エズワ短編集☆

俺は『愛してる』と言った事がない。

それは単に、誰かを恋愛的に愛したことがなかったから。

そんな俺に、初めて好きな人ができた。Mattと言う奴だ。

オレンジがかったきれいな髪に、パッチリとした瞳。すらりと高い背に少し節のある細く綺麗な指。優しく甘い声。

俺はそんなMattのことが本当に好きだ。

鏡を覗き込み自分を褒め讃えている時も、新しいガラクタを嬉しそうにコレクションしている時も、本当に傍から見ていると多幸感に包まれる。

本音を言うなれば、触れられたい。特別に愛されたい。

でも、男同士なんて、今のご時世と言えど風当たりは厳しいだろうしMattが男である俺を好きになる保証もない。無謀な恋心だってことも知ってるが、そんなことよりも好きだという気持ちでいっぱいなんだ。

今日もいつも通り鏡を覗き込みうっとりとしているMattを横目で肴にしながら、酒を煽った。

まつげ長いな、唇が綺麗だな、鼻筋が通っていてかっこいいな。ため息すら出るほどかっこよくて仕方ない。

そんな俺に勘づいたようでMattがこっちを向いてはにかんだ。

💜『どうしたのTim？最近僕のことよく覗いてるよね？』

💙『え、っあー、と…そ、そうか？』

バレたか。お前の顔ってやっぱり正面もすげぇイケメンだな。

💜‪『もしかして、僕にようやく惚れてくれた？』

なんの冗談でそんなこと。そうだよ好きだよ。けどそんなこと言ったらお前引くだろ。口が裂けても言わねぇよ。

💙『ん…なわけあるか、』

💜‪『え〜、嘘は良くないよ？Tim』

あ、え？

💙『え、うそ、？』

なんで、バレて、

💜‪『だってそんなに顔赤くして僕のジャケット掴んでさ、嘘なんて信じられるわけないよ？』

💙『あ、あ、、』

どうしよう、こんなのあんまりだ、男を、ルームメイトをすきになっちゃいけねぇのかよ、隠してたんだから、そんなの俺の勝手だろ、

💜‪『もしかして、本気で僕のこと好きなの？』

もう、どうにでもなってくれ……

💙『そ、そうだ』

💜‪『そうなんだ♡僕も好きだよ、Tom！』

💙『や、やっぱりそうだよな、、って、は？！』

こんな、こんな。こんな幸せあっていいのか。

💙『俺のこと、すきって、ほんきかよ、？』

どうしよう。心拍数が上がりっぱなしだ。こんなに幸せでいいのか。

💜‪『本気だよ。僕はTomを愛してる。』

急にそんなかしこまった口調で言われると、ドキドキする。なんだよこの。いつもみたいなへにゃっとした感じが好きなんだ。今のもかっこいいけど、、、

💙『俺も、愛してる。』

誰かを愛せる、ってこんなに幸せなんだな。