テラーノベル
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第9話
無心で、走り……いや、助けたいと心で強く願っているから、こうやって走れる。動ける。
私だって、いつ、なんどき、倒れて迷惑かけるか分からないくらいに、骨ボキボキの血まみれなんだから……
最後に、門をひとっ飛びして、中庭に着地した。
重力魔法を解くと……立ってられない。物凄く重力が重く感じる。
また、お腹の底から赤い鮮血を吐き出した。
無理だ。
私も、長くないかもしれない。分からないけど、ピンチだ。
「ウィ、ザード……くろ、ねこ……」
ルイスに名前を、呼ばれた。
こんなに真面目に話すのは……殆ど無かったな。
「お前、たちは……つよ、い……だ、が……おれが、逝った、って……よわっ、くなる、なよ……さい、ごの頼み……だ」
私は、何も言葉にできなかった。頭の中が真っ白で、混乱状態。
黒猫も同じだ。何も言えず、口をパクパクしている。
「さよ、うなら……また、な」
笑顔のまま、ルイスは息を引き取った。
駄目。駄目だよ。
え? 逝っちゃうの? あのルイスが……?
だって……元、私の弟みたいなやつと強さは等号が付くだろう。
あの子は弱かったけど、野原に放たれた有象無象とは比べ物にならないくらいには手応えがあったはず。
「いやぁぁぁっ!!!」
後ろから……マリアの声が聞こえた。
黒猫が、相手をしてくれるらしい。イマの私では無理だと、考えたのだろう。
……合ってる。
というか、マリアが私を無理というか……
そんな事を考えて、ルイスを誤魔化そうとした。だけど、無理。
魔力が無い……否、もう手遅れという事。
黒猫は、人の姿になって、放心状態のマリアと話して……ん? 猫の姿でも、喋った事なかったよな……
「ハンナ……俺に、伝言任せて……ボロボロになってきたのか……」
声の主は……ミヒャエルさんだった。
ルイスの事を一目見ると、悲しい魔力の動きになった。
「こいつは……三年生の編入生だっけな。ハンナ。お前は、父上が雇ったんだな。もう、父上から口頭で伝えられた」
「えっ?」
教皇様!? バレないようにじゃなかったっけ?
「取り敢えず、医務室に行くぞ」
私は、咄嗟に水魔法で返り血と自分の血を流した。
まぁ、案の定、制服はボロ。髪の毛も……水で濡れてるからセーフ。
魔力の残量がギリギリ。まずってる。
「このくらいの傷。大丈夫ですっ」
立ち上がって……じゃなくて、また吐血した。
「マズイじゃないかっ。触れるぞ」
そう言ってミヒャエルさんは、私の事を抱き抱えて、医務室へ走った。
その途中で、寝たらしい。安心したのだろう。
目を覚ますと……隣で黒猫も寝かされていた。
もう、すっかり夜だ。月明かりが眩しい。
私は、立ち上がって窓まで歩いた。私の本当の姿――否、七歳の姿だった。
もう魔獣や、魔物は来てないらしい。
でも、ルイスもいない。
「ごめんなさいっ……何も守れなかったっ。何で、こんなになったんだろうっ……! 意味ないじゃんっ! こんな私が、仲間を失うなんて……やってはいけないのにっ……!」
「大丈夫だ。ハンナは十分に頑張った」
その声で我に戻ると……ミヒャエルさんだった。
「えっ?! こんな夜分に……明日も授業ありますよね?」
「大丈夫だ。このくらい」
「いやいや、それで支障が出たら……」と言いかけた所でズキッと色々な所が痛んだ。
それでまた、吐血。床が鮮血に塗れた。
まだ傷が治りきってないのだろう。
「横になってろ。動きまわれる体では無いことくらい、分かるだろ」
ミヒャエルさんは、反論の余地も与えてくれなかった。痛みに耐えきれず、しゃがんでいた私を抱き上げてベットに寝かせた。
「あれから、ハンナは三日寝てた」
「ッ……!」
想像の三倍。思わず頭の中が真っ白になり、何も口にできない。
一日くらいかなって思ってたのに……三日かよ。
「血をかなり流してな……生死を彷徨ってたんだ。そこの黒猫って奴が泣きながら、自分を責めてた。『俺がもっとちゃんとしてれば……』ってな」
私の顔は一周回って……いや、壊れきってるから、無表情だった。
私と同じ……想いを……
駄目だよ。黒猫なんか……弱いやつに、弱いって言われてるような猫さんなんて……
「大丈夫だ。お前は、何も悪くない」
「え? 私が巻き込んで、守るべき人も傷つき、数少ない仲間も亡くし、挙句の果てに、守るべき人が……ッ! 守るべき人を、同じ想いをさせて……何が悪くないんですか?」
自潮的に吐き捨てると……ミヒャエルさんは、目を丸くしていた。
「……私は、何も守れない無能。無能な笛吹ですよ。私は、何もかも……」
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コメント
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読了したよ〜!!😭✨ もうね、ルイスとのお別れシーンが辛すぎて涙が止まらなかった…「さよなら、またな」の笑顔がマジで胸に刺さる🥺💔 ハンナが自分を責めて「何も守れない無能」って言うところ、読んでてすごく苦しかったけど、ミヒャエルさんの「お前は何も悪くない」って言葉にちょっと救われた気がする…。 次、どうなるんだろう…黒猫の心情も気になるし、ハンナが立ち直れるのか、すごく気になる展開だよ!!