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【顔面固定カメラ】
「また失敗じゃ」
とある町に発明家のビー博士と言う男がいた。
「おはようございます!博士!」
元気な声で挨拶をする彼はコーン君だ。
彼はビー博士の助手である。
「また凄い発明でもしたのですか!?」
実を言うと博士はまだ1度も成功品の発明が出来ていない。
ただコーンは、失敗しても折れずに色んな物を発明しているビー博士に憧れを抱いている。
「いや失敗じゃ」
「そうですか、今度は何を作られてたんですか?」
「このカメラじゃ、このカメラは人の顔、表情を固定する事が出来るのじゃ」
「凄い物を作られていたのですね!」
「あぁ、ワシはピシッとした空気が得意でなくてな、博士同士で真剣な会議がある時は些細な事でニヤケたり笑ったりして注意を受ける事がしばしばあるのじゃ」
「なるほど、真剣な表情で固定されれば注意されること無く会議に参加出来るという事ですね」
「相変わらず君は察しがいいの」
博士に褒められコーンは照れた。
「それでじゃの、カメラは完成し、顔をそのまま固定できる様には出来たのじゃが、元に戻せないのじゃ」
「なるほど、それで失敗だと言う事ですか」
「そういう事じゃ」
コーンは少し腕を組み考え出した。
「そうだ博士!このカメラでずっと顔を固定出来るのですよね?」
「あぁ、撮った時の顔を永久に固定できる」
「このカメラを処分するには勿体ないと思いある事を思い付きました」
「それはなんじゃ?」
「このカメラを売りましょう!」
「売れんじゃろ」
「いいえ、売れますとも!僕が今から街に出てこのカメラを宣伝してきます!」
「そうか、じゃあ任せたぞ、どうせ処分する物じゃ、売れたらラッキーぐらいで思っておこう」
「はい!行ってきます!」
コーンはすぐさま研修所を出て行った。
数日が経ち、一人の女性が研究所を訪れてきた。
見た目はかなり華やかで美人、手には大きなダイヤの指輪を沢山見につけている。
「ここに面白いカメラがあると聞いて訪ねてきましたの」
「あぁ、顔面固定カメラですか」
「えぇ、そのカメラをわたくしに譲って頂きたいの」
「いいですとも、しかし何に使うのですか?」
「もちろん顔を固定する為よ、今後衰えることの無い、ずっと美しいままで居られるわ」
「なるほど!そう言うことですか!」
コーンとビー博士は顔を見合せ喜んだ。
「えぇ、お金はいくらでも出すわ」
「しかし、このカメラは1度撮ったら顔を元に戻すことはできませんぞ?」
「えぇ、戻す必要なんて無いですわ、今の顔が1番美しいですもの」
「言っておきますがこれは失敗作なんです、実際に人に使った訳ではないのです、今後どうなろうが私達は責任を負えませんぞ」
「構わないわ、早くカメラをわたくしの元に」
カメラは高額の値段で取引され、女性は帰って行った。
「博士!やりましたね!」
「あぁ!コーン君が街で宣伝してくれたおかげじゃ!」
「それ程でもないですよ!これで次の発明の費用が出来ましたね!」
「あぁ!もっと凄い発明が出来るぞ!!」
2人は祭りごとのように飛び跳ねて喜んだ。
「あの女性からも、嬉しい報告が聞けたらいいですね」
「そうじゃな」
一方その頃
「さて、メイクもバッチリ仕上げたわ、このカメラで撮ってちょうだい」
富豪の彼女は執事にカメラを渡した。
「はい、それでは撮ります、3.2.1.」カシャッ
これでわたくしは永久の美を。
彼女はすぐ様違和感を感じた。
「んー、んーー」
顔が固定されている、口は開かない、瞼も閉じれない、ただひたすら涙を流すだけ。