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KamassKRRR (くらリ
目を覚ましたとき、天井の蛍光灯がやわらかく滲んで見えた。毛布に包まれていて、体があたたかい。
誰かがかけてくれたのは、すぐにわかった。
「……ふっか?」
小さくつぶやくけど、返事はない。
スタジオは静まり返っていて、遠くの方でスタッフの声がかすかに聞こえるだけ。
まぶたを閉じたまま、さっきの記憶をたどる。
眠る前、確かにふっかが傍にいた。
毛布をかけてくれて、「おやすみ」って、優しく言った。
――そのあと。
夢の中で、ふっかの声が聞こえた気がする。
「本当はさくが好きだよ」
心臓が、また痛いほど跳ねる。
(……あれ、夢だよな)
現実のはずがない。
だって、ふっかはあの“ふっか”だ。
リアコって呼ばれて、誰にでも優しくて、
照とは“夫婦”って言われるくらい仲がいい。
自分なんかが、そんなふっかの特別な人であるはずがない。
そう思うことで、痛みをやり過ごす。
「……夢でよかった」
そう呟いた声が、少しだけ震えた。
ほんとは、夢じゃなければいいのに。
でも、期待して傷つくのはもういやだった。
だから笑う。
いつもの“佐久間大介”で。
みんなの前で、元気に、明るく。
けど、ふっかの顔を見るたびに、
胸の奥で小さく何かが鳴る。
(俺、やっぱりふっかが好きだ)
届かないってわかってるのに、
優しさに触れるたび、
想いは勝手に膨らんでいく。
好きが溢れてもう抑えられなくて。
けどその好きは全てを壊してしまうものかもしれないのに。
なんでふっかなんだろう。
なんでふっかじゃないとだめなんだろう。
理屈じゃない。
ふっかの全部が好きで仕方ない。
その気持ちを抱えて、俺はまた笑う。
「よし!次のリハ、全力でいくかー!」
誰にも気づかれないように。
ふっかの優しさに、また泣きそうになりながら。
また好きを募らせながら。
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