テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ぷち
23,131
#願いを叶える
ぷち
1,691
『妖様へ願事』〜人を呪わば穴二つ〜
第一章 『哀れな少女の願い事』
第三話 チマヨウホンネ
私はクレハの眠る病院へ向かっていた。
ガラッ。
『すぅ、すぅ……。』
『……。』
クレハ…幼い時から病院にばかり行っていた。
入院と退院を繰り返して、お母さんは妹にばかり気に掛けていた。私の事なんて、そっちのけ。いつも、お姉ちゃんなんだから我慢しなさいとか、貴方は健康なんだからとか。
『私だって…好きで姉に生まれたんじゃない。私だって、お母さんが構ってくれるなら…病気になって生まれたかった!クレハ…あんたが、あんたがいなければ――!!』
私は毒の小瓶を開けクレハにかけようとする。
その時――。
『お姉ちゃん。』
『なぁに?クレハ。』
『お姉ちゃんの妹で良かった!』
『え?どうしたの急に…』
『ふとそう思ったの!私、今こんなだから友達もいないし、どこかへ出掛けたりも出来ないから…お姉ちゃんはずっと傍に居てくれるよね?』
『クレハ……当たり前でしょ!クレハのこと大好きなんだから。』
クレハとの会話が鮮明に脳裏に焼き付いてきた。
『っ……!』
ギリッと小瓶を握りしめる。
ポタッ。
(出来るわけ、ない…。いくら要らないなんて思っていても、私にそんなことできない…っ。
妹を、クレハを殺すなんて…っ。)
私は静かに涙を流す。
『…もし仮にお母さんをこの手で殺せたとしても、私は妹に面と向かってこれから一緒にいることが出来るのだろうか。』
クレハの頭を撫でる。
この子にとって、誇れる姉でいたい。
次の日――
カランカランっ。
『まだ開店前だよ…って、あんたは…。』
『お母さん…いますか?』
お母さんのよくいる酒場に来ていた。
『ヤヨイ…?あんた、なんでここに…。』
『お母さん。』
『…家にはもう戻らないよ。あたしはもうあんたらの面倒は見られない。ヤヨイももうガキじゃないの。あんたが妹の面倒見な。』
『…うん。だからお別れを言いに来たの。』
『は?』
『貴方みたいな最低で最悪な母親から縁を切りに来たの。』
『っ!』
グイッ!
お母さんは私の胸ぐらを掴む。
『このっ…!育ててやった恩も忘れて何様のつもり!?』
『おい、何して……っ。』
『私はもう貴方をお母さんとは思わない。妹のクレハは私が面倒を見る。クレハは私の妹よ!!』
『ふっ。何を偉そうに。あの子を治すお金もない癖に…いい?あの子が死ねば私は親としてお金を受け取れる。だから治療なんてさせないわ!』
期待した私が馬鹿だった。こんな母親に…
でも、殺したところで意味はない。人を殺したという罪悪感なくだけが私に残るだけ。妹の前で私は堂々といたいの。私が死ぬまでの間、あの子にとって誇れる私でいたい…!
私はお母さんを押しのける。
ドンッ!
『いった…っ!』
『お金ならある。妹は私が助ける。あんたに渡すお金なんて1円もない!』
『ま、待ってよ、私、お金がないと…っ。』
お母さんは私にしがみつく。
我が親ながらどこまでも醜い…。
『離してよ。私はもうあんたの娘じゃない。……だけど、産んで育ててくれて…ありがとう。妹のクレハを…産んでくれてありがとう。さよなら。お母さん……。』
私は振り向かず店を去る。
お母さんの罵詈雑言が聞こえるがそれを無視して。
これでいい。最後の最後まで私はクレハに誇れる姉でいたいから。
次回
第四話 ジカンギレ
コメント
3件

最後まで妹を想う気持ちがぐっと来た!ヤヨイどうなっちゃうの?! 続き待ってます!(*´ω`*)
ああ、もう、めっちゃ胸に来た……。毒をかける寸前で蘇るクレハの「お姉ちゃんの妹で良かった」って台詞が刺さりすぎる。姉としての誇りと憎しみの葛藤、最後にお母さんに「産んでくれてありがとう」って言える強さ、ヤヨイの成長が尊いよ。次話「ジカンギレ」も気になる🔥