじゃん。私、玲央のこと本当に大好きでっ……」
あっ。やらかした。
なんかめっちゃ恥ずかしいこと言っちゃった気がする。
私の発言に玲央は「フッ」と笑い、口角を上げた。
「嬉しい。でも知ってた。穂乃果が俺に一途だったこと」
目を細めて言う。
ご機嫌な玲央の顔、久しぶりに見た。
「あの子の話、適当に話逸らしてたけど。大人になった今もあんな感じなんだな。あの子、実は腹黒いかもしれない」
そんな。有栖が?
「遠まわしに穂乃果のことバカな女みたいに言う奴は、俺は嫌いだ」
玲央はそんな風に考えていたんだね。
「玲央はやっぱり冷静だね。いつもすぐカチンとくる私をなだめてくれたり。悩んでいた時、プラスに考えさせてくれたり。大人になっても変わらない。すごいよ」
「もっと褒めて」
「ちょっと、調子に乗らないで!私は……。私は大人になって、ううん、結婚して、嫌な女になった気がする。全部自分が悪いんだけどね」
そう、これは全部私が選んできた道。
「穂乃果は真っすぐすぎるんだよ。自分が頑張ればって思って、頑張りすぎて最後爆発するから」
玲央は私に目線を合わせた。
その通りすぎて、何も返事ができない。
昔だったら、もっと自信を持って彼を見つめることができたのに。
今は容姿にも自信がなくなってしまった。
玲央みたいなイケメンに見つめられる抗体もなくなって、思わず下を向いた。
「穂乃果。テレてるの?」
「はっ?違うっ」
なんて言いながらも、私は下を向き続ける。
「穂乃果は変わらず可愛い。だから自信持って。他の奴の言葉なんか気にするなよ。俺が認める」
この人、まさか、誰にでも言っているんじゃ。
いや、前と同じ玲央だったら、誰にでも言う彼じゃない。玲央は媚びない人だった。自分をしっかり持っている人。
「可愛いなんて、めっちゃ久しぶりに言われた。正直、ウソだとしても嬉しい。ありがとう」
「嘘じゃない」
どうしてあの時、私をフったの?
そんな風に聞いてみたかったけど、我慢した。
コメント
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煉彩さん、第7話読ませていただきました! 有栖さんの「ウソ泣き」の可能性を玲央が教えてくれるシーン、すごくグッときました。高校時代から有栖が玲央に告白してたって事実も衝撃的で…。穂乃果が一途だったことを「知ってた」って言う玲央、やっぱり彼は彼女のことをよく見てたんですね。 「穂乃果は変わらず可愛い」って言葉、あのタイミングでサラッと言えるの、彼の誠実さが滲んでて好きです。最後に「どうしてフったの?」と聞くのを我慢する穂乃果の心情描写もリアルで…胸がギュッとなりました。続きが気になります!