コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Side Bat
「ちょっとみんな起きて! 大変だよ!」
そんなジェシーの大声が下から聞こえてきて、俺は目を覚ます。起きてもやっぱり、そこは緑の深い森で俺らは動物のままだった。暗いから、夜になったのかもしれない。
「なにー? 俺眠いんだけど」
俺が留まっている木の根元にいる慎太郎は言う。
「高地が、こーちがいない」
慎太郎ががばっと跳ね起きた。「え」
そのとき、北斗がバサバサと羽をはためかせて飛んでくる。
「今探してきたけど、見当たらないよ。もしかして、あいつ一人だけ人間に戻っちゃったんじゃ…」
俺は血の気が引く思いになった。知らず知らず、目覚めたばかりの樹に視線をやる。
「……俺じゃない! 俺、なんにもしてないってば。あんなトゲトゲ食えないよ」
「まあ確かに、みんなが寝てる間樹も熟睡してたからな」
自称「昼行性」の北斗が言って、ジェシーも首肯する。夜行性組はそれぞれ眠っていたというわけだ。
「じゃあ…」
俺は、ひとつの結論を口にする。「高地は一人でどっか行っちゃった、ってことか」
しーんと森が静かになった。夜だから怖さが増す。
「よし、5人で手分けして探そう。あいつちっちゃいし、暗くて見えづらいけど…」
樹がそう言って、みんながそれぞれ違う方向を向いて歩き出したとき、どこからかカサリと草が触れる音がした。
「ん?」
振り返ると、茂みの下にまさにハリネズミがいた。人間のときよりずっといい視力が働く。
「わっ、お前、そこにいたのかよ!」
「いや今来たんだよ」
高地は5匹のただならぬ雰囲気を察したのか、「どうした?」と訊く。
「ジェシーが、高地どっか行ったって言うから探しに行こうとしてたんだよ。あぁ良かった…」
北斗が口をとがらせながらも安堵する。
「まあまあ…とりあえず高地、何しに行ってたんだよ?」
これ、と高地は小さな手を差し出す。そこには丸くて赤い実が2つあった。
「ちょっと腹減ったから、探してた。あ、大我も食べる?」
逆に呑気な言葉に、みんなはほっと息をついた。
「もう、びっくりさせないでよ」
「ごめんって。これからはみんなのもとを離れないから」
体長の大きい慎太郎が、背伸びして木の実を俺に渡してくれる。甘酸っぱくて美味しかった。
そして、今度はタカとハリネズミ、シマウマが眠たいというので夜行性の俺と樹、そして慎太郎は顔を見合わせる。
「やれやれ。この組み合わせ、大変だな」
樹は首を振った。たてがみがふわふわと揺れる。そして、前足をぺろぺろと舐め始めた。その姿はさながら猫と一緒だ。
「どうする? 3人、寝ちゃったし。俺らも寝とくか」と慎太郎。
夜は危ないし、誰かがまたいなくなったら困る。地面の4匹は固まるようにして丸まった。
枝の根元のほうに留まっている北斗の足元まで行き、俺もまぶたを閉じた。
続く