TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
リメイク(完結)

リメイク(完結)

「リメイク(完結)」のメインビジュアル

67

Ep58 相反する運命

♥

13

2024年02月26日

シェアするシェアする
報告する

 視界がボヤける中、誰かの声が聞こえる。

「起きてください……起きてください……」

 起きろ……?

 僕に言ってるのか……?

 あ、そうか。僕は寝てしまっていたのか……。

「あ、やっと起きましたね」

「えっと……君は……?」

 目の前には、辺り一面が真っ白な空間に覆われ、大翼を背から生やした少年が立っていた。

「僕の名前は大天使ミカエル。天が生み出した、宇宙の欠片です」

「宇宙の……欠片……?」

 そして、大天使ミカエルは背を向けた。

「貴方の住んでいた惑星、地球は、太陽が突然にして爆発し、消滅しました。助かったのは貴方一人です」

「えぇ……!? 地球が……消滅……?」

「落ち着いてください。戸惑うことも仕方ありませんが、過ぎたことを悔やんでも仕方ありません」

 一理ある……が、やはり記憶が散漫としている。

 驚き切れない……夢の可能性もある……。

「記憶が散漫としていて……自分の名前も思い出せないんだけど……僕の名前を知っていますか……?」

「貴方の名は、“バベル”

「バベル……?」

 そう呟いた瞬間、全身に力が溢れるのを感じた。

「!!?」

「感じたみたいですね。今、貴方が “バベル” と詠唱したことで、貴方には森羅万象の魔法が与えられました」

「森羅万象の魔法……どうして僕に……?」

「地球を取り戻したくはないですか?」

「地球を……家族を取り戻せるんですか……?」

「死者を蘇らせることは出来ません。ただ、貴方は偶然にもこの僕に助けられた。再び世界を構築し、家族を築き上げることだって出来ます」

「世界を再構築……家族を……」

「はい。貴方は世界の創造主。本当の意味で神となる、選ばれた人間なのです」

 そう言うと、ミカエルは僕に手を差し伸べた。

 僕は、まだ朦朧とする意識の中でその手を握った。

「大丈夫です。貴方を一人にはしません。きっと、素敵な方達と共に、素敵な生活を過ごせます」

 その言葉を幕切れに、視界が薄れて行った。

 そして、僕はハッと現実世界に戻る。

 今のは……バベルの記憶……?

 いや、ミカエルの記憶なのか……?

 どうして……突然……。

 地球が消滅とか言ってたけど、バベルは未来人ってことなのか……?

 いや、戦国時代の九条さんたちも居たわけだし、時系列はバラバラと思っていいだろう……。

 僕はルインにホクトを連れ去られた後、その場で項垂れることしか出来ず、呆然と空を眺めていた。

「お、ヤマトが起きたぞ!」

「え……?」

 僕の目の前には、ルインに捕えられていたはずの、カナン、セーカ、アズマ、ホクトがいた。

「どう……して……?」

 僕は助けられなかった。

 仲間のことを、守れなかったのに……。

「俺たちにも分からないんだ。冥界の国に飛ばされたかと思えば、白髪の悪魔? に捕まって、気が付いたらヤマトの前にいたんだよな」

 困惑しながらもいつものように笑うアズマ。

「ホント、急に悪魔が出てくるから驚いたわよ!」

 いつものようにプンスカ怒っているセーカ。

「ヤマト、具合悪い? 大丈夫?」

 こちらは珍しい。

 いや、いつも通りだ。

 いつものように優しく寄り添ってくれるカナン。

「多分、これはミカエルの召喚魔法。ギリギリで私たちのことだけを助けたんだと思う」

 そして、虎視眈々と無表情に状況把握を行うホクト。

「やっぱり、アゲルが助けてくれたんだ……!」

 自然と、笑みと涙が零れ落ちる。

「ヤマト」

 みんなが一斉に、僕に振り向く。

「ああ、僕たちの仲間、アゲルを助けに行こう!」

「おうよ!」

「そうこなくっちゃね!」

「しゅつどー!」

「ヤマトがそう言うなら」

 そして、僕たちは天使の国を突き進んだ。

 ――

 一方、ミカエルに気絶させられたヤマトをホクトに託した龍族の一味、カエン、ルーク、フーリン、冥界の国からの協力者、アゲル、グレイス、そして、万が一の為の仙人ガロウの大所帯で、ルシフェルに対抗する為、天使の国の奥深く、光龍の元まで歩いていた。

「光龍に会うの、久しぶりっすね、カエンさん」

「そうですね。彼ならば、きっと力になってくれます」

 そうして、天使族の小さな村へと辿り着いた。

 ルークの故郷の村だった。

「ライトー! いるかー!」

 光龍は、天使族の小さな村の湖に住んでいる。

 ルークは気さくに声を掛けた。

「その声は……ルークか……?」

「おうー! ライト! 久しぶりー!」

 光龍ライトが現れ、ルークは満面の笑みを向ける。

「あの子供が大きくなったな」 

「ライトの加護のお陰で無事にな。ありがとな!」

「それで、今回は何用だ?」

 そして、粗方のことを光龍ライトに話した。

 光龍も、地上界と隔たれた天使の国に住んでいる為、地上で何が起こっているか知ることが出来なかった。

 また、光龍は地上界に降りることも出来ない。

「そうか……そんなことが……。遂に七神も、暴発し、この世界も終焉に向かおうとしているのだな……」

「お、おい……! 諦めたこと言うなよ! 俺たちはそれを止める為に力を貰って、今も抗ってるんだ!」

 暫く目を瞑ると、光龍はその場の全員を見遣った。

リューダが来ているな。久しいな」

 すると、グレイスは操られたかのように声色が変わる。

「ライト……会いたかったぞ……」

「お前は昔から、寂しがり屋は直っていないな」

 一頻り、風龍と光龍の会話が済むと、光龍ライトは改めて、ルークとカエンに向き合った。

「リューダに免じて、もう一度力を貸そう。我々、七龍は確かにバベルよりこの世界の災いを守る為に生み出された。しかし、私は力の行使で世を変えるのは間違っていると思っている。バベルが創ったこの世界が、終焉を辿るのならば、それもまた、運命なのだと思うのだ」

 光龍の話に、誰も反論せず、聞き入れた。

「ライトさん、貴方の言うことはごもっともでしょう。しかし、これで世界がまだ終焉を迎えないのなら、それもまた運命なのだと私は思いたいのです。この哀れな龍長に、もう一度だけチャンスをください」

 そして、カエンは丁寧に頭を下げた。

「ふむ。ならば全霊で運命と向き合ってみよ。して、龍長の望みはなんだ?」

 カエンは、鋭い目を光龍に向けた。

「光龍である貴方にしか出来ない力……。この世界の、全ての龍の力を集結させて欲しいのです……」

七神の暴発の対抗手段……と言うわけだな……?」

「その通り……七神の暴発は最早止められないでしょう。しかし、終焉だけは防いでみせる……その為に……」

「ふふふ……やはりエンに認められただけはある。いいだろう。その力を使おう。しかし、封印されていてその力を今は出すことは出来ない」

「どうすれば可能なんですか……?」

唯一神バベルを蘇らせろ……。バベルにしかこの私の封印は解くことはできない」

 カエンは少しだけ目を丸くした後、すぐに目を細める。

「行きましょう。場所は、分かっています」

 ハットを被り、他のみんなを先導した。

loading

この作品はいかがでしたか?

13

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚