…
……… ……………。
『‐ッハ!!』
ふと視界が開けて目が覚める。
自分は一体、今まで何をしていたっけ…
『…そうだ、百田ちゃんに…』
…思い出した。オレは、百田ちゃんにプレス機で潰された筈…だ。
『…ここは』
周囲を見回してみる。
『エグイサルの、格納庫…?』
直ぐ傍に、自分が潰された筈のプレス機が見える。
……血塗れだ。
本当にオレは死んだのかなー、なんて事を考えながら、プレス機を触ろうとすると、
『…ッいたッ…』
右腕が痛い。…そういえば、百田ちゃんにボウガンで撃たれた気がする。
しかし、そこに矢は無かった。
『背中…!!』
背中の毒が残っているかもしれない、と考えたが、全身を蝕む様な痛みはもう無かった。その代わりにじくじくとした鋭い痛みはあるが。
『…傷はあるのかよ…』
幽霊に痛覚はきっとない。実際、今オレは浮いて居ないし、足もしっかりある。
……多分、生き返った…のかな。
不思議な気持ちになりながら、格納庫内を見回す。
ぐーー…
『お腹減ったなー…嘘だけど!』
いつもの口癖を言いながら、オレは忌々しい格納庫を後にした。
ーーー食堂ーーー
『…誰も居ないかー。』
そもそも、今が何時か分からない。
でも、窓を見る限り、夜では無さそうだ。
しかし、皆居ない。…妙だな……
『というか、何でオレは生き返ってるんだろ…』
屍者の書はオレが持っていた……はず。モノクマがわざわざオレの部屋に入って、被害者を生き返らすなんて事はしないだろう。
『うーーーん…』
頭を掻き毟っても分からない。というか腕が痛い。
他の生き返り技術的な…のは違うか。屍者の書と同じ動機になるしな。
…取り敢えず小腹満たしにすきやきキャラメルとプァンタを飲み食べしながら考えよう。うん、そうしよう。
『そもそもオレは百田ちゃんに潰された筈なのに、身体はあるし…
…あっ、モノクマがオレの考え付いたトリックの答えが分からなくて蘇らせた…とか!』
と、声だけは元気だが、内心そんなことを言う余裕は全く無い。なんでオレ生きてんのー?怖いよー…しかも寒いよー…
『はぁ…ぼっちって寂しー…せめて百田ちゃんは居ないのかなー』
流石に悪の総統のオレも孤独は寂しいよ!
アレも無い、コレも無い…と考えていると、睡魔が襲って来た。それを追い払うように、オレは首を振る。
…よし、いったん整理をしよう。
オレはプレス機で潰されたかと思ったら、何故か生き返ってた。
そして今のオレは、死ぬ少し前の状態になっている?みたい 。(刺さった矢、背中の矢の毒は無いけど)
上半身は百田ちゃんの上着を一応羽織ってはいるものの、裸で流石に寒い。
……うん、よく分からん。
『折角なら布団でも持ってくれば良かったよー…』
でも取り敢えず、今考えた所でどうしようも無いと、オレは素直に2度目の睡魔に身体を任せた。
…くん!!
…ま…くん!!
…王馬くん!!
『…んぁー?』
誰かに呼び起こされた。もう!どこぞの夢野ちゃんみたいな声が出ちゃったよ!
「あっ、気付いたっすね!王馬くん!…それで、何してたんすか?」
…
……
………
『天海…ちゃん?』
これは流石のオレもびっくりだよ!黙っちゃうくらい!
なんてったって、砲丸で死んだハズの天海ちゃんがオレを叩き起してるんだ!こんにちは、頭の傷はどう?って言いそうだったよ!嘘だけど!
「王馬くん、デスロードが終わって疲れてるのも分かるっすけど…百田くんの上着まで着てどうしたんすか?
まさか…何かイタズラでも仕掛けてきたんっすか…!?」
『えー?酷いよ、天海ちゃん、オレは何もしてないよ!嘘じゃないよ!ホントだよ!』
…なんて言いながらも、頭の中は大混乱だ。そもそも、なんで天海ちゃんが生き返ってるのかも謎だし、…いや、天海ちゃんは死んでたのか。そうか、そうか……いや、でも何故オレを起こしに来たのかも分からない。デスロード?に疲れたって……オレ何もしてないんだけど。
「うぉい王馬!!何でオレの上着を着てやがる!」
そんなことを考えてたら百田ちゃんが来た。
……え、待って?百田ちゃん死んだの?
『ちょっ、百田ちゃん、これには深い事情が…』
「いいから関係ねぇ!!どうやってパクったんだよ!」
『まって…ってうわ!!』
バサッ…
上着がめくられる。
「…?何でお前が腕にそんな怪我してるんだ?しかも裸…」
『ちょっと、だから見ないでって言ったじゃん!というかそもそも知ってんだろこの宇宙バカ!!何してんだよというか寒いんだよ!!』
「んだと!?」
ちょっと言い過ぎたかも!でもオレ悪くないもんねー!
ドドドドド……
って、…なんか嫌な予感が……
「キェーー!男死ィ!何で上半身裸なんですかぁ!!」
「んあー……めんどい」
『茶柱ちゃんと夢野ちゃん!?ゆ、夢野ちゃんはなんで……って、ちょっと!これにはマリアナ海溝くらいの深ーい事情が…!』
「問答無用!! 」
ドゴーーン!!
『いっっった!』
「爆発音みたいな音したっすよ!?」
「うるさいです!!男死には関係ありませんっっ!!」
ーど、どうしたんだろう!?
ー解斗が何かやったのかねー
バタバタバタ…
足音がする。まぁ流石にこんな音がしたら焦るよねー!!茶柱ちゃんの投げ、超痛いよ!!
「…ど、どうしたの!?王馬くん!!」
「小吉が上だけ裸だねー、どうしたのー?」
「え、えっと…地味に痛そうだね…」
そんなに音が響いたのか、食堂に来ていなかった面子が一気に食堂にやってきた。
『…見てわかんない??茶柱ちゃんに投げられたよ……オレ怪我してるのに…痛いよー……』
「そうだったんだ……」
「また小吉何かしたのー?」
うぅ……視線が痛いよ……!
バタバタ…
「おっはよー!皆今日も元気ー?所で宇宙バカの百田ちゃん、茶柱ちゃんに投げられてないー!?」
……オレ?え、何で……?怖……
「うっせー王馬!!オレの上着を着た王馬が投げられたんだよ!オレは何もしてねぇ!!…って、あれ…」
「百田くんが黙ってしまいましたよ!?」
「はー?なんだよキー坊!って、…え?」
「王馬くん、失礼ですよ!!」
『ちょ……ちょっと待って?』
……どういう事だ?なんで、オレが?怖いんだけど。
……まさか、もしかして……『オレ』が死んだ時に、「オレ」の居る所へ時空移動でもしたのか?
…全員まだ生きている時へ。
「はぁ!?ツルショタが2人居るだとぉ!?」
『「うるさいよ入間ちゃん!!黙ってて!!」』
「ひぅぅっ…イイッ…」
「…で、所でキミ、だれ?」
「オレ」が聞いてきた。うんうん、オレは何となく今の状況が分かったよ!それはそうだけど……吃驚してるんだろうなー。こっちのオレ。まぁオレも自分に会うなんて初体験だよー!
『オレは王馬小吉だよ! 嘘じゃないよ!ホントだよ!』
「…オレも王馬小吉だよ。本当にキミ、オレなの?…腕とか、背中?とか血まみれだけど。」
めっっちゃ怪しんでるなー!自分で遊ぶのも案外つまらなくないね!
『…まぁ傷の事は置いておいて!オレは王馬小吉でも、未来から来た王馬小吉だよ!』
…「「「「「ハァー!?」」」」」
にしし…
次回、王馬が2人!? デュエルスタンバイ!!
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